第十一話 針槐の並木道
今日は 快晴。 いい日だ。こんな日こそ コッコとのデートに 最適だ。
コッコと待ち合わせた時間まで あと十分。 針槐の木陰に隠れて コッコをまつ。
しばらくすると いや 遅刻ギリギリで ひらひらとワンピースを 風になびかせ コッコが 駆け寄ってきた。
「ごめん ごめん。 待った?」
そんなに待ってないと 適当に返して コッコが行きたいと言っていた 『蓮華草』へ。
『蓮華草』は カフェテラスもあって いい喫茶店なのだ。 また そこのチョコレートが 最高で。
『蓮華草』に向かうため バスに乗り込むと コッコが いつも通り私の服装に 文句をつけ出した。
「なんで 柄物の赤いワンピースに 柄物の カーディガンと 柄物の ハイソックスを 合わせるのか。 本当 私には 到底理解できないね。」
はぁ。 もういいじゃないか。 柄物が好きなんだから。
「なんでそう 全身柄物で 固めちゃうかね。」
柄物の方が 可愛いじゃないか。 コッコは 雑誌の通りに 着こなしてるのか? 違うだろう。
なんだっていいじゃないか。 自信を持って 着れるなら。
そんな どうでもいい話をしたいのではないのだ。 そうこうしているうちに 『蓮華草』前の バス停ではないか。
ふぅ。 危なかった。 乗り過ごすところだった。
「『蓮華草』って ぱっと見 アンティーク扱ってる 雑貨屋さんっぽいね。」
店に入ると すぐ 可愛い店員さんが出迎えてくれた。
私は 注文するものはもう 決まっている。 チョコレートドリンクと ガトーショコラだ。
「あ。 わたしも おなじで。」
店員さんが立ち去って 話しを切り出す。
「また 紫香くんのこと悩んでるの? 本当あんた 紫香くん大好きだねぇ。」
コッコの冷やかしは 聞こえなかったことにして。 手紙を見せて その上で 雛木さんと紫香くんは 何をしていたのか コッコに聞いた。
「雛木さんに告白されてあなたに行為を持っているなら 誤解を解く。 それでも あなたに特別好意を持っていないなら 邪魔だと告げられるかな と。」
うわ。 恐ろしい。 後者は ネバネバの ギトギトの ドロドロな 女子が いかにもやりそうだ。
前者だとしても あとあと なにが起こるか 全くわからない。
もう 覚悟を決めよう。 もう 紫香くんに会う日は あしたなんだから。
★頼られる人 友人




