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魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。  作者: 暁真
第二.五部 魔法少女の劇場版って話。
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一度見た手は通用しないようにするでしょって話。


「で、二美ちゃんは元気だったかい八雲?」

「元気すぎてこっちが振り回されたよ……あ、「時間できたらまたマスターのコーヒー飲みに行くからー!」って言ってた」

「あの子はこれでもかってくらい砂糖入れるからなぁ……いいの用意しとかないと」

「そんな好み覚えてるものなんだ……」

「常連さんが何頼むか覚えとくのは必須技能だよ、八雲もこっち側にくれば分かるさ」

「実際やりやすいからな、覚えとくと」

「そんな器用なこと出来たんだテトラ」

「暗に私の事頭悪そうって言ったなお前?」


 阿戸螺市の一件が終わり、無事二美さんにデバイスとアルバムを返してついでに一夏……夏?の思い出も作って帰ってきて。元通りの日常に帰ってきた私達はいつも通り八雲のお父さんのカフェで作戦会議中なのであった、相変わらずテトラの対応は雑だ。


「……二美さんに託されたんです。私たちの手で絶対に弍乃さんを取り戻さなければ」

時間凍結(クロノフリーズ)は時間結界で対処できるんでしょ?じゃあ問題は」

「あの位置入れ替えですね……どうにか封じないと私の光線(レーザー)とシルウィアさんの雷霆(ケラウノス)は使えません」

「私と二美さんに莉亜さんが戦った時はノータイムで入れ替え仕返して対策したけど……」

「自動詠唱ありきの対策です。私達が使えるとは思わない方がいいでしょう」

「だよねぇ……」


 今の弍乃さん……ユスティアの最も厄介な技は被弾直前の位置入れ替え、どれだけ追い詰めようがあれを使われるだけでこちらのプランはほぼ崩壊する。あの時のようにどうにか封じられれば勝機はあるんだけどあれは莉亜さんと二美さんの力ありきの強引な対策、私達だけでできるやり方は……


『……ふむ』

「テルス?」

『どうにかなるかもしれないぞ。入れ替えの対策なら』

「ほんとですかっ!?」

「だから店で騒ぐな、何回目だお前ら」

「いいじゃん今日ボク達以外人居ないんだし」

「よくねぇ静かにしろ」

「2人とも売り言葉に買い言葉は……」


 あの時の戦いを記録しているテルスさんがどうやら何か閃いたらしい。思わず乗り出した五葵ちゃんを叱るテトラとレスバ始めそうな八雲に関しては面倒なのでツッコミを放棄することにする、ごめん紗七そっちでどうにかして。


『確かに自動詠唱を可能にする手段を我々は持ち合わせていない、唯一可能であったディーデバイス・オルドは十窯二美に返却したからな。シルウィアもあれの適性はあったがカオスデバイスに慣れている以上無理に使っても勝てる道理はない、これに関しては最適な判断だ』

「ええ。しかし私達で対策するとなるとどうしても音声認証のラグが隙になります。あちらはノータイムで入れ替われる以上妨害も不可能で」

『だが、あくまで不可能なのは自動詠唱「全般」の話だ』

「……できるんですか?」

『要するにユスティアがやっているのは転移(ワープ)置換(リプレイス)二重詠唱(デュアルコール)だからな。それだけを自動詠唱できるようにする、というのは可能と断言する』

「どうやってです?」



「1人娘だからってなんでも許されると思ってんじゃねえぞ?お客様は神様だがだからと言って他のお客さんに迷惑かけるなって話だ」

「いやまあそれは分かってるよ!?けど今はボク達以外いない訳だし少しくらいは……」

「それはそれこれはこれ。客がいない時だけ特別扱い?そりゃ無理って話だそうなりゃ客は全員他に客いないならいくらでも騒いでいいってことになるぜ?」

「それは……そうだけど……」

「納得いかねぇって顔してやがる。表出るか?腹ごなしの運動ついでに揉んでやるよ」

「やります、貴方相手に戦えないようじゃ弍乃さんには勝てません」

「五葵!?」



『要するに入れ替わりだけ封じればいいのだろう?なら簡単な話だ、自動詠唱だろうと呪文(アーツ)は行使する際反応が検出される。ここで重要なのは呪文(アーツ)にはそれぞれ波形があるということだ』

