表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第三部 魔法少女を貫き通すって話。
53/57

勝負を決めるは心の強さって話。


『全リソースを戦闘に集中、シーケンス、開始!』

「何をするかと思えば……」


 時間結界を展開してきたのには少々面食らったがそれまで、あくまで奥の手が封じられただけであり通常戦闘に支障はない。対策がそれだけというのなら負ける道理など何一つなく、ただ単純な作業のようなもの。


四重詠唱(クアドラプルコール)拡散(ディフュージョン)光線(レーザー)速射(ラピッド)収束(コンバージェンス)!」

「……」


 何をしてくるかと思えば相変わらずの物量攻撃。相殺してやりたい所だが無駄に詠唱を重ねているせいで光速化と拡散が同時に為されている。なら入れ替えで確実に1人仕留めるとし……


『やはり使ってきたな!』

「……転移、できてなっ!?」


 ……呪文(アーツ)を発動したと思った次の瞬間私は入れ替わり先の位置に立つ事なく元の場所に静止していた。想定外の事態に一瞬呪文(アーツ)の再行使が遅れ光速の矢の嵐をそのまままともに被弾してしまう。一体どういうカラクリで……っ!


「上かっ!」

『……此方は流石に防がれたか』

雷霆(ケラウノス)!?」

「誰も詠唱してないのになんで!?」


 着弾から数瞬遅れて降り注ぐ雷を放り投げた剣に誘導し回避。失敗した転移、狙ったかのように降り注ぐ雷霆(ケラウノス)……引っかかる、一体何が?


「……予定変更」

「やっぱりきた!やるよウェヌス!」

「はいっ!三重詠唱(トリプルコール)光線(レーザー)砲台(タレット)追尾(ホーミング)!」


 一旦態勢を立て直そうと跳躍しながらレーザーの嵐を放つがそれも想定済みらしく2人がかりで相殺される。まあこれは想定済み、一度返された手が二度通用するとは思っていない、あくまで時間稼ぎだ。


「……!」


 今必要なのは何故転移が失敗したかの追求だ。レーザーを対処させているうちにユピテルの近くに居るミネルヴァと位置を入れ替え……


『隙ありだ!』

「またっ……!?」


 ……ようとしたが、また失敗したらしい。相変わらず転移は起動せず逆にユピテルが転移し奇襲を仕掛けてくる。剣は避雷針として手放した、面倒だがステゴロでの対処をっ……!


「またか!」

「また雷霆(ケラウノス)……何がどうなってるの!?」

『やはり戦闘経験は消え失せているな。本来の君ならば初回で気付いているだろうに!』

「チイっ……!」


 再度唐突に降り注ぐ雷をどうにか躱し、合間を縫って一撃叩き込もうとするユピテルに応戦。槍と素手ではリーチが違いすぎるため強化した加速(アクセル)で追いつかせているが普通強化(マキシム)までやればリーチを無視して有利を取れる筈、だが崩れる様子もなければむしろ張り合うように速度が上がっている。


「何が、どうなって……!」

『考えうる君の戦い方は全て対策したとだけ言っておこう!』


 加速(アクセル)を詠唱してはいない、しかし徒手空拳を全て槍の柄で受け止めるその動きは明らかに詠唱していなければ辻褄が合わない位加速した私に対応しきっている。おかしい、私は何を見落としている?転移の失敗、狙ったように降り注ぐ雷霆(ケラウノス)、私の速度に「《《合わせた》》」ような加速……合わせた?


「まさか……そんな馬鹿な事」

『ようやく気付いたな、だが遅いっ!』

「種が割れれば此方のものだ……!」

「こっちを忘れてるよ!」

「っ!」


 解が見えたタイミングで乱入してきたミネルヴァの一太刀をどうにか掠る程度に留め後退。再度剣を生成し直して思考を組み立てる。


「休ませないよ!」

「そう見えたか……だが」

「隙あり!」

「それはもう見た」

「んなっ!?」


 すぐさま追撃を仕掛けてくるミネルヴァの連撃を小回りの利く小剣で弾き、ディアナの物量攻撃を今度は反射(リフレクト)を付与した障壁(シールド)で戦場に拡散させる。数秒程度の足留めにしかならないだろうがそれでも充分、そしてこれが無効化されなかった事で解は完全に確定した。


