第十五話 皐月の隣でおしゃべりタイム
雛木さんにキーホルダーを届けてから 朝の水やり中に 声をかけてもらったり すれ違った時 手を振りあったりするようになった。
私の勘は正しかったようだ。 コッコと 雛木さんと 私 3人でお昼ご飯を食べたりもした。
その時 雛木さんは ふと 思いついたように 手を叩いて言った。
「そういえば 2人とも その 『雛木さん』は 他人行儀な感じがするので やめませんか? もっと フレンドリーに。」
確かに 苗字にさん付けじゃあ フレンドリーな感じはしない。 なんだろう 雛木さん を 可愛く。
もともと可愛いが。
「あっ。 ねえ ピィナなんて 可愛くない? オッケー。 今からピィナね。」
コッコの 発案で 雛木さんは 即刻ピィナに改名した。
多分 雛木の 『ひな』から 来ているんだろう。 そしてコッコなりに 可愛い語感にしたんだろう。
コッコが ピィナを 連呼していると 本当のバカに見える。 コッコは もともとバカか。
本人も気に入ったのか ピィナを 連呼している。 しかし 少し言いづらいのか 某アイスの ピ★ に聞こえる。
一度 そう聞こえてしまうと コッコまで そう言っているようで ただの駄々っ子にしか 見えない。
もし 私のムスメがあんなのだったら 発狂してしまいそう。 嫌だわ。
「ところで 紫香くんと うまくやってんの? あんた」
さっきまで あんなに騒いでたって言うのに 落ち着いたのか 立場が逆転したように 尋ねてきた。 お姉ちゃんみたい。
「そうですわ。 紫香くんと うまく行ってます? あれから 一週間ほど 経ちますけど。」
あれからも 時々女子に絡まれる。 紫香くんが 悪いと思う。
突然あんなことを言った 紫香くんが悪い。
それに あんなことを言われたら 紫香くんを見るたびに 思い出してしまうだろう。 全く。
でも ギクシャクしてるのはこっちだけで 紫香くんは 飄々としていて。
はぁ。 ため息が出るよ。 お陰で 話しかけづらいじゃないか。
「そういえばさ 紫香くん 話しかけてくれないから 寂しいって。 ほら 話してあげなよ。 寂しい ってさ。」
コッコは 他人事だろうけどさ。 私は一大事なんだよ。 わからないだろう。 コッコだから。
「まあ 頑張れよ。 応援してるからさ。」
★協力を得られる




