第二話 フリージアの相手は疲れる
教室に戻ったら コッコが 満面の笑みで 挨拶してきた。
コッコ って言うのは 友達の 香雪。
「ねぇっ!お願い‼ 宿題 見せてっ‼」
そんなことだろうと思ったよ。 ドアのところで 待ち伏せして 満面の笑みで 挨拶なんて。
「お願いだって‼ 一生のお願い‼」
コッコお得意の 一生のお願いだ。 こっちは 一体何度聞いたと思ってるんだ。
「ねぇ! 聞いてる? お願いだってば!」
なんで コッコが イラついてるんだか。 イラつきたいのは こっち だっつーに。
でもね 私って 優しいから 無言で プリントを差し出す。
「えっ? 今日プリントだっけ……?」
コッコは 一体 なにを借りようとしてたんだか……
「やばいよ。 プリント 無いよ!」
知るか。 そんなこと。ルーズリーフに写すとか コピーするとか なんかすればいいのに。
「SHR始めるぞ。席につけ。」
先生来ちゃったよ。コッコ どうするんだろう。 数学 一校時なのに。 関係ないか 私には。
「ねぇ ルーズリーフ 頂戴! お願い‼ 一生のお願い‼」
また出たよ。『一生のお願い』 お前の一生は 何回あるんだって。
でも 私って 優しいから スッと ルーズリーフを 一枚手渡す。
「ありがとー! 大好きだよ!」
コッコは 本当に コロコロ表情変わるな。
なんて言うか コッコは 愛想がいいっていうか 素直っていうか 憎めないよね。
こんな子に 成りたいな。 いや。 宿題忘れても 友達に 写させてもらえるのが 羨ましい訳じゃないよ。 それは わかってね。
いや そんなの わかってるか。
「ありがとー! 写し終わったよ!」
そうか。 良かったな。 私も返してもらえて 嬉しいよ。 危うく 授業始まるところだったよ。
★フリージア
愛想の良さ 純潔




