母と鳩
とある日曜日。珍しく晴れ晴れしい天気。
二人は早起きし、外に出た。何か遊ぶ予定があると早起きする。非常に子供だ。
「うわー。良い天気!」
「だなー!」
玄関前の道路を山側に歩いて行く。すると小さな川が草むらに隠れてある。
「秋。後で朝ごはん食べたらここで小学生のがきんちょと釣りするんでしょ?」
「あぁ、そうだよ。坊主ども、早く来るかな…」
魚釣りをする場所を確認し、家に戻った。
「ただぁいまぁ。」
「おかえり~。朝ごはんもうできるからね~」
台所から母の声。
二人は母を見るなり白い目で立ち尽くした。
それは肩にいた。
「…母さん…。肩にいる白いものは一体…」
「見て分からない?鳩よ。ハ・ト!」
白い鳩は二人を確認しても動揺せず、ずっと肩に止まっている。
「ちょっ、母さん。ご飯作ってんなら鳩は危ないんじゃない?」
「え?なんでよ、春。」
あの眼差しだ。恐ろしい程の黒いオーラを目からビームの様に春彦に向けている。
秋彦はこれが大嫌いだ。しかし春彦は鳩の様に動揺せずにいる。
「だって、油とかはねて鳩が痛がるんじゃない?」
つ…強者すぎる…コイツ…。
秋彦は充分動揺し、鳩もオロオロしているように見える。
「あぁ!そっか!なら可哀想な事しちゃったわねぇ…。じゃあ、仕方ないから外に放して来るわ」
母は鳩を両手でそっとつかみ、裏口から放した。
「最近、すごい鳩になつかれるのよ。困ったものだわ…」
そう言ってまた料理をし始めた。
すると二階から父が降りて来た。
「鳩か。僕は烏だよ。なんでだろうね。」
そう言ってイスに座り、煙草をふかし始めた。
ーー鳩と烏。この街の神。
二人はそんな事を考えていたかは分からない。だが、ほんの少しだけ寒気を感じた。
「あら?もう10時半じゃない。秋、春。30分も遅れてるわよ!早く行きなさい!」
予定時間は10時。
「「あああああああああああああああ!!!!やべえええええええええ!!!!」」
二人はダッシュで玄関を飛び出した。
「「…ん?」」
二人は止まり、小さいが無数の視線を感じた。周りを見ても誰もいない。いるのはーー
鳩と烏だ。
「あ…秋…早く行こっか。」
「あ…ああ。」
気付けば視線も感じなくなった。
その後、がきんちょ共に怒られたのは言うまでもない。
次からはタイトルが今の形式と違うようになります。
多分。