「波形……」

「……なるほど」

「シルウィアさん?」

「分かりましたテルス。なら調整を」

『無論だ、問題は三葉だが……』

「それならエンネアが持ってきたティタノデバイスの予備を回せます、問題は「ちょ、ちょっと待ってください!?」……あっ」

「なんかすっごい以心伝心って感じですけど私何も分かってないですよ!?」


 テルスさんの話をぱっと聞いた瞬間シルウィアさんは何か察したらしく今すぐにでも作業に取り掛かりそうな勢いだ。いやまあそれはいいんだけど理解できてるのシルウィアさんだけだしもうちょっと噛み砕いて説明とかしてくれないかなぁ?って思っちゃうんだ。私にティタノデバイスの予備回すとか言ってるし余計に。


「す、すみません……最悪ぶっつけ本番で説明すればいいかなって……」

「よくないですよ!?心読まれるって訳じゃないですしそういうのはなるべく共有してくださいよこの前狼奈さんにも言われたじゃないですか!」

『シルウィアの悪い癖だ。没頭するあまり周りのことを忘れる』

「いやテルスさんにも原因ありますからね?」


 とりあえず私にも!説明を!してって!2人で何かするんだろうなってのは分かるけどそれ以上何も分からないから!?


「では三葉さん、改めて説明しましょう。これは要するにユスティアの入れ替わりだけをピンポイントで無効化する対策です、そして……」

『それを実行するには私、そしてシルウィアのカオスデバイスを同期する必要がある。当然その間君が私を使うことはできないためエンネアが保有しているティタノデバイスを一つ君用に調整する。此処まではいいな?』

「いやまあそこまでは分かりますよ、私に回すって言ってましたし」

『ならいい、問題は……』



「そういう訳でマスター、10分程席を外したいんですがいいですかね?」

「まあお客さんもいないしいいけど時間それだけで大丈夫なの?30分くらいまでなら大丈夫だけど」

「そこまで時間は取らないので!……って事でちょっとついてこいお前ら、場所変えるぞ」

「10分……?」

「バーカ時間結界展開するに決まってんだろうが。時間はかからない横槍も入らない修復も簡単、使わない理由がないだろ?」

「分かりました、行きましょうテトラ、八雲」

「えっボクも?」

「私に不満たらたらって顔してやがるくせに何もしないのかお前?せっかく合法的に殴れるチャンスだぜ?」

「なーんかムカつくなぁその言い方。じゃあその安い挑発乗ってやるよ」

「あ、あの3人とも……?」




「つまりこの作戦の肝は如何にしてユスティアに入れ替わりの使用を辞めさせるか、という事です。何度やっても無駄という事を理解すれば性格的に戦術プランから排除するでしょう、そうなってしまえばあとはどうにかなります。問題はそれまでに魔力が枯渇するかどうかという話ですが……」

