旧校舎からの脱出方法
「うわーーっ、ゆっ、幽霊…」
鏡の中に引き込まれた俺達の目の前には、鏡に映っていた少女がいるが、身体が透けており、宙に浮いている。 辺りを見渡すと、どうやら鏡の中の世界は現実世界の鏡を設置されている場所と対になるように鏡が並んでいるようだ。 それ以外は何も無い空間が広がっているだけのようだ。 少女の霊は俺達に静かに話しかけてくる。
「あなた達、よりによって何で彼岸の時期にこの校舎を訪れてしまったの? 彼岸の時期は、あの世とこの世が1年のなかでもっとも通じやすくなる期間とされているのよ。 しかも、この校舎はイジメにより、強い怨念を持って自殺した生徒の霊が、夜になると悪霊となってこの校舎全体を支配しているの。」
少女がゆっくりと俺達が引き込まれた鏡のほうを指差すと、人魂達が俺達を探しているのか鏡の前で動き回っている。
「あの人魂達は、今のあなた達のように肝試しでこの校舎を訪れた時に、悪霊に見つかって命を奪われた人達よ。 彼らは彼岸やお盆になるとこの校舎に現れて、肝試しに訪れる人達を道連れにしようと襲いかかってくるのよ!」
「そんな…私達、一体どうすれば助かるの?」
涙ぐみながらシロが少女の霊に尋ねる。
「あの悪霊は既に、あなた達をこの校舎から逃がさないよう結界を張り、ここから脱出出来ないようにしているわ。 悪霊の結界を解除する為には、この校舎の7不思議を一つずつ巡り、全ての怪奇現象から無事に生還出来た者達だけが、悪霊の結界を解除する事ができるのよ。」
俺も恐る恐る少女の霊に話しかけてみる。
「あなたは一体誰なんですか? 何故、俺達を助けてくれるのですか?」
少女の霊は寂しげな表情でゆっくりと語り出す。
「私の生前の名前は臼井幸。 あなた達と同じで昔、3人の友達と一緒に肝試しでこの旧校舎を訪れたの。 そして悪霊に見つかり、全員が殺されてしまったの。 一緒に殺された友達は1人ずつ怨念を持った人魂に姿を変えられてしまったんだけど、私だけ鏡の中に逃げ込み、今までずっとやり過ごしていたの。」
「そんな筈はありません!! 今日の7不思議巡りに備えて、校内の歴史について念入りに調べましたが、子供が行方不明になった情報は一つも無かった筈です!!」
キョウジが震えながらも、サチと名乗った少女の霊に反論する。
「あの悪霊は殺した人間の存在していた情報を現実世界から消しさる力を秘めているの! だから私の事も、同級生や大好きだったパパやママにも忘れられてしまった…あなた達には私と同じ犠牲者になって欲しくない! だから私が長い月日を費やして手に入れた情報を全て伝えるから、ここからどうか逃げのびて!!」
そう言ってサチさんはその場に泣き崩れてしまう。 レイカがそばに近づき慰めていると、サチさんは落ち着きを取り戻し、再び話始める。
「ぐすっ、話の途中でごめんなさい…もう大丈夫だから。 さっきの話の続きをするね。 実は私が鏡の中に入る力を手に入れてるのは秘密があるの。 あなた達にも旧校舎から脱出するのに役立つ、不思議な力を手に入れる方法をこれから教えるね!」
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