通り魔との対峙
夜になると、蓮夜と共に町の中を見回ることにした。
「なぜ、その格好なんだ?」
蓮夜は初めて会ったときに着用していた奇妙な服装に着替えていた。上着は脱ぎ、ねくたいとやらは外していたが。
「袴動きにくいんだよ」
「そういうことか」
確かに危険な仕事だ。慣れない服よりもこちらのほうがいいのだろう。
1刻半もすぎたころ、町中に刀を差した男が現れた。
「あいつか・・?」
「怪しいな・・」
ふらふらと歩いている。
「つけてみるか」
「おう」
そっと後ろからつけることにした。
そして・・薬屋の息子が偶然やつの前を通りかかったのだ。
「・・・うごいた・・」
薬屋の息子はどうやら他の町に行っていて、やっと今帰って来たというような風貌だった。
それをみた男は息子を追った。
「・・・いくぞ」
蓮夜に声をかけると小さくうなずいた。
「な、なんだ!?」
息子が叫んでいる。
「た・・誰か!!助けてくれ!!」
追いついた時には息子は襲われていた。
男は刀を抜き、今にも斬りかかろうとしていた。
「!!」
キーン
「はあ、はあ、はあ・・・」
「!!」
刀を抜いて男と息子の間に入り、直前で刀を止めることができた。
「ふう・・大丈夫か?」
蓮夜が来て、薬屋の息子に話しかけていた。
「ああ・・ありが・・とう・・ございま・・す」
腰がぬけたようだ。
「佑之進、俺はこいつを運ぶ、その間頼んだぞ」
「わかった」
そして自分は通り魔と向かいあった。
「貴様が連日の通り魔・・と考えていいな」
「はんっ」
そのまま再び斬りかかって来た。
「っ・・」
力が・・強い。
「よええなあ・・俺はなあ、強いやつとやり合いたいんだよ!!」
「くそっ」
でも・・力がなくても・・負けるわけにはいかないんだ!!
「はっ!!」
体重をかけて斬りこんだ。
「ちっ」
一歩後ろに跳んで再び向かい合う。
「貴様あ・・小さいくせに・・・」
「小さいからって馬鹿にするなよ!」
身長がなくもまけられない。
「小さいは小さいなりに戦い方があるんだよ!!」
その後何度も刀を交えた。
「はあ、はあ、はあ・・」
「やるな・・ガキ・・」
お互い息が切れていた。
「これで最後だ」
そういって通り魔は思いっきり斬りかかって来た。
カーン
「あ・・!」
「これでおしまいだなあ・・」
刀が飛ばされた。
「!!」
くそっ・・・ここまでか・・・。
こんなところで死ぬなんて嫌だ・・!
「佑之進!!」
とどめを刺されそうになった時ちょうど蓮夜が戻ってきた。
「くるな!!」
未来から来たこの男が・・斬り合いを知らないこの男が通り魔にかなうわけがない。
「そんなこといってられねーだろ!」
「蓮夜・・」
そして蓮夜は通り魔の前に立ちはだかった。
「よお、かかって来いよ」
「なんだ貴様。奇妙な格好をしおって・・丸腰じゃないか」
「丸腰・・?ちげえよ!!」
蓮夜は言うなり跳んだかと思うとそのまま通り魔の横腹に思いっきり蹴りをいれた。
「必殺、回し蹴りってな」
いえいと言って体制を立て直す。
「ぐ・・やるな・・ガキ」
「はいはい」
そして次の瞬間人は通り魔の腕を手刀でたたき、刀を落としていた。
「いっ・・」
「じゃあ、とどめなー」
はっと気合をいれたかと思うと顎に向けて蹴りを入れていた。
「ぐああああ!!・・・」
「・・・あ・・やべ」
かなり飛ばされ、地面に横たわった姿を確認してつぶやいていた。
「・・ふうう・・佑之進、無事か?」
「・・・ああ・・・おまえ・・つよい・・」
ありえない。刀を持つ相手に・・丸腰で・・素手で勝つなんて。
「一応鍛えているからさ」
にっとわらって手を差し出してきた。
「立てるか?」
「ありがとう」
「どういたしまして」
お礼を言うとうれしそうに彼は笑った。
「それにしても・・ちょっとやりすぎたかなー・・気絶しちゃったよこいつ」
つんつんと指先でつついていた。
「それでも・・捕獲できれば十分だ」
持ってきていた縄で縛りあげると、役所に通報した。
「薬屋の息子は?」
「大丈夫、家まで届けたよ」
「そうか」
無事ならいい。よかった。
「それで・・蓮夜・・さっきの・・」
「ん?ああ、気にするなって」
「怖くないのか?初めて刀見たのだろう?」
正直、初めて奴を見たときに怖いと思ってしまった。
「だって・・佑之進倒れてたし、助けないとなーって思ってたからそれどころじゃないさ」
「・・・」
「それに、鍛えてるっていっただろ?俺は丸腰でも、この手、足が武器だ」
「戦うのか?」
「戦うってほどじゃない。ただの喧嘩だよ。といっても負けたことはないけどな」
ニヤリと蓮夜は笑う。
「佑之進もさ、小さいし、華奢だけどあそこまでやれるんなら強いんじゃないのか?」
「・・・私は・・・強くない・・」
悔しい。守られまいとして、守ろうという勢いで臨んだのに助けられるなんて。
「無力だ・・」
「そんなことないと思うぜ」
驚いて蓮夜を見上げた。
「だって、あの薬屋の息子言ってたもん」
「・・・」
「助けてくれてありがとうってさ。伝えてくれって」
「・・・そうか」
「ん?何?泣いてんのか?」
「うるさい!見るな!!」
「・・・ふっ・・ばーか」
あたまをくしゃくしゃとやられる。
「男児たるもの泣くわけにはいかぬ」
「・・・そうだな」
よしよし、とそれでも涙が止まるまで蓮夜は離れることはなかった。




