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異世界不動産始めました  作者: 山星
1/4

プロローグ(前半)

 初めまして、なろうに初挑戦の山星というものです。

 小説を書くこと自体が初めてなので、是非軽い気持ちで読んでいただけたら幸いです。

 転生・ヒロイン登場は3回目以降を考えています。

 できるだけ早い投稿ペースを目指しますので、よろしくお願いいたします。


 

(あれ、ここどこだ…。確か、さっきまでロープレやってて、それで…。明日は、早出して営業ミーティングがあるから…早く書類を片付けて、それで…)

 微睡む意識は、そこで完全に途切れた。



 地域貢献、やりがい、アットホーム・・・。就活中の俺はそんな言葉を、真に受けてしまった。中々内定をもらえない状況に焦っていたのかもしれないし、その中でどんどん自信を失っている最中だったからかもしれない。ただ、一つ明確だったことは、家から近かったことだ。地域密着を謳ったその会社は確かに、自分の実家の周辺でもよく看板を見かけたし、ネット上で物件を探せば早い段階で行き着いた。就活サイトでたまたま見つけた俺は、当分一人暮らしをするつもりもなかったし、何より就活にほとんどお金がかからないという理由でとりあえず応募したのだった。


 面接は滞りなく進んでいった。何故不動産業界なのか、何故この会社なのか、テンプレのような質問に対して、用意していた内容を頭の中から呼び出して答えていく。雑談も交えながらこの調子で行けば、と思っていたところで一つの質問が面接官の役員から投げられた。


「事務職志望ということですが、総合職の方に興味はありますか?」


 正直予想はしていたが、あまり来てほしくない質問だった。俺は事務職で応募していた。理由は単純で、営業をやりたくなかったからだ。説明会の中で、ジョブローテーション、つまりは部署移動が多いと聞いていたが、そうなると定期的に営業部に配属されることになる。ずっと営業なんてありえないが、仕事内容が一定期間で変わるのも嫌だと思った俺は、多少給料は落ちるが事務職で応募していた。

 

来ちゃったか、と思いつつ俺は


「はい、総合職にもとても興味があります。やはり多くの部署を経験することによって、会社全体が見えるようになり、自分の仕事の中でも他部署との連携が取れる動きができるようになると考えています」


 などど思ってもいないことをペラペラ喋りつつ、


「ですが、今のところは自分の仕事の仕方に合っていると思っている事務職をやりたいと思っています」


 と、どうにかあくまで事務職志望であることを強調し、面接は終わっていった。


 そして、面接の合否結果を伝える書類が届いた。そこには"内定"の文字と"総合職"の文字が、俺に喜びと絶望というどう表していいかわからない感情を抱かせた。



 4月1日、遂に入社の日がやってきた。実は2月・3月の間に各部署の仕事を体験するという名目でバイトとして何回か訪れたが、部署の人も困っていた。来いと言われたから来ただけで、何かできるわけでもないから当然だろう。もしかしたら、部署の人もギリギリまで知らなかったのかも知れない。結局、他の人がやってるような事務作業を任されることはなく、判子を並べ替えたり、手紙を三つ折りにして封筒に入れる作業を延々やるだけだったわけだが。


 本題に戻って入社式当日。入社式の準備をしている間待っているよう言われ、案内された部屋には自分の他にもう一人入社する人、つまり同期がいた。会社の説明会の時には見かけなかったが、どうやら選考の時期が違ったようだ。自分一人だったらという不安がひとまず払拭され、話しかけると普通に良い人だった。ロボットモノのアニメが好きらしく、楽しそうに俺に語ってくれた。そうこうしてる内に、式の準備が終わったようで、俺と同期はスクリーンや椅子が並べられた広めの部屋に向かった。説明会や面接の時にも訪れた部屋だ。


 既に十数人が並べられた席に着いていて、どの人も年齢層が高めだ。見る限り入社式は社員全員でやるわけではないようだ。俺たちが指定の場所に着くと、部屋の面々に比べると気持ち若めの男性がマイク越しに説明を始めた。立って、礼をして、座って、それらを繰り返す中で、遂に自分たちの番がやってくる。名前が呼ばれ、予め教えられたルートを通って先に登壇していた社長の元に行く。社長が辞令を読み上げる。


「日和達人殿、本日を以って貴殿に、営業部・賃貸営業課への配属を命じます。これから一緒に頑張っていきましょう」

「はい!精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!」


 こうして、俺こと日和達人ひよりたつひとにとって、地獄の社会人生活が幕を開けたのだった。

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