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 翌日、塩辻の家を訪ねると、所々汚れや焼き跡はあるものの、昨日あんな惨状を呈していたとは思えないほど奇麗に片付いていた。

 塩辻に言わせれば、このくらいなら金と科学力でどうにかなるらしい。


 スパイダー・エアコン1号と2号も何事も無かったかのように室内をシャカシャカ移動している。

 塩辻曰く「昨日までは早く実用化しようとプログラムをオープンにし過ぎてたんだよー。昨日の夜のうちにプログラムは改正したからもうあんなことは起きないよー」とのことだ。

 なお、俺が預かってる3号と4号については俺のスマホとだけ同期させており、塵旋風の情報などは紛れ込みようがないとのことなのでモニターを継続している。


「でさー、湖竹君に聞きたいんだけど。昨日脱衣室に逃げ込んだのはわざとだったの?」


 昨日の現場では塩辻はスイッチを切ること、俺はリュックの確保とそれぞれ別目的で行動していたのでリアルタイムではお互いの行動を細かく把握はしていなかった。

 せいぜい視界の端に写るくらいだ。

 しかし、後でスパイダー・エアコンの撮った映像(1機につき8台の小型カメラが搭載されている。)を見て俺の行動を不思議に思ったらしい。


「わざと、っていうか『ひょっとしたら』くらいだな。2度もわざわざ同じ脱衣室のドアに叩きつけるのは何か理由があるんじゃねーかって」


「で、その理由っていうのが」


「このスパイダーズ(←面倒なのでこう呼ぶ)は脱衣室とバスルームのドアをぶち壊してバスタブに残った水風呂の残り水を巻き上げて一気にあの塵旋風の火を消そうとしたんだろ。脱衣室やバスルームのちゃっちいドアなら俺の身体を3~4回叩きつければ壊れそうだしな」


 実際2回目でドアが割れて壊れかけたわけだし。


「だから俺がバスルームのドアを開けた後は俺に攻撃せず、塵旋風で水を巻き上げて消火することに専念したってことだったんだろうな」


「あははははー、スパイダーズね。この子たちは実際そう判断したようだね。実はあのとき、僕の方にもこの子達の方から近づいてきてくれたんで、脳震盪起こしてクラクラしてた僕でもスイッチを止めることができたんだよー。データを解析してみたら僕に近づいたんじゃなくて、蛇口をひねって水を出すために流し台に近づいたみたいなんだよねー」


「蛇口から水を出してもう一つの塵旋風に巻き上げさせるつもりだったのか。流しでもバスタブでもどっちかの水で消火できればいいと思ってたってことか」


「多分そういうことー。僕は後で映像やデータを確認したから分かるけど、湖竹君ほんとよく気付いたねー」


「ああ、お前はエコを『言葉だけじゃなく実践もしてる発明家』なんだろう?使用後の湯水をバスタブに溜めて洗濯に再利用くらいしてるんじゃないかって思ってな。スパイダーズは上下水道の利用データかなんかで気付いてたのかな?」


「たぶんねー」


「それと、お前がスパイダーズを無駄に実際の蜘蛛っぽくさせてたからだろうな。俺らが入ったとき前脚上げて威嚇のポーズとってたけど、威嚇ってのは自分の手に余る状況で出るもんだ。『こいつら実は炎が渦巻くような状況に恐怖で混乱してるんじゃないのか?』って思えたのもこいつらの意図に気付くきっかけだったかな」


「なるほどねー。だとしたら必要以上に蜘蛛の生態をコピーした甲斐もあったねー」


「必要以上にって自覚はあったんだな……ところで俺からも聞きたいんだが、そもそも1号と2号は何で塵旋風で俺達を攻撃してきたんだ?。やっぱりプログラムの『人間の安全を最優先する』っていう部分もバグってたのか?」


「ああ、それねー。うん、僕も攻撃されたときはびっくりしたよー。でも、あらためてプログラムと記録を調べたらそこがバグっていたわけじゃなかったんだ。この子たちはそもそも僕達を人間と認識してなかったのさ」


「じゃあなんだと思ってたんだ?」


「『2足歩行ロボット』みたいな感じかなー。宇宙服で全身覆ってしまっているから外見も反射熱も人間と違うし。少しでも皮膚がのぞいていたら違ってたかも」


 なるほどな。かといってあれを着用しないで入る選択肢はなかったわけだが。


「おまけに僕達が入るためにドアを開けた瞬間空気のコントロールが効かなくなって塵旋風に着火したもんで僕達を『この部屋の空気環境の安定を乱す者』すなわち攻撃対象と認定しちゃったんだねー。すぐにこっちを攻撃することより消火する方に目的を切り替えたから僕は1回弾き飛ばされただけで済んだんだよー」


「そういうことか」


「そういうことー……あ、そうそう、そっちの3号君と4号ちゃんは上手く稼働してるー?」


「その君呼びとちゃん呼びの違いはなんなんだ……ああ、きちんと動いてるぞ。部屋が過ごしやすすぎて外に出たくなくなるくらいだ……あ」


「何ー?」


「3号と4号って俺のスマホとだけ同期してるんだよな?」


「そうだよー」


「3号と4号ってお前が昨日の夜やったプログラムの改正反映されてないんじゃないか?」


「……」


「おおーいっ!?」


「だ、大丈夫だって、湖竹君は『塵旋風の力学』なんて検索しないよねー?」


「確かにそんなもんは検索してないが」


 嫌な予感がする。昨日今日で俺何検索したっけ?履歴を確認する。


『バイト 住宅解体工事』


 ああ、うん、通常のバイト以外に日雇いのバイトを探してたんだよな。『君のやり場のない怒りを不要建築物にぶつけてみないか!!』って良い笑顔のお兄さん達が誘っている画像なんかと一緒に解体現場の動画とか出てきてたっけ。


「これ……影響しないよな?今頃俺の部屋解体されちゃってないよな?」


「絶対影響しない、とは言い切れない……」


「今すぐプログラムを直せーっ!」


「機体もないと無理だよー!?」


「じゃあ車を出せ!今すぐ俺のアパート行くぞ!」


「わかったー!あと先に謝っとくー、ごめーん!」


「そういうこと言うな!現実に起きちゃいそうな気分になるだろっ!」


 俺達は車に乗って飛び出した。いやホント何も起きないでいてくれよ!?


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