表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幼なじみに好きって言いたい

作者: ヤナギ
掲載日:2026/06/08

「あー、最悪」

放課後になり、窓に目をやると、僕は呟いてしまう。

「どうした?」

隣に立つ幼なじみの女子が聞いてくる。

「天気予報外れちゃったよ。傘ないし、どうしよっかな」

「傘あるよ」

「いや、いいよ。僕が借りたら君が濡れるじゃん。女子を濡らして自分は濡れないって最悪じゃん」


「じゃあ、相合傘すればいいじゃないか」

何でもなさそうに言ってくる。


僕が困るんだけどなぁ。


「てか、何で傘持ってるの?」

「天気予報が外れてもいいように」

「準備のいいことで」




「何かいい本あった? ユウヒ君」

下校中、幼なじみの女子、アキコさんは聞いてくる。

「書店の息子でしょ、いい本あったら教えてよ」

相変わらず、淡々と、何考えているのか、幼なじみの僕にも分からない。


僕を恋愛対象として見ていない。

自分と違って。

それだけは分かる。


本当に相合傘してるのに、ドキドキしてるのは自分だけなんだもんなぁ。

高校生になったんだし、恋に興味ないのだろうか?


雨がポツポツと降るなか、僕が傘を持ち、下校している。

周りに人があんまりいないのが救い。


家はすぐ隣。

そして、アキコさんは小さな個人経営の書店のお得意様でもある。


「教えろよ、いい本。

ないの?」

「今はどんなの読みたいのかな」

「キミが好きなのでいいよ」

「…そういう言い方はやめた方がいいと思う」

「? なんで?」


好きな人に「好き」とあんまり言ってほしくない。

余計ドキドキするじゃないか。


同じ高校生なのに。

本にしか興味がないのかもしれない。




「傘返すよ」

アキコさんの家の前で、僕は傘を返そうとする。

「濡れるじゃないか」

「いや、走ったら30秒だから大丈夫」

本当にすぐ隣だから、と。


すると、アキコさんは今日初めて表情を崩し少し微笑む。

「高校生になったばかりなんだ。私はもう濡れないし、風邪を引いたらいけないから。

明日返してよ、それでいい」


「わかった」

僕も微笑み、

「ありがとう」

「後でそっち行くから、少し濡れるかも」

「やっぱ返す!」

好きな人の濡れた姿とか本当に勘弁してほしい!

「大丈夫。本は濡らさないから。30秒、だろ?」

「そーいう問題じゃなくて…!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