未来から来た男
月明かりの綺麗な夜だった。
山のふもとにある家に帰ると目の前に不思議な格好の男が倒れていた。
「何者だ・・・?」
見た目の年齢は近い。死んでるのかと思い恐る恐る近寄ると息をしていることを確認できた。
「おい」
揺さぶるとうーんと唸る声がした。
「寝てるだけか・・」
しかし、このままにはしておけない。
「仕方ない」
よいしょと男を担ぎ家の中に入れた。
翌朝
「起きたか?」
「ん・・おはよう・・ございます・・?」
男は眠そうに体を起こし、そしてきょろきょろと家の中を見渡した。
「・・・どこ?」
「私の家だ」
「誰・・・?」
男は私の姿を見つけると不思議な言葉を発した。
「コスプレ?」
「こおすぷ・・れ?」
こすぷれとは何だ?
「お主はどこのものだ?なぜ家の前で倒れていた」
「・・・時代劇みたいなしゃべり方だなー」
と何かぼそぼそとつぶやいて男は答えた。
「ま、いっか。俺は藤堂蓮夜」
男は名前を名乗ってきた。
「あなたの名前は?」
続いて名前を聞かれたので答えるしかない。
「私は佑之進という」
「佑之進か。本当に時代劇とかに出てきそうな名前だなあ」
男がまた何かを言うが意味はわからなかった。
「それで・・お主はなぜ我が家の前で倒れていたのだ?」
「んー・・昨日学校から帰ろうとして・・あれ?」
一生懸命思いだそうとして唸っていたが結局、
「むう・・意味がわからんぞ」
と腕を組んで首をかしげていた。
「そうだ」
急に顔をあげ私を見た。
「何だ?」
「倒れてたってことは、君が俺をここまで運んでくれたんだよな?ありがとう」
悩んだりお礼を言ったり、気分がころころ変わる奴のようだ。
「いや、武士として当然のことをしたまでだ」
そう答えると蓮夜が次はいっそう首をかしげた。
「武士ねえ・・なあ、ここどこ?」
「だから、私の家だ」
「じゃなくて、どのあたりかってこと!地名とか」
「江戸だぞ」
「・・・いやいや」
「どうした?」
急にあわて始めた。
「今日って何年何月何日!?」
「?」
日付を聞かれたので正直に答えた。
「・・・江戸・・」
「だからそう言っておろう」
「江戸・・時代・・・」
様子がおかしい。
「もしかして、将軍って徳川?」
「何を当たり前のことをいっておるのだ?最近かわったばかりだろう?」
「・・・!!!」
衝撃を受けたのか、布団の中にうずくまる。
「蓮夜?」
「いやいや、ありえないって。はあ?うそだ、うん、これはドッキリだ!!」
「おーい・・」
布団にもぐった蓮夜は大きな独り言を言ったかと思うとがばっと布団から飛び出した。
「嘘をついても無駄だあ!俺は騙されねーぞ!!」
いきなり指をさされた。
「嘘など言っておらん」
「嘘だあ!」
何が嘘なのかがわからない。
「とりあえず、飯でも食え。そして落ち着け」
どうにか落ち着かせることに成功し、ともに朝食をとることとなった。
「かたい・・」
米を食べた感想がこれだ。
「大事な米だ。残すなよ」
「はーい」
そしてみそ汁も平らげた。
「残さず食べたな」
お腹一杯になったらしい蓮夜はじっとしていた。
「ああ・・」
そこで蓮夜から話を聞いてみるとトーキョーとかいう国から来たという。
「トーキョー・・聞かない名だな。薩摩のほうの地名か?」
「・・・えっと・・まじかよ・・」
ため息をつきながら言うには、未来の江戸のことだという。
「未来から来たというのか?」
「そうみたい」
先ほどまでとは変わって小さく苦笑していた。
「しかし・・未来ではそのような服装を?」
彼の格好はまるで異邦人の服装に見えた。
「まあ、こんな格好かな。ただのブレザーなんだけど・・」
最後の言葉の意味はわからないがこの異様な格好は彼にとって普通のらしい。
未来から来たというのは信じられない話だ。しかし、なぜか蓮夜の言葉なら信じてもいいという感じがしたのだった。