『よし、加勢する!』

「同時に行きますよテルスさん!」

「なるほど、な……」


 転移(ワープ)は失敗したのではない、確かに発動した。ならなぜ元の場所に戻っていたのか……辿り着けば答えは実に単純だ。


「だが、その程度で倒せるなどと思わない事だ」

『そのまま返させてもらう!』


 こいつは私が特定の呪文(アーツ)を使用した時自動で指定された呪文(アーツ)を放つようにプログラミングされている。転移(ワープ)交換(チェンジ)には2回の転移(ワープ)雷霆(ケラウノス)を、そして加速(アクセル)には加速(アクセル)を。全く舐められたものだ、それだけでデバイスのスペック差をどうにかできるとでも?


「所詮は小手先、性能は覆せない」

「そうだとしても、それは私達が貴方に勝てない理由にはならないっ!」

『合わせろミネルヴァ!』

「はいっ!」

「無駄な事を……」


 所詮は限定的な自動詠唱、状況に合わせた呪文(アーツ)を即座に放つという最大の利点を再現しきれてない以上対策は容易。前回は動揺して不意を突かれただけ、これ以上の奇策がないというのなら……


「いい加減に……諦めろ!」

「いいや諦めません!二の矢行きますテルスさん!」

『応とも!』

「また小細工をする気か!」


 槍の一撃を回し蹴りで防ぎ、差し込まれる大剣の突きをこれまた小剣で弾き返したかと思えば奇妙な事に2人して距離を取ってくる。確かに弾幕はケレスとウェヌスに向けているが防御を疎かにしている訳ではない。ディアナの攻撃を弾いたように見え透いた攻撃ならば容易く防げる……何をする気だ?


呪文詠唱(アーツコール)転移(ワープ)!」

「……?」


 何が起きても対応できるように身構えて来たがただの転移(ワープ)?妙だ、あの時は入れ替わりを含めた奇襲、それも初見殺しだったから対処できなかっただけ。奴らもそれは理解しているはず、こんな無鉄砲に突っ込んでくるとは思えない。


「正面っ!」

「見え透いた手だ!」


 ……そして何か奇策を用いる訳でもなく正面への転移。まさか何もない策に思考を割かせて油断を誘おうとしているのか?そこまで頭が回るとは思えないし引っかかる程『シイッ!』っ!?


「何時の間に!?」

『防いだか、もう一度だ!』

「何度でも行きますよ!呪文詠唱(アーツコール)転移(ワープ)!」

「なっ……」


 ミネルヴァの大剣を受け止めたかと思えば気付かぬうちに背後に居たユピテルによる刺突の追撃。受け止めた大剣をずらしてどうにか回避したがすぐさままた転移(ワープ)、まあそれはいい。問題はミネルヴァの転移(ワープ)に対応するようにユピテルも転移(ワープ)を発動している事、それも無詠唱で。


「来ると分かっていれば!」

「そりゃあそうしますよね!」

『だがこれでは防戦一方だろう!』

「ぬかせ!」


 ある程度検討は付いている。恐らくユピテルは私への対応とは別に転移(ワープ)のみの詠唱にも自動詠唱を設定しているのだろう、2回目の奇襲も挟撃だったし詠唱者の対角方向に転移するようになっているのか?とすれば……

 

呪文詠唱(アーツコール)転移(ワープ)!」

「3回目が通ると思うな!」

『無論思っていない!強化詠唱(マキシムコール)幻影(イリュージョン)!』

「視覚だけ誤魔化しても!」


 学習される事は想定済みのようだが対策が甘い、剣を大型の物に作り替え周囲を即座に薙ぎ払えるよう刃を横に寝かせる。いくら視覚を惑わしても斬りかかる際は接近しなければならない、それならば合わせて刃を振るえばいい。そうすれば……


「今!」


 周囲に展開された大量の幻影が剣と槍を振るうタイミングに合わせ周囲を薙ぎ払う。必ずこの中に本体は居る、こんなにあっさりと仕留められるとは思……


「何……!?」


 ……薙ぎ払った刃に物体を裂いた感覚は、ない。全て幻影?なら本体は何処に消えた?時間結界の中で撤退など……いや。


「そこかっ!」

「っ……ディアナ、後何秒!?」

「20秒は欲しい!テルスさん!」

『任された!強化二重詠唱マキシムデュアルコール結界(プロテクト)加速(アクセル)!』


 空を見上げれば何やら両手を繋いで魔力を放出しているミネルヴァとディアナ、そして2人の壁になるように結界(プロテクト)を貼りながら此方へ突っ込むユピテルの姿。そうか、今までの転移は全てブラフ、確実にこれを通しにいくための……


