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謎の少女の霊

 俺達4人はレイカを除いて、恐る恐るグラウンドに現れると噂される二宮金三郎の像がグラウンドを走っていないか確認に向かう。 グラウンドに辿り着くと、辺りの様子を皆んなで確認し始める。 


 「ひぃ、タカシ君。 あっ、あれを見て!」


 「どうしたんだ、シロ。 って何だあれは?!」


 グラウンドの反対側を見ていたシロが指差す方向を見ると、驚いた事にグラウンドを荷物を背負って走る人影を発見する。


 「そんな! ただの石像が動き出すなどという科学的根拠は無い! ただの石像が…」


 ビデオカメラをグラウンドの人影に向けて撮影しながら、キョウジは自分に言い聞かせるように、震えながらいつもの口癖を何度も口ずさんでいる。


 「あら、皆んな大丈夫よ。 よく見てご覧なさい。」


 1人冷静なレイカに言われて二宮金三郎と思われる人影を確認して見ると、うちの学校の体育教師で、ゴリマッチョのあだ名で慕われている五輪(ごり 松千代(まつちよ先生が背中に重しを担ぎながらランニングをしていた。


 「なんだよ、ゴリマッチョ先生が夜中に筋トレしていただけじゃないか。 やっぱり噂なんて、こんなもんだよな。」


 「タカシ君の言う通りですとも! 7不思議などというものが存在するという…


 「はいはい。 キョウジ君、あなたの言いたい事はわかっているわ。 タカシ君、これで検証が必要な7不思議は残り6つね。」


 「ああ、2つ目からは実際に旧校舎に侵入して確認していかないといけない。 噂によると確か、何年か前にヤンキーだった高校生達が夜の溜まり場として旧校舎の体育館の壁を壊して侵入していた事があるらしいんだ。 その後、きちんと補修がされていないらしく、俺達もそこから旧校舎の中に侵入できる筈だ。」


 旧校舎の体育館の壁を確認して回ると、杜撰な補修がされただけの場所が見つかり、補修箇所の薄い板を引っ張ってみると簡単に外れて中に侵入出来そうだ。


 「それじゃあ、順番に入っていくぞ! 皆んな続いてくれ!」


 俺も後にはレイカ、シロ、キョウジの順番で体育館の中に侵入する。


 「よその学校で伝わる話によっては、夜中の体育館からボールが弾む音が聞こえる話もあるみたいだよね…」


 「そうね。 シロちゃんが言った現象が7不思議の一つとして書かれているオカルトサイトを見た事があるけど、うちの学校に伝わる7不思議には含まれていないわ。」


 「じゃあ次に向かう7不思議は、階段の踊り場にある大鏡を覗くと、中から見知らぬ人が写って、鏡の中に引き込まれるという噂を確認しに行こう!」


 俺とキョウジが横並びに先頭で進み、後ろから震えるシロの手を繋ぎながらレイカが横を歩く。


 「ねぇ、タカシ君。 今、目の前を白い人影が通過したように見えたけど、気づいたかしら?」


 「おいおい、レイカ。 心臓に悪いから、そういう冗談はやめてくれよ。 キョウジもシロも見えていないよな?」


 「ごめんね、タカシ君。 周りを見渡すのが怖いから、タカシ君の背中ばかり見て歩いていたから気づかなかったよ。」


 「自分もそのような物は確認出来ておりませんぞ!」


 「あら、じゃあ私の見間違いかもしれないわね。 怖がらせるつもりは無かったのよ。 皆んな、ごめんなさいね。」


 後から知った事だが、この時にレイカが見た白い人影は、俺達の様子を伺う少女の霊が姿を見せていたらしい…


 


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