秋は烏
長い気がします。
秋彦の居る場所。
そこは寒気を感じる暗い空間。狭くもなければ広くもない。視界は辛うじて一メートル先が見える程。
秋彦は首に違和感を感じ、触れてみた。
ジャラ、と金属音。それは、首枷だった。
「…は…?」
立ち上がったら足元に金属音。その音の正体も足枷だった。
「ーーんだよ!!!これぇぇぇぇぇ!!!!俺なんかしたかぁぁぁぁぁ??!!」
ガッシャガッシャと暴れる秋彦。鎖を引っ張ったり、と。
約五分程暴れた後、ずっと奥の暗闇から突然声がした。
「暴れんな、少年。」
少々呆れた声だった。
秋彦は感情的になり言い返した。
「んだとコルァァァァァ!!!この状態で暴れねえ奴の方が馬鹿だろうがぁぁぁぁぁ!!!!」
それはもうギャグマンガの様に。秋彦転倒。
「黙れ、少年。鎮静剤打つぞ。」
「俺の名前は少年じゃねえ!!!秋彦だ!!!」
しん、と静かになった。
「ほん、秋彦って言うんだ。へー。」
コツンコツンと足音が近づく。すると、視界が明るくなり、すぐ目の前で忌々しくもポケットに手を突っ込み、秋彦を見下ろして居る青年がいた。
目が眩む程の美青年。
「…?!」
驚く秋彦。
「改めて。初めまして、秋彦君。俺はここらの烏を纏める長。名を、スラカと言う。 」
サバサバと自己紹介をするスラカと言う青年。
「え、と。」
状況が読めない秋彦。
「んー。」
暫し、沈黙。
「アンタがこんな大掛かりなコトしたのか?」
逆に聞いてやった。ハン、ザマミロ!
だがスラカは開き直って、
「うん。そうだよ。」
と答えた。
秋彦の頭に血が上る。
「……」
「何か、問題でも?」
ブチッと何かが切れた。
「ふざけんなぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!!」
勢い良く立ち上がりスラカに殴りかかろうとする。だがスラカはヒョイっとうしろに宙返りし、秋彦の拳を寸前でよけた。
「落ち着け秋彦君。」
「落ち着いてられるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
何時の間にか周りにいた無数の烏がざわつく。
「落ち着いてくれ。その枷は外すから話を聞いてくれ。」
少しだけ必死な顔になり、秋彦は振り上げた拳を下ろした。
「…いいだろう。逃げねぇから話を聞かせろ。」
人間失格にはまってます。