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023 カルル ③

 突如として現れた白装束に身を包んだ者達。見た目や気配から察するに、ガレルはすぐに人間であると理解していた。しかし、人間であればある程、疑問が生じてしまって思考が鈍ってしまう。その結果、ガレルは反撃する間もなくその首を落とされたのである。


 「――殺すっ!!」


 ガレルの首を持つ人間に狙いを定めたカルルは、怒りを露にして瞬く間に人間との距離を詰めた。その速度に反応出来る人間は居ないと太鼓判を押されている攻撃だと自負していたが、ガレルの首を持つ人間がニヤリと口角を上げた瞬間にカルルは地面を蹴って樹の上へ移動した。


 『ほぉ、賢明な判断だ。今のまま突撃していたら、私の張った罠によって君の首もこの者と同じようになっていただろう。魔族にも、勘の良い者が居るのだな。素直に感心するよ』

 「テメェに感心されても嬉しくねぇし不愉快だ」


 激怒しているカルルの魔力に中てられているのか、彼等が使役している魔物達の動きが鈍くなっている事に気付いたようだ。カルルの放つ魔力の気配により、魔物達は力量差によって自分がカルルには勝てないと悟っていたのである。

 しかし、使役する人間達は引き下がらせるつもりは無い。微かに躊躇している魔物に対して、使役の為に使う魔力を強めて魔物達を強化する。やがて吠え始めた魔物達は、樹の上から見下ろすカルルに攻撃を仕掛け始めた。

 そんな魔物の様子を見て、カルルは目を細めて小さく呟いて樹から降りた。


 「今、楽にしてやる」

 

 無理矢理に強化された魔物達は、自由に動いている様子ではない事は理解しているカルル。人間達に使役されている魔物達に施された強化は、上限以上の力を引き出されている。そのまま続けられれば、体力だけではなく命を削るだろう。

 それを魔物達の様子を見て察したカルルは、出来る限り一撃で終わらせようと両手に持った武器を振るう。


 『ほぉ、これは意外だった……お前のようなタイプは、冷静さを欠いて戦うと思っていたのだがな。どうやら当てが外れたらしいな』

 『使役していた魔物を全て一撃で……なんて奴だ。どのように致しますか?』

 『たった一人に警戒する必要は無い。油断さえしなければ、ただ速いだけの亜人に過ぎん』


 言葉を交わす人間達から魔物を解放させる事が出来たカルルは、武器を持つ手を強く握り締めて奥歯を噛み締める。睨み付けたカルルは即座に首を斬り落とすビジョンを浮かべるが、数人までは問題なく斬り落とす事が出来たイメージは浮かべられた。

 しかし、人間達の中で最も豪華な白装束に身を包んだ人間を攻撃しようとした瞬間である。イメージの中でカルルは、舌打ち混じりに目を細めて身を翻した。ガレルの首を取り戻したい願望はあれど、白装束を全て仕留める事が出来ないと悟ったカルルは撤退を選んだ。


 「(待ってろガレル、必ずお前を殺した人間は全員殺す!だが待っててくれ、まずは他の奴等に人間が攻めて来た事を伝えなくちゃならねぇ)」


 苦渋の決断だ。同じ時間を過ごし、共に歩んでいた相棒のような存在。その存在が一瞬で殺され、切断された首を弄ばれているのは我慢ならない。だがしかし、今一人で戦えば自分が命を落としてしまう未来が視えたカルルは森の奥へ駆け出す。


 『同胞の首を置いて行くのかね?……聞いてないようだ。酷い事だ、他人の言葉を聞かないで立ち去るとは』

 『追いますか?』

 『急いで追う必要無い。既に勝敗が決している以上、無駄な体力の消耗は好ましくない。のんびりと、優雅に、標的を殲滅しようではないか』


 


 ◇◇森・中央南部付近◇◇



 「――っ!」


 ガレルがられた。油断していた訳じゃない。寧ろ、オレ達の中で周囲の警戒を怠らない奴だ。恐らくあの人間は、それを察知した上でガレルを先に狙ったんだ。最初の一撃目は意識を誘導させる為……ガレルを簡単に仕留める方法を確立しやがった。

 他の人間を殺すのは簡単だが、あの人間達を束ねてた奴は危険だ。オレの感覚はあくまでオレだけの物だが、それでもオレの疑似未来予知で倒せない奴は久し振りで油断してた。


 「(一先ず距離を取りつつ、姫様や他の奴等に伝えねぇと!)」


 敵討ちはそれからだ。



 

 ◇◇森周辺・東部◇◇




 カルルが森の中心部を目指して撤退している頃、真也はダークエルフ達が寝静まるのを待つ事にした。シャドウの言葉に従うにしても、今は誰かに見られる可能性が高いだろう。そう判断した真也は眠るようにしたようだが、森の南部で何が起きているか気付いた様子は無かった――。

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