2人の誓い
夜、港に座っている蓮夜をみつけた。
「蓮夜なにしてるの?」
「ん?佑璃か」
「今日はありがとう」
「あー、いいよ」
「異国の言葉話せるんだね」
「学校で勉強するんだよ」
「そうなんだ」
やっぱり未来と今の差は激しい。
「あのさ・・どうしたの?」
「え?」
ジャックの案内をしている時からずっと気になっていた。
「滝丸と何はなしてたの?なんかおかしいよ」
「・・・幼馴染みだってな」
「うん」
「幼馴染みか・・・」
どうしたんだろう。
「あの子は・・・俺の幼馴染み・・・」
「え?」
それって・・・。
「あの人のこと?」
「たぶん・・・そんな気がするんだ。お前と滝丸の話を聞いてて」
蓮夜もお前らと同じように喧嘩をしていたという。
「思い出したの?」
「あと・・・すこしって感じ」
あーと言って倒れた。
「蓮夜?」
「お前も素直になれよー」
「え!?」
「滝丸」
「な・・・」
寂しそうに笑った。
「本気で好きなやつがいるならそう言えばいいのに」
「そんなんじゃない!」
「そうか?」
見透かすように私をみた。
「だって滝丸は・・・どうせ・・・」
何もわかっていないんだ。
「滝丸の家どこ?」
急に蓮夜は立ち上がった。
「あっちのほうだけど」
「案内して」
そして促されるままに蓮夜を滝丸の家に連れて行くことになった。
「滝丸ー」
名前を呼びながら戸を勝手にあけた。
「・・・何これ・・・」
明かりも付いていないし、誰もいない。
「滝丸!?」
え?何がおきたの?
刀もないし、着替えもなくなっている。もうここの住人はいないように見えた。
「おい、佑璃!」
「何?」
「あそこだ!」
蓮夜の指差した先には滝丸の後ろ姿があった。
「滝丸!!!」
思わず駆けだしていた。
「え?あ・・・佑?」
私の声を聞いたのか滝丸は立ち止まった。
「どこに・・・いくの?」
「佑・・・」
いつの間にかまた袖をつかんでいた。
「どこに行くか聞いてんのよ!!」
滝丸はただ静かに私を見下ろした。
「佑には関係ないよ」
私の手を放そうとした。すると蓮夜が呆れたように言った。
「お前らなー、いい加減素直になれよ」
「!」
「なんだと!」
「俺がこじらせたみたいだけど・・・お互いわかってるんだろ?自分の気持ち」
蓮夜は真剣な目で私をみた。
「佑璃、お前の気持ちを正直に言え。じゃないと・・・こいついなくなる」
「え!」
そんなの・・・
「嫌だ!!」
「え?」
「滝丸・・・どこにも・・・行かないで・・・」
涙が出てきた。
「おいて行かないで・・・そばにいてよお・・・」
崩れ落ちた。
でも、袖は絶対にはなさない。
「佑・・・?」
滝丸もしゃがんで私と目線を合わせた。
「それは・・・こいつにいう台詞じゃないのか?」
蓮夜を見て言う。
「違う!滝丸がいいの!!」
決めた。正直に・・・素直になろう。
「好きなの!滝丸のことが好きなのよ!!」
「!?」
滝丸が混乱しているのがわかった。
「え?だって佑が好きなのはこいつじゃあ・・・」
「私が好きなのは滝丸だよ・・・ずっと昔から」
何もわかっていない彼に本音を言う。
「家を出て行ったのだって・・・滝丸にお見合いを勧められるのが嫌だったからなんだから。なんでずっと好きだった人にそんなこと言われなくちゃならないのよ・・・」
お見合いが決まった日、滝丸に相談すると『よかったな』の言葉が返ってきたのだ。
「もしかしたら探しに来てくれるかもしれないって思ったら、父様の指示だったし・・・。私は滝丸の意思で探しに来てくれること期待してた。そのまま一緒にいてほしいって思ってたのに・・・なんでよ・・・いなくならないでよ・・・」
今までの思いが込み上げてきた。
「嫌だ・・・幼なじみのままでいいから・・・そばにいて・・・」
そこで蓮夜が口を開いた。
「そういうことらしいぞ。滝丸。お前も逃げるのやめろよ」
滝丸をみた。
「お前さずっと・・・」
そこまで蓮夜が言うと滝丸は私を見た。
「佑璃・・・」
「なによ・・・」
「・・・ばーか」
「はあ!?」
しかし、そこでぎゅっと抱きしめられた。
「俺はお前の家の使用人だから、身分が違うから、あきらめてた。佑璃がいいところに嫁に行くのが一番だと思ってきた」
「そんなこと・・・」
「佑璃、好きだよ、愛してる」
「たきまる・・?」
「さっきの言葉が本当なら・・」
ぐっと手に力が入った。
「一生離さないぞ」
「!うん」
うれしいと正直に思ってしまった。
「俺の・・・その・・・」
そして何か口ごもり、叫んだ。
「俺の所に嫁に来い!」
顔が真っ赤だった。
「うん!!」
ぎゅっと私も抱きしめ返した。
「よかった」
「え?」
蓮夜が言った。
「これで俺もお役御免ってところかな」
「何?」
「思い出したよ、あいつのこと」
まさか・・。
「幼馴染みの・・・?」
「おう」
すると、蓮夜の体が光り始めた。
「滝丸、佑璃を幸せにしろよ」
「それはもちろん」
「俺も・・・幸せにしてやるからさ」
「え?」
私の頭に触れた。
「未来のお前を」
「!?」
「・・・なるほどな」
滝丸がつぶやいていた。
「お、さすが俺」
「お前もな」
握手を彼らはしていた。
「この時代は任せろ。だから・・・」
「ああ、未来は俺に任せろ」
そして私の方をみた。
「佑璃、ありがとう」
そういったかと思うと笑って消えた。
「蓮夜・・・?」
そこには何もなかった。
「滝丸?蓮夜は何を・・・?」
「まだわかんないのか?」
「え?」
滝丸の家に向かいながら説明してくれた。
「蓮夜は俺だ」
「は?」
「正確にいうと、未来の俺。なんか似てる気はしたんだよなー」
「・・・生まれ変わりってこと?」
うんと滝丸はうなずいた。
「そして、蓮夜にも大切な幼馴染みがいる。それが・・・」
「・・・私?」
「そういうことだ」
そして家についた。
「だからこの時代は俺がお前を守る。絶対に幸せにするよ」
「滝丸・・・」
「ま、その前に風希さんと旦那様を納得させるところから始まるんだけど」
困ったように頭をかいた。
「佑璃も協力してくれよな?」
「あはは、がんばれ」
「おいおい」
それでも私の手は滝丸を離さなかった。
後日、滝丸は何日もかけて兄と父を説得し、見事に私を嫁にもらってくれたのだった。
一応、本編はこれで終わりです。




