互いの想い
短いです。
トハが言う事によると。
この街が出来るずっと前、嫌い合う鳩と烏が恋に落ち、一旦は堕落したが、愛の力で全てを乗り越え、『鳩烏街』を作り上げ異世界にも足を伸ばして、一躍有名な神になった。その後、鳩と烏は結婚し、中心の鳩烏山で全ての鳩と烏が仲睦まじく暮らしている。
それから約1500年。
その鳩がトハで、烏がスラカだと言う。
だが、最近(約30年程前。)になって、スラカが権力の独占を主張し、ケンカになった。
それから春彦、秋彦が誕生。
それからトハとスラカは二人の特別な力を見出し、父の嘉彦の仕事の都合という事で記憶を操り、この街に来る様に仕向けた。
「ーーということなんだけど…。」
トハは目が回っている春彦を見た。
「僕に特別な力?!神?!ーーごめん、全っ然わかんない…」
「あぁ、この事によってこの街の運命がかわるわ。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!多分人違いですよぉぉぉぉぉぉぉ?!僕なんかにそんなおもぉぉぉい責任負わせる積もりぃぃぃぃい?!死にますよ?!?!」
機関銃の様に口から言葉を発する春彦。
「ごめんなさい…。でも、あなたーー春彦さんの力が必要なんです!!」
ポロポロと涙を流すトハ。
「スラカを…本当のスラカを取り戻したい…!」
「あっ、な、泣かないで!ごめんなさい!」
必死になる春彦。
「~~~……。できる限りの事はしますから。ね?」
決心をした春彦。
「ほ…本当…?」
涙でくしゃくしゃの顔を上げる。
まばゆいよ、目が回る。。
「う、ん。頑張りますんで…」
「うぅ…ごめんなさい…ありがとう。」
一方スラカの居る場所では。
「なーにが神になんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!結局はテメーのわがままじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
話を聞いて荒れた秋彦。
「ちげぇ!!!!俺はただ……。」
小さな沈黙。
「…トハに任せっぱなしなのは…情けないから…」
下を見て呟くスラカ。
「スラカ…」
秋彦はスラカの側に立って言った。
「お前…やるな。」
てか、多分モテ男だよな。
「わーった。やってやんよ。」
「本当か?!」
「そのために連れてきたんだろーが。」
「すまない…ありがとうな」
人間界。時が止まっていて、まるでビデオを一時停止したような風景。
ただ、その中で動く事のできる人物が居た。
「……。」
その人物がニヤリと笑うと、霧が出てきて身体を包み込み、いつしか消えてしまった。