表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時を越えて  作者: 槻乃
5/9

佑之進

次の日、2人で仕事をするために寺にきていた。仕事の内容は和尚様の護衛だ。

「では、よろしく頼みます」

寺の周辺に最近山賊がでるらしく、和尚様を隣町まで無事に送り届けることが目的だ。

そして・・その日の夕方、もう少しで隣町というときに山賊は現れた。

「和尚様!!」

「む・・」

「下がっていてください」

2人で和尚様を守るように囲んで戦った。

「もう大丈夫ですよ」

しばらくすると山賊は逃げた。

「さあ、行きましょうか」

「ありがとう」

こうして仕事は順調には終わるはずだった。


帰り道は夜になっていた。

「今日は野宿か」

「・・・そうだな」

蓮夜が一瞬迷ったように聞こえた。

「どうした?初めてか?」

「そりゃ初めてだけど・・」

何か言いたげだが、そんな暇はなかった。

「いたぞ!!」

山賊の声がした。

「・・山賊か!!」

夕方の仕返しに来たようだ。人数を倍以上に増やして。

「ちっ」

蓮夜が舌打ちをする。

「佑之進、こっちはまかせろ」

「わかった」

自然に背中を守らせていた。


「ふう・・佑之進大丈夫か!?」

どうにか撃退した。

「ああ」

「・・・うそつけ、足見せてみろ」

裾を上げられる。

「!!!な・・」

「ほーら、捻挫してんじゃねえか。腫れてるぞ」

呆れたような声をだした。

「・・・」

足を見ると大きくはれているのがわかった。

「ほら、今日はもうここで休もう。座れ」

肩を貸してもらいながらゆっくり座った。

「まったく・・」

手ぬぐいを破くと丁寧に捻挫したところにまき始めた。

「冷やすものがあればいいんだけど・・」

巻きながら言った。

「・・・手慣れてるな」

「昔からこんなことはよくしていたし」

「そうか・・」

器用な男だ・・。

「なぜ・・わかった?」

「ん?ああ、顔見りゃわかるよ」

「顔?」

顔に出ていたらしい。

「さあ、寝ろ。見張りはしといてやるから」

「え?」

「休まないと治るものも治らないぞ」

「・・・」

しぶしぶ寝ることしか自分にはできなかった。


翌朝、立ち上がろうとすると転んでしまった。

「いったあ」

「ほら、乗れよ」

蓮夜は私の前にしゃがんで背中に乗るように指示をした。

「はあ?」

「いいから」

そのまま背負わされて山を越えた。

「・・・蓮夜・・力あるんだな・・」

「お前が軽いんだよ」

「・・・うるせえ・・」

悔しい。

「ついたついた」

途中で休憩しつつも日が暮れるまでには家にたどりついた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

家の中に入り、私を降ろすと蓮夜は桶をつかんで外に出ようとした。

「水くんでくるから、おとなしく待ってろよ」

「・・・」

無言でうなずいた。

そして蓮夜の姿が見えなくなるとみはからかったかのように一人の若い男が現れた。

「佑」

「・・滝・・丸・・!」

「探したぞ」

昔からの知っている顔がいた。

「お前・・なんで・・ここ・・に・・」

「山賊捕まえて聞き出した」

あの山賊に聞いてそのまま追いかけてきたらしい。

「どうして・・・」

こんなはずじゃなかった。

「あの男はなんだ?」

滝丸の興味は蓮夜にも向いていた。

「・・・・滝丸には関係ない・・」

「・・・その格好は?」

「それは・・」

「佑!」

がっと両肩を掴まれた。

「帰って来い!皆佑のこと心配してるぞ!!」

やっぱり・・そうなるんだ・・。

「私の心配?」

「そうだ、旦那様もお前がいなくてどれだけ心配してるかわかるか?」

「っ・・そんなの違う!」

「心配してるのは自分の身だ!」

私の心配じゃない。

「出世の道具が無くなって困ってるだけ!!」

だから家をでて・・こんな格好をしているのだ。

「心配してるに決まってるだろ!大事な娘なんだから!!」

「知らない!!」

聞きたくない。

「佑!」

「どうせまた10も離れたくそじじいのところに嫁に行けとか言うんでしょ!そんなの絶対いやだから!!」

そう、私は女の子。政略結婚が嫌で家を飛び出してきた。

「絶対に戻らない!」

「佑・・・」

「お願い・・帰って。私はもうあの家には絶対に戻らないから。そう伝えて」

「・・・」

滝丸が困っているのはわかった。

「いい加減にしろよ・・、風希さんも心配してるんだぞ?」

風希とは兄の名だ。

「兄様は・・」

わかっている。あの人は本気で心配してくれているだろう。それでも私は戻りたくない。

「はあ・・」

滝丸は大きくため息をついた。

「あの男は誰?」

「え?」

落ち着こうと話題を変えてきた。

「お前をずっと背負っていた奴」

「蓮夜?」

「家出と関係あるのか?」

「ないよ。あいつは、少し事情があって一緒に暮らしているだけ」

未来から来たことは言えなかった。

「一緒に?」

睨むように見られた。

「未婚の男と女が?」

「あいつは私を女だと知らない」

「・・・はあ」

「何よ・・」

また大きくため息をついていた。

「佑・・」

「お願い、帰って」

「・・・」

これ以上なにも言わせたくなかった。

「帰って」

すると丁度そこに蓮夜が帰って来た。

「ん?お客さん?」

「・・・また来る」

滝丸は蓮夜を睨んで姿を消した。

「なんだ?」

「なんでもない、気にするな」

それより・・話をきかれたのかな・・。

「話きいてたか・・?」

「いや、聞いてない」

それなら問題ない。

「ほら、足だせ」

「ん?・・・っ!!」

足を急に掴まれ水の中に入れられた。

「こうして冷やしとけよ」

「・・・おう」

彼はそれ以上何も聞かなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