2 主人公の自己紹介のようなもの
都心から程よく離れた地方都市。
以前の職場でトラブルを抱えていた俺は、退職するついでに思い切って地方への移住を決断。
新しい就職先はまだ見つかっていないが……まぁ、なんとかなるだろう。
何不自由なく暮らせると言ったら嘘になるが、そこそこ満足のいく生活が送れている。
思い切って良かったとつくづく思う。
問題になるようなことは何もなかった。
そう……何もなかったはずなのだ。
楽しい無職生活を満喫していた俺は、ネットを閲覧しているときに妙なトピックを見つけた。
『廃村の公園で人のようなものが遊んでいる』
どうやら俺の住む町の近くにある集落が話題になっているらしい。
さっそく検索してみると、確かにそのような呟きがちらほら目についた。
が、別に気にするほどのことでもない。
よくある作り話だ。
この手の怪談は、誰かが適当に作った話を周囲の人が面白がってノリを合わせて、話が大きく膨らんで広がっているに過ぎない。
みんな嘘だって気づいているはずなのだ。
あえてノリを合わせているだけ。
でもさぁ。
人のようなものってなんだよ。
人のようなものって言うからには、そりゃ人型なんだろうけどさ。どうせ人形かなにかだろ?
遊具に人形が置いてあったら、そりゃちょっと怖いけどさ。
とあるユーザーによると、その公園はひと気がほとんどなく、普段は遊んでいる子供もいない。周囲には廃墟ばかりで立ち寄る人すら稀だと言う。
そんな公園が近くにあると知り、ちょっとだけ興味が湧いた。
見に行ってみようかな。




