8 解決策のようなもの
俺はまず公園の周りにある廃墟の解体に取り掛かった。
荒れている土地には、荒れている人間が集まりやすい。
落書きを放置していると、その周辺が荒れやすくなるのと同じ理論だ。
この廃墟を全て撤去してしまえば、心霊スポットとしての印象は薄れると思う。
俺一人で家屋の解体はできないので、集落の人たちにも協力を要請。
老人たちは意外と体力もあり、技術もある。
皆で協力して解体作業を行うことになった。
足場を組んで本格的に解体作業がスタート。
老人たちは慣れた手つきで家屋を解体していく。
俺は連日泊まり込みで作業に参加。
田淵の計らいで部屋を貸してもらえることになった。
しかも三食付きという破格の待遇。
いっそのこと住所を移しちゃおうとか思ったりもした。
噂を聞きつけたのか、老人たちの子供の世代や、更にその下の孫の世代も作業に参加してくれるようになった。
小型のショベルカーも登場し、作業はドンドンはかどっていく。
この公園をどうにかしたいと、みんな思っていたらしい。
でも誰も動き出そうとしなかった。
老人たちが解体を始めてようやく重い腰を上げたのだ。
集落の人たちはみんな優しかった。
笑顔で挨拶してくれたし、缶コーヒーなどの差し入れもよく貰った。
まるで俺が昔からここの住人だったかのように接してくれる。
正直、ちょっと嬉しかったな。
人の優しさがここまで染みるとは思わなかった。
参加する人が増えたこともあって作業は順調に進み、一か月くらいで全ての家屋の解体が終了。
廃材はみんなでお金を出し合って業者に引き取ってもらった。
すっかり更地になった元集落。
残された公園を眺めると、達成感がみなぎって来る。
しかし、まだ終わりではないのだ。
後一仕事残っている。
「じゃぁ、みなさん。もう一息ですよ。
最後までよろしくお願いしますね」
俺は集まった人たちに向かって言った。