『その為に私が補助を行うという事だ。此処までは理解できたな?』

「まあなんとか。ただあれを封じても弾幕やらなんやら考えることはいっぱいですけど」

「それはまあ皆さんに任せます。私は多分入れ替わり封じで手一杯になると思うので」

『弍乃と共に戦っていた頃ならともかく今の君達なら彼女に充分追随できることは先の一件で証明された。臆するなよ?』

「分かってます。全員で……ぜん……いん……」


 とりあえずシルウィアさんとテルスさんから話を聞き終わった。正直大丈夫かどうかは結構不安だけどやるしかない、改めて作戦会議を……しようと……思ったんだけど……


「んじゃ行くか、呪文詠唱アーツコード……」

「いや待って何してるのテトラ!?」

「何ってこれから取っ組み合いしに行く所だが?」

「なんで!?」

「テトラに勝てないようじゃ一宮さんをどうにかするなんて到底できませんから」

「後地味に嫌味な態度ムカついてたからストレス発散も兼ねて」

「2人とも!?」

「ごめん三葉……勢いに乗った2人は私1人じゃ無理……」

「それはごめん紗七……いやいやいや待って待って今から大事な話する所だよ!?」

「10分で終わらせるから安心しとけ」

「10分!?」

「時間結界展開するみたい。まあコーヒーでも飲みながら待ってて三葉、そろそろ砂糖大盛りからは卒業しなよ?」

「その話今いる!?」

「中途半端にやめても蟠りが残るだけですので……その、ごめんなさい三葉さん」

「うぅ……ちゃんと帰ってきてよ?」

「横槍は入る訳ないんだから心配すんな、んじゃ行ってくるぞ」


 ……かなりヒートアップしてしまっていたようで3人はそのまま転移(ワープ)で何処かへ行ってしまった……ちゃんと帰ってくるんだろうか?


「……時間結界を展開するというのであれば多分3分もしないうちに帰ってくると思うのですが」

「突っ込む所そこなのシルウィアさん?」

「疲れた……マスター、コーヒーと適当にケーキ一つください……」

「あいよ、豆どうしよっかな……」

『まあたまにはこういう時間も必要だろう。それに実戦で学ぶことも必要だ』

「本当に大丈夫なんです……?」

「アポロだった時ならともかく今のテトラなら任せられます。三葉さん達と同年代なのにしっかりしすぎているのが不安ですが……いや」

「それは……そうなるしかなかったから。多分この店で働いてる時のあれが素なんだと思いますよ」

「本当にいい子なんだけどねぇ……どうして君たちにだけああなんだか」

「どっちもあの子の本質なんだと思うよ。素直な女の子と皮肉屋の戦士、全部ひっくるめてあの子なんじゃないかな?」


 ……元のテトラに戻ってそこそこ経つけどアポロだった頃の彼女はどうしてあんなだったんだろうってなるくらい素直でいい子だ。言い方はアレだけど私達の事を心配してくれてるのは伝わるし自分は弱いって言ってる割には有事に助けてくれるし。本当にただ記憶改竄でおかしくなってただけなんだろうなって。


「……紗七、シルウィアさん、テルスさん」

「どうしたの急に改まって」

「どうかしましたか?」

『まだ気になる事があったか?』

「いや、そうじゃなくて……」


 そうだ、私達は助けられるんだ。だから。


「絶対に弍乃さん、助けないとですね」

『無論だ』

「ええ、勿論」

「今更でしょ?恩少しでも返さないとね」


 自分に勝てるって後押ししてくれたあの人を、絶対連れ戻す。


「邪魔するぞマス……三葉!珍しいなこんな時間に!待ち合わせの連絡をする手間が省けたぞ!」

「うわきた」

「……何故エンネアはほぼ性格が変わってなかったんでしょうね」


 ……それは本当に謎だ。












「私は飛び道具が苦手なんじゃなくて使うのが面倒なだけなんだよ!二重詠唱(デュアルコール)光線(レーザー)速射(ラピッド)!」

時空加速(クロノアクセル)中にそんな速い矢をっ!?」

「紗七の奴にも教えてやった手だ!ユスティアの弾幕と比べりゃ可愛い方だがなっ!」

「確かにアレに比べたら豆鉄砲!」

「言ったな?なら全部避けやがれってんだ!」


(しかし……エンネアの奴、本当にあれでいいのか?)




(で、仮にユノがレムス……シルウィアの母親だってんならそれはあいつに伝えなきゃじゃねえのか?確か母との再会が悲願だったろ)

(いや、話さない)

(は?なんでだよ)

(シルウィアは1つの物事に捉われると周りが見えなくなることが多々ある、下手に伝えれば暴走しかねん)

(……わかんねぇよ私には、愛されてる子供ってのは親と会いたいもんだろ。私はそうじゃなかったけど普通そういうもんじゃねえか?)

(だからこそだ。だから全部終わって彼女を取り戻した後でこう言ってやればいい)


(君は家族を助けられるほど強くなったんだぞ、とな)




(ったく優しいんだか厳しいんだか……)

「余所見してる暇があるのテトラっ!」

「余所見?馬鹿言えこれは余裕って言うんだよ!そら第二ラウンドだ!」

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