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第二十話 クレマチスの光

学校の化学の実験で スチールウールを燃やした。 正確には 燃焼させた だが。


何かが違うらしくて 黒鉄くろがね先生が 力説していた気がする。 よく覚えていないが。


そう。 今日は スチールウールを燃やしたのだ。 綺麗なのだ。 一回しかできないのだが。


季節外れだが クリスマスのイルミネーションのように 明るく光って すぐ消える。


線香花火のようだ。 思い出すだけで 惚れ惚れする。


人間にあの光は 出せない。 スチールウールだからこそ 出せる光なのだ。


本当に あの光はいい。 あの光こそ 希望の光だ。


何の希望かは 知らないが。


取り敢えず 今日は いい日だ。 スチールウールが燃えたから。


紫香しこうくんの事を考えなくて済むし。 綺麗だし。 最高だ。


でも また 紫香しこうくんの事を思い出してしまったから 頭の中が 紫香しこうくんで いっぱいになってしまった。


紫香しこうくん。 もう。 どうしろというのだ。


イライラする一方だ。紫香しこうくんのせいで。


いや イライラするのは 私が悪いのか。 はっきりしない私が悪い。


はっきりさせたいけど わからない。 本当に 本当なのか。


何処かで勘違いしているのではないかと。


「あんた どうしちゃったのさ。 ニヤニヤしてたと思ったら 眉間に皺寄せて。」


コッコ。 そうだ コッコだよ。 相談してくれと言っているようなものじゃないか。


でも 今ここで 大声で相談したら 大惨事になるのは目に見えている。 それは なんとしても避けねばならぬ。


そんなことになったら 私は一体どうすればいいのだ。


でも 取り敢えず コッコという 解決の糸口が見えた。


コッコに相談すれば 何処かに向かって 一歩前進するのは間違いないだろう。


一歩でも 前に進むのなら それでいい。


例え 失恋に向かっていたとしても。 それが 運命ならば。


★美しい 高潔

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