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生殖問題

⭐︎⭐︎⭐︎


わたしは浴室で少女の衣類を脱がせた。


伸びたタンクトップのような、だるんとした袖なしのシャツ。布地は、植物の繊維を粗く編んだもの。ショートパンツも同じ素材だ。


くるぶしから膝上までは軽量の装甲アーマーのようなもので覆われていた。なんらかの機械生命の一部だったのだろうか。固定具は草でできた紐だ。脛にあたる部分には、石で作られた粗雑なナイフが収納されていた。


靴の類は履いていなかった。裸足の足裏の皮膚は、わたしが幼少期に飼っていた秋田犬の次郎に似て、分厚く、ざらざらしている。足の爪は色が黒く、鉄のように硬質だ。


身につけていたものをすべて剥ぎ取ると、特異な部分がさらに目についた。


尾てい骨のそばに、小さく丸い毛玉のようなものがあった。尻尾か?


全身の筋肉がよく発達している。太ももなどは格闘家も真っ青なほどに太い。


皮膚の表面全体を、濃く、透明な産毛がびっしりと覆っている。背中はとくに毛足が長く、こびりついた粉塵を流し落とすのが一苦労だった。


シャワーの湯を頭にかけると、本来の黒い髪が現れた。髪質は細く滑らかで、肩まであるのにもつれるということがない。


股間についた汚れを落としていると、セバスチャンがいった。


〝生殖器まわりの様子から見て、思っていたよりも人類に近い種族のようですね。あなたと子孫を残せる可能性があるかもしれません〟


「おいおい、わたしは妻を亡くしてまだ四年だよ。おまけに七十も近い。こんな若い子とどうこうなろうなんて気はないよ。だいいち、女同士じゃないか」


〝いえ、あなたの肉体はーー〟


セバスチャンが次の言葉をわたしの脳に送る前に、少女の目が開いた。


自分の股間を見下ろし、そこに手を突っ込んでいるわたしを見る。


次の瞬間、少女の逞しい足がわたしの胸元めがけて飛んできた。


とっさに腕でガードしなかったら胸骨をへし折られていたろう。


衝撃と共に風呂場の扉まで吹き飛ばされた。

どうにか両足で着地し、両手を広げる。


「待て待て!勘違いしないでくれ。わたしは君の体を洗っていただけだ。この通り、たいへんに汚れていたんでね」


わたしが指した先には、少女のボロボロの服が落ちていた。


少女の目線は、自分の衣服と、自分の身体、そしてわたしをうろうろした。


彼女は恐る恐るという感じでいった。


「△○△○◇◇○」


うん、なんといっているのかさっぱりわからない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] <いえ、あなたの肉体はーー> もしかすると染色体自体は男性? [気になる点] 繁殖可能? ジャンク遺伝子のみ改編されているのか? [一言] この獣人がヒロイン候補? 亡き妻とは関係ありませ…
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