↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/12

3

 イェリアが一層妖艶に笑う。


「皆様、この会を立ち上げた方をご存知でいらっしゃる?」


「はんっ! そんなくだらない会を作った愚か者のことなど知るわけがない」


 ビードの答えに女子生徒たちがざわめく。


「ルカナーテ。その馬鹿らしい会も問題だ。ベリアナの入会を断ったそうじゃないかっ!」


 メイセットが右腕に絡みつくベリアナの手に左手を重ねながら言った。


「創設者である方が『この学園のマナー教師に合格をもらうこと』と厳しく入会ルールをお決めになっておりますの。代々、マナー講師の先生には細かい規定が伝えられているそうですわ。

わたくしたちが入会者を決めているわけではございません」


「白薔薇蕾会でしたらどなたでも入会できますわよ」


 イェリアがルカナーテに補足する。

 白薔薇蕾会は青会入会を目指しマナーや社交を勉強する会である。入会は誰でもできるが、努力しない者はすぐに退会させられる。できるできないではない。努力するかしないかである。

 イェリアは白薔薇蕾会の前会長で指導者の一人だ。


「俺の妻になる者に格下の会へ入れと言うのかっ!」


「ご身分は関係ございません。青薔薇蕾会にも男爵家のご令嬢はいらっしゃいますし、白薔薇蕾会に侯爵家のご令嬢もいらっしゃいます」


「くだらない会についてはもうよいっ! その会とやらがなぜルカナーテの行動を把握しておるのだっ!」


「それは現在の青薔薇蕾会と白薔薇蕾会は『ルカナーテ親衛隊』も兼ねているからですわ」


「「「えっ!?」」」


 舞台の上からだけでなくイェリアの隣からも声が溢れた。ルカナーテは珍しく目を瞬かせて口を小さく開けた。


「きゃあ! ルカ様の貴重なご表情!」


「最後の日にあのようなお顔を見れるなんて幸せだわぁ」


「なんて可愛らしいのぉ!」


 イェリア側にいた女子生徒から黄色い声がする。


「えー! 見えなかったあ!」


「ルカさまぁ! こちらにもお願いしまーす」


 スージーヌとニーティル側からは懇願の声だ。その声にびっくりしたルカナーテがスージーヌたち側にびっくり顔を晒してしまった。


「きゃあ! あのご表情も貴重だわぁ!」


「ルカ様ぁ! 最高でーす!」


 ルカナーテは扇で顔を隠してしまった。


「「「可愛らしいっっ!!!」」」


 キャッキャッと喜ぶ声が響いた。


「ルカ。ごめんなさいね。みんな、ルカを毎日見れるのは今日で最後だから興奮気味ですの。赦してあげて」


「もぉ! リア。後でちゃんと説明してくださいませね」


 ルカナーテとイェリアがそこだけに聞こえる声で話し、ルカナーテが反対側を見ればスージーヌとニーティルも笑顔で頷いていた。二人はそれほど仲がいい。先程の催促咳もイェリアだ。


 イェリアがさっと右手を上げるとその黄色い声が止む。


「さあ、パーシット・アビネン公爵子息様。メイセット様のご指示でしょう。ルカナーテがどんな虐めを行ってきたのか『ぐうの音も出ないほど』ご説明いただきましょう」


 イェリアの微笑みにパーシットが怯んだ。


「わたくしどもはルカナーテ様のご行為を存じあげているつもりでしたが、わたくしどもより

上なのでしょう?」


 スージーヌはルカナーテの行動をメモしてあるだろう手帳を胸に抱いた。


「それとも腕力に頼ります? わたくし一人ではホセカロ・メイテント侯爵子息には敵いませんが。うふふ」


 ホセカロは学園内では武術で右に出る者はいないと思われるほどの腕前である。ルカナーテたちの後ろに並ぶ面々を見たホセカロは顔を青ざめさせた。


「イェリア様。紅薔薇蕾会もルカ様親衛隊ですよ」


「ニーティル様。紅会は、親衛隊ではなく護衛隊ですわ。本当に素晴らしいお手前ですもの」


 辺境伯令嬢ニーティルは紅薔薇蕾会の前会長である。

 紅薔薇蕾会は女性騎士を目指している者たちの会だ。男子生徒たちと共に汗を流してきた女子がいつでもルカナーテたちの前に立てるようにと人垣の最前列に並んでいた。一対一ならホセカロに負けるが、現在、ホセカロの周りには彼らを守ろうとする者などおらず、鍛錬をしてきた女子生徒ならこの人数がいればホセカロに勝てるだろう。


 紅薔薇蕾会のメンバーは現在任務と考えているようでイェリアの冗談にも顔を変えず舞台上を睨んでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] たらし込まれた男たちが悉く頭が緩い点でしょうか… 高貴な男がみんなこんなのでは、女王国家になった方が良いのではないかと案じてしまうレベル。 逆に女性陣の隙の無さは賞賛に値しますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。