力の覚醒
「皆んな、私が持っている水晶を見てくれる?」
俺達は恐る恐る幽霊のサチがポケットからピンポン球くらいの大きさの水晶を出して見せる。 すると水晶は不思議な光を放っている。
「この水晶は、私が旧校舎に肝試しに訪れた時に、廊下に落ちて光っていた物を拾ったの。 何故かこの水晶に触れてから、私は鏡の中を自由に行き来出来る力を身につける事が出来たの。 皆んなもこの水晶に触れてみれば、自分達の中に眠っている不思議な力を目覚めさせる効果がある筈よ!」
「そういう事なら、早速、私が試してみるわ!!」
レイカが我先にと、水晶に触れると急に右目の眼帯を押さえて苦痛そうな表情を浮かべる。
「くっ、なんだか右目が疼くわ。」
レイカが眼帯を外すと、黒目だった筈の右目が青色に変化している。
「レイカ?! 右目の色が青色に変化しているぞ!!」
「皆んな聞いて。 何故かはわからないけど、右目で意識した対象者の動きを封じる力が私に備わったのがわかるの。 タカシ君、ちょっとだけ実験させてもらえないかしら?」
「わかった。 不安だけど試してみてくれ。」
レイカは左目を閉じて右目に意識を集中させながら、俺を睨みつける。 すると俺は、見えない力によって身体を全く動かす事が出来なくなる。
「くっ、身体が苦しい…レイカ、ストップ!!」
レイカが右目の力を外してくれると、先程の金縛りのような状態が嘘みたいに自由に身体を動かせるようになる。
「はぁ、はぁ。 どうやら長い時間、対象者を拘束し続けるのは今の私には無理そうね…持ったとして十秒がいいところかも。」
疲れた様子でレイカが言う。 拘束されていた俺も全身に疲労感が色濃く残った感じがする。
「では次は自分が試してみますぞ! 今までであれば、科学で証明出来ない出来事など信じておりませんでしたが、この状況下ではそんな事を言ってられません!!」
キョウジが2番目に水晶に触れると、急に右手を押さえて苦しみ始める。
「大丈夫か、キョウジ?!」
「はぁ、はぁ…どうにか右手の痛みが収まってきたようです。 自分の力は皆さんに直接見せたほうが早いと思います。 サチさん、鏡の無い方向に向かって自分に備わった力を試してみても良いでしょうか?」
「大丈夫です。 どうぞ、試してみてください!」
「それでは行きますぞ! はあっ!!」
キョウジが右手を伸ばして手のひらに意識を集中させると電気が発動して、激しい音を鳴らして一直線に飛んでいく。
「見ての通り、自分の力は右手からプラズマ現象を発動させる事が出来るようになりました。 どうやら、現状だと一度使うと30分のインターバルが必要なようですが。」
「2人とも凄い…ちょっと怖いけど、次は私がやってみるね。」
シロが続いて水晶に触れてみる。
「ううっ、全身が痛い…」
身体を押さえてシロはその場に蹲ってしまう。
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