「させるか!」

『此方の台詞だ!』


 時間結界で時間凍結(クロノフリーズ)を封じ、雑な対処に弾幕を使わせ、何度も失敗させる事で転移を実質的に封じ、ブラフで隙を作らせ本命を叩き込む……なるほどよく考えられた戦略だ。だがタネが割れれば攻略は……


「シイッ!」

『見えているっ!』

「だが隙はできた!」

『させんと言っているんだ!』


 ……しつこい。大剣を振るう隙があるとはいえ何故こうも的確にユピテルは私と打ち合える?私の行動を学習している?それにしてはペースが早すぎる、元から癖を知っているかの如く無意識に生じる隙を突いて槍を叩き込まれる。どうして……私の何を知って……?


『君を取り戻すと誓った!その命令を遂行できないで機械の本懐を果たせようものか!?』

「己の都合だけベラベラと……!」

『そうとも、完全な自己都合だ!君を助けたい私のエゴだ!それに皆が付き合ってくれている!だからっ!』

「だから、なんだっ!」

『っ……!』


 ……機械にも感情があるのか?ヒートアップしたらしく微妙な隙が生まれた所を見逃さず一閃、正真正銘の直撃は中心こそ逸れたがユピテルの鎧を貫通し地面に突き刺さる。流石にこれで邪魔はできまい、あいつらを……っ!?


「この、離せ……!」

『お断りだ……今だ2人とも!』

「はいっ!行くよディアナ!」

「外さないでよミネルヴァ!」


 負傷していても転移の無効化は有効なままだと判断し加速(アクセル)で飛んで行こうとした所をユピテルに掴まれる。強引に振り切ろうにも自ら突き刺した剣がアンカーとなって動かない、クソっ、これでは……!


「バイデントッ!」

「ラディウスッ!」


「ガッ……」


 ……光速で射出されるレーザーの二重螺旋。回避は、間に合わない。盾にしようにもユピテルは動かせない。当然のようにそれは私に直撃した。


「ま、だ……」

「いいえ、終わりです!」

「準備しなよ2人とも!」


 ……今の直撃で制御機能がイかれたらしい、ケレスとウェヌスを足留めしていた弾幕がキャンセルされた。相殺しあっていたレーザーの対象は……当然、私だ。


「最大出力で!」

「シューット!」

「っ……!」


 緑と黄の光が空から降り注ぐ。それはしがみつくユピテルを器用に避けて私に直撃し、今度こそ致命的なダメージを与える。ダメだ、変身を……維持できない。


「ユスティアの着身(マギアライズ)が解けた!」

『ああ。あとは、任せたぞ……シルウィア……!』

「行きましょう、シルウィアさん!」

「はいっ!……ありがとう、テルス……!」


 倒れ込み、意識が飛ぶ前に見た最後の光景。


「「 強化三(マキシムトリ)重詠唱(プルコール)!」」


共鳴(レゾナンス)

潜航(ダイブ)

「「 (リコレ) (クション)!」」


『行け……彼女を……連れ戻してこい……!』


 此方に手を伸ばすように駆け寄る、ミネルヴァとユピテルの姿だった。













「……そろそろだな」

「何がだ。こっちから戦闘を観測はできねぇだろうが」

「いや、待ち合わせ時間だ……居るんだろ?」

「居るって……」

「うん、居るよ。待たせたねウルカ……いいや、エンネア」

「おまっ、メルクリウス!?」

「寧ろちょうどいいくらいだイオタ(・・・)。首尾はどうなってる?」

「上々って言えればよかったんだけどそうもいかない、何でも都合よくは行かないねやっぱ」

「おい待て待て待て、お前まで記憶を取り戻してたのか!?というかどうやって……」

「それは今重要ではないぞテトラ。それで……何があった?」

「何があったというかまあ予想通りだと思うけどさ……」




「バッカスが新型の機獣(ヘカトンケイル)を引き連れて待ち伏せしてる、そろそろ動き出すと思うし……加勢しに行った方がいいんじゃないかな?ネプトゥーンとマルスの居ない今のうちにね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