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令嬢はテンプレにハマりきれない  作者: 白山月


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令嬢が国外に出ていく!?それはまずいでしょ

【シーン1:深夜の緊急評議会】

城内の評議会室。国王をはじめとする国の重鎮たちが、重苦しい空気の中で集結していた。 最後に国王フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベルンハルトが入場すると、傍らに控えていた宰相アルベリック・ド・ラ・ヴァリエールに、声を潜めて語りかけた。


「アルベリック……今日はうちの馬鹿息子が、本当に申し訳ないことをした」 「……国王が軽々に謝罪なさるものではありません、フリードリヒ。うちの娘にも、至らぬ点があったのでしょう」 「今は腹心の友としての詫びだ。聞き及んでいる無礼の数々、奴への処罰は後ほど厳烈に行うが……これは厄介なことになった」


王が席に着くと、硬い声で宣言した。 「……会議を始めよう。まずは現状の説明を」


文官が進み出、震える声で事の顛末を報告する。 「王子の婚約問題としても重大ですが、真の危急存亡のときは、エレオノーラ嬢の国外流出です。全属性レベル5――この国が始まって以来の傑物。彼女を失うことは、我が国の国土強靭化、および軍事力における計り知れない損失となります。彼女の能力が隣国に渡れば、圧倒的な格差が生まれ、我が国は国家のあり方そのものを根底から見直さざるを得なくなります」


国王が問う。「具体的にどのような被害が想定される」


医療大臣: 「エレオノーラ嬢は四属性に加え、評価外の光・闇属性、すべての治癒魔法に精通しています。状況に応じ複数を組み合わせる『多属性同時行使』による治癒は、もはや異次元の領域。彼女一人が敵国に渡るだけで、戦場での致死率は逆転するでしょう」


国土大臣: 「試験で見せたトンネル掘削。あれを応用すれば、街道や灌漑整備の工期は百分の一に短縮されます。民の生活に直結するインフラ革命を、我が国はドブに捨てたも同然です」


軍事大臣: 「彼女の単体攻撃魔法も脅威ですが、真に恐ろしいのは『熱を可視化する魔法』です。これを全兵士に付与すれば、暗闇に潜む敵すら一掃できる。戦術の前提が崩壊します。彼女がサフィリアへ渡れば、我が軍は明日から再編を余儀なくされるでしょう」


「……もうよい! エレオノーラ嬢がいかに代替不可能な存在か、よくわかった」 王の言葉に、場は氷ついたような沈黙に包まれた。 「もはや若者の色恋沙汰では済まぬ。彼女は今どこにいる」 「サフィリア連合国の公邸内、ジュリアン王子の庇護下にあります」 「マクシミリアンを呼べ。すぐに謝罪へ向かわせるぞ」


【シーン2:王子の誤算と不穏な影】

評議会に呼び出されたマクシミリアンは、国王からリスクの説明を受け、不服そうに鼻を鳴らした。だが、父王の気迫に押され、形ばかりの理解を示す。


「一緒に謝罪に行く」という王を制し、王子は傲慢に言い放った。 「私とエレオノーラの問題です。すべてこのマクシミリアンにお任せください。……必ずや、連れ戻してみせましょう」 そう残すと、彼は足早にサフィリア公邸へと向かった。


公邸へと急ぐ馬車の中、マクシミリアンの隣にはリリーナが寄り添っていた。 「殿下の正義の行いが、国の利害のために責められるなんて……。私のような身分の低い女のために、申し訳ありません……」


「何を言う。正しき行いを忘れては、王の資格はない。私は将来、この国を統べる者として真っ直ぐであり続けねばならんのだ」 マクシミリアンはリリーナの肩を抱き寄せ、力強く頷く。


「でも……もしエレオノーラ様が、このままサフィリアへ行ってしまったら? 私が死してお詫びするべきでは……」 「案ずるな、リリーナ。そなたが責任を感じることは何もない。もとはと言えば、そなたの魔法を盗んだエレオノーラが悪いのだ」


マクシミリアンは冷たく笑みを浮かべた。 「サフィリアへ行かせなければ良いだけの話だ。……物理的にな」


その瞬間、王子の瞳が、どろりとした不気味な赤色に光った。

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