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白黒ヒーロー兄弟  作者: 毒林檎系大聖母
神の夫婦喧嘩
3/27

父と烏

転校して一週間。まるで梅雨をも思わせる四月某日。

二人は驚くほどクラスに馴染んだ。

浅く広く友達を作り、先生には「早く馴染んでよかったわ」と言われる。




遅くなったが、鳩烏町について説明したいと思う。

あまり歴史や出来事がない街。

街の真ん中にある街の象徴、鳩烏山は、その名の通り鳩と烏の神を祀っている山。八月に産みの親の街に里帰りするという。

四月辺りとてもジメジメする、雨がよく降る地域。

藤岡家は父ーー嘉彦(よしひこ)の転勤でこんな地味(なにもない)街にやって来た。

ーーそれが仕組まれた事だとは知らずに。




「ただいま~。母さん、お腹すいた~」

秋彦がなんとなく倒れそうになって言った。

「おかえり。おやつ、テーブルにあるから春と食べなさいね」

キッチンから声。

「チッ。子供じゃねーよ」

「ん?なんか言った?」

包丁を持って母が現れる。

「あっ、いや…なんでもない…」

「どうしたの?秋にい。」

母が引っ込んだのを確かめて呟いた。

「か…母さんに殺意を感じた…」

「あっ!ドーナツ!」

テーブルに手作りのドーナツがあった。母は見た目通り、料理が得意でよくお菓子を作ってくれる。

美味しそうに食べる春彦を見て、秋彦も食べる。

母の料理は、んまい。と思いながらモッサモッサと二個目を食す。


「ただいま~。」

「あら、あなた。おかえり~。」

夕飯時。父が仕事から帰った。

「いやぁ、会議が長引いちゃって。」

「あらぁ、そうだったの?大変だったわね~」

母は父にベタ惚れで、父を喜ばせるために料理の腕を磨いたようなものだ。

一方父の方は、ほんの少しだけ呆れているが、まだまだラブラブだ。ナウでヤングなカップルだ。(古い。)




「あーあ。めんどくせーなー。」

秋彦の部屋。只今勉強中だ。

「秋にい、頑張れよ。頼むから。」

同じく春彦の部屋。二人は同じ部屋だ。

「だってめんどくせーもん。」

「もう…。めんどくさいなら引き延ばすなよ!このバカ秋!!」

「はあ?!俺がバカだって?!ふざけんじゃねえよ!!」

「ふざけてませんー。少なくとも秋よりは真面目ですー。」

「はン。俺がバカならお前もバカなんだな。」

「なにを~~!!!」

ガタッと立ち上がる。

「うるさい!!!」

珍しく父が怒った。

「「え?」」

「あぁ、怒鳴ってすまん。いや、なんか最近カラスがうるさくてねー。ついイライラしちゃって…」

父は新しい煙草を取り出しくわえた。

「あー、ごめんな。春。」

「いや…こっきこそ。秋に…」

「あ、その『秋にい』じゃなくて、普通に秋って呼んでよ。」

「え?あぁ、うん。あ…秋。」

「うんうん。めっちゃしっくりくる。」

二人はとりあえず勉強を終わらせ、二段ベッドの上に秋、下に春という具合で潜り込んだ。

…ベッドの中でゲームをし始めたのは、言うまでもない…。

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