第1話
うつらつら
「シリウス様。起きてください」
そう、俺の名前を呼ぶ声がした。
玉座の上で、俺は少し眠ってしまっていたみたいだ。
「シリウス様、おはようございます。少しシリウス様に用があったので、探していたら眠ってらしたようですので、失礼ながら起こさせていただきました。」
俺はそう声をかけられて起きる。俺を起こしに来たのは、部下であり側近。俺の唯一にして最大の眷属、セラ・ルーシュだった。
「はぁ……何の用だ?」
「シリウス様に是非、街の視察をして欲しいと。センアの町長が申しておりましたので。」
センア、と言うのは俺の今居るこの城の近くのちょっとした小さい街だ。たくさんの人間が居てまぁまぁ面白い。
「ほーん……行った方が良いか?」
「恐らくシリウス様と繋がっていると、世間に見せびらかしたいのでしょう。シリウス様のお好きにしてくださいませ。」
「ふーん……セラ、今日の俺の予定はどうなっている?」
「この呼び出しに応じるのであれば、それだけです。本日は何もありませんから。」
「あー……じゃあ行こうかな。暇だし、面白そうだし」
「ふふっ、そうですか。」
俺がそう答えるとセラは笑ってこう言った。すると、思い出したかのように手元の書類を俺に見せて
「シリウス様。こちらの書面にサインと印を。」
「あぁ、わかった。」
そして渡された書類を見る。まぁ納得いく内容だったから、近くにあったペンを取ってスラスラと紙にペンを走らせていく。
シリウス・フォン・コンステレーション、と。