第二十一話 オニタビラコとお散歩
今日はうちの学校の 遠足だ。 私のグループは夏の 雪のない スキー場に行く。
珍しいし 楽しみだ。 何より 紫香くんと同じ班なのが 嬉しいが。
途中までは バスで移動して 5kmほど 歩く。
コース決めは くじ引きだった。 引いてすぐは 一番きついコースだったから 魂が抜けた気がした。
でも 紫香くんと一緒なら 何処だっていい。
バスは 到着順に 奥から詰めて乗り込む事になっている。 紫香くんの隣になれないかなって 少しだけ期待。
隣になったら 緊張して 何も話せない気がする。 それでもいいか。
紫香くんの横顔が 眺め放題なんだから。
私の席の隣は 空席。 これは 紫香くんの可能性がゼロではないと 淡い期待を 抱く。
が しかし その期待は 簡単砕け散る。 後ろから 頭を叩かれたのだ。
びっくりして 勢い良く振り返ると 紫香くんの笑顔が そこに。
「同じグループで よかったな。 俺がここにいるの 気づかなかっただろ。」
隠れていたのか。 見渡して いないと思って 紫香くんが来ないか ドキドキしていたというのに。
少しだけ 恨めしそうに 紫香くんを 睨むと 紫香くんは あたふたと 言い訳をしていた。
可笑しい。 ふと 笑みが漏れる。
その笑みを見て 安心したのか 紫香くんも 笑い出す。
そして 私の隣に誰も来ないまま バスは出発を告げ 学校を 後にした。
バスは 30分ほど 山道を走り 駐車場のようなところで 停止した。 降りたすぐそばに オニタビラコが咲いている。
そして そこで 生徒達は全員降ろされる。 歩く時の隊列の順番は 自由だそうだ。
これは 紫香くんと 近くを歩く大チャンスじゃ ないか。 紅一点の私は ライバルも 居なく 最高のコンディションだ。
よし 今日こそは 紫香くんと2人で 真面目に話そう。
頑張るぞ。 私の気合は 十分だ。 さあ いざ 遠足だ。
★純愛




