秋彦と春彦。
ここは体育館裏。秋彦が居る。
秋彦はウキウキしながら手紙の主を待った。
すると、太陽に雲がかかったように薄暗くなり、気温も低くなった。
「?」
今日曇るっけ…
そう思った。
「烏に魅入られし少年よ。」
突然声がした。
「うわぁっ!!だ…誰だ!!」
秋彦は声に訪ねた。
すると、太陽にかかった雲さえも覆いかぶさる程のーー烏が降りたった。
「んんん?!」
動揺しまくる秋彦。そして木の影から黒い服装の青年が出て来た。
「俺はーー烏だ。」
そう言った瞬間、周りの草木がまるで生き物のようにうねり、秋彦を包む。烏はその、ボールの様になった物の周りを渦を巻いて飛んでいる。青年は背中から生えた真っ黒の翼をはためかしている。
雲に隠れた太陽が眩しい光りの梯子を掛けた。その瞬間、烏の大群は消えていた。
その頃春彦は、挙動不審の状態でいた。
何故なら、今目の前に猛烈の美人がいるからだ。
鳩の様にも見えるその乙女は、春彦に何かを伝えようとしているが、なかなか言葉を発しない。
「え…えと、お手紙くれたの、君?」
「えぇ。あの…」
瞬間、太陽が雲に隠れた。
「?」
今日曇るっけ…
春彦もそう思う。だが、目の前の乙女は嫌そうな顔をした。
「えっ?!あの…」
「鳩に魅入られし少年よ。」
乙女は澄んだ、それにしては強気な声で言った。
「え?!な…何…」
すると、プールの水が波打ち、生き物の様にうねり出した。そしてーー真っ白な鳩が飛んできた。大量に。
「?!?!」
春彦は何も分からない様な顔をしている。
「き…君は、誰?」
乙女は春彦に笑顔を向ける。
「私はーー鳩よ。」
その瞬間、プールの水が春彦を包む。鳩は、そのボールの様になった物の周りを渦を巻いて飛んでいる。乙女は背中から生えた真っ白な翼をはためかせている。
雲に隠れた太陽が地上に光りを届けた瞬間、鳩の大群は全て消えた。
二人は別々の場所で目を覚ます。
二人は同時に起き上がり、第一声を発する。
「「どこだ?ここ。」」