とある日
時間に余裕を持たせながらの登校。
双子は並んだ下駄箱の前に突っ立っている。
「「……これは…一体…」」
上履きの上に手紙が一通ずつ乗っている。
意味が分からない…
そう春彦が思う。だが、
「春!これ、ラブレターじゃね?!やべー、初めて貰ったわ!」
と、テンションが上がる秋彦。
「そういう物なの?」
まだ信じきっていない春彦。
手紙を手に取り、まじまじと見る。
「あぁ。間違いない。『今日の放課後、体育館裏に来て下さい』だって。」
秋彦は早くも内容を確認している。
それを見た春彦も封を開け、中身を見た。
「…ん?僕は『今日の放課後、プールサイドに来て下さい』って書いてあるよ?」
「きっと違う人からだよ。うん。」
浮かれながら教室に向かう秋彦。
「そうかなぁ…」
春彦が疑うのも無理は無い。何故ならーー
秋彦は黒い、春彦は白い手紙だからだ。
とりあえず教室に向かう春彦。
一方その頃。闇に覆われた広い空間。そこにいるのは、無数の烏と一人の青年。
「チッ。浮かれあがって。」
青年は薄く光る黒い水晶を見つめ、ぼやいた。
時同じ頃、光に包まれた優しい空間。そこにいるのは、無数の鳩と一人の乙女。
「浮かれて居るところ、悪いけど…」
乙女は光り輝く白い水晶を見つめ、哀れんだ。
「じゃあ、体育館裏行くから、お前も用が終わったら帰れよ。」
「うん。秋もすぐ帰ってよ。」
掃除が終わり、放課後。
二人は手紙の主の要望通り、秋彦は体育館裏、春彦はプールサイドに向かった。
ーー心なしか、鳩烏山が妙にざわついていた気がした。