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プロローグ

作者の三城谷と申します。初めまして。

未だに終わっていない作品は御座いますが、新作を投稿したいと思います。

前々から考えていた異世界物となっておりますが、まだまだ拙い部分があるでしょう。

ですが、見苦しくならないように頑張っていく所存ですので、どうぞ宜しくお願いします!


前置きが長くなってしまいましたが、それではまずはプロローグとなります。



 ――異世界。


 そう呼ばれる世界で繰り広げられる物語は、第三者を魅了させる不思議な力があるだろう。夢や幻、理想という類であっても、胸を躍らせてしまう者は少なからず居ると思っている。所詮、現実世界に反映される物は何一つとしてないし、願望という物が助長して犯罪のキッカケと取り上げられる事もしばしばある。

 何故、今となってこんな話をしているのか。それを説明するには、少しばかり難しい事情があるのだが……その前に……この状況をどうにかして下さい。


 「く、来るなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 『フゴォォォォ!!!』『フモォォォォォォォ!!!』

 「何でこんな所に牛が居るんだよぉ!!!そんなの聞いてないぞ!!!」


 牛と言っても、ただの牛ではない。先程、話した通りにここは()()()なのだ。どうして僕がこんなに目に遭っているかは二日前にまで遡る。どうしようもなくつまらない話かもしれないが、少しばかり聞いてくれると嬉しい。


 ◇◇二日前◇◇


 いつも通りの朝。いつも通りの通学路。いつも通りの光景といつも通りに待っている同級生。

 通学路の途中にあるコンビニで、毎朝のように待ち伏せをしている同級生三人。同じクラスの奴が一人と違うクラスの奴が二人という組み合わせで待っているのだが、毎朝というのが僕にとって厄介な話だ。

 この三人はいつものように待ち伏せし、まずは言葉と憎たらしい程の笑みを浮かべられる。


 『よぉ、真也(しんや)。今日もご苦労さん、俺たちの為にわざわざサンキューな』

 『待ち草臥れたぜ、まったく』

 『チッ……鈍間が』


 これがいつも通りの挨拶。少し違うのは、コンビニの角にもう一人の人影がある事だろうか。恐らくだが、目の前のこいつ等の仲間か上下関係を持つ上か下かの人間だろう。でもこいつ等が僕に仕掛けている時点で、下という選択肢は消した方が良い。

 要するに、こいつ等は()()()()という事なんだろう。そして僕から金銭を巻き上げたこいつ等は、いつものように山分けをし始める。中身が入っていればコンビニで何か買ってから山分けするし、中身が少なければ一発か二発ぐらい僕に入れてからコンビニで何かを買う。

 それが僕がされている日常であり、世にも腐っている平日の始まりでもある。ようやく始まった高校生活で、浮かれていたのは最初だけ。いざ始まってみれば、退屈な日常と陰湿な嫌がらせを受ける毎日。そんな事を繰り返していれば、徐々に僕自身の感覚が麻痺していくのは必然だ。

 

 「……っ」


 殴られるだけ殴られて、何も反撃する事もなく相手が立ち去るのを待つ。それが僕が手に入れたというか、習得してしまった守勢術だ。何も守れていないけれど、殴られてる間に別の事に意識を向ける事がコツである。

 まぁ痛い物は痛いのだが、それでもされるがままとなっていればそれ以上の暴力は振るわれない。過剰な暴力、それこそ()に至るような暴力を振るわれた事はないし、今までされた事はない。それも当然だろう。万国共通、他者を殺めてはいけないという法律が邪魔をしてくれているからだ。

 それが無ければ、僕はとっくにあの世へと旅立っている事だろう。そんないつものルーティンを終えた僕は、いつも通りの退屈な日常の一部を不本意ながら味わう。クラスメイトで話す相手は当然居ないし、一緒に昼休みを過ごす相手というのも存在しない。

 ボッチの中のボッチであり、不要な存在代表だと言っても過言ではない程に孤独な人間。羽虫同然の学生生活を繰り返していたある日、それは突如として訪れたのだ。


 『はーい、ちゅうもーく』

 『????』

 

 夢のような、漫画のような展開が目の前で繰り広げられた。突然に教室へ入って来た大人が数名、その手にはゲームで何度も見た事があるモデルの銃があった。それと一緒に姿を現したのは、顔を隠した数名の大人はニヤニヤと値踏みをしている。

 

 『な、なんだよいきなり!』

 『はいはい黙ってろよお坊ちゃん、死にたくないだろぉ?』

 『ひ、ひぃっ!』

 『あれって、本物?』


 そんな疑問を呟いたのが引き鉄となったのだろう。ニヤリと笑みを浮かべながら、クラスの一人が捕まっている。恐怖に震えている様子を楽しんでいるのか、それを見つめながら大人の一人は……躊躇なくその生徒を撃ち抜いて見せた。

 まるで、クラスメイトの呟きを証明するかのように。


 『お、おい……死んでる、のか?』

 『き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 『に、逃げろ!!』

 『やだ、死にたくない!うわぁぁぁぁぁぁ!!』


 それが発端となってクラス中、いや学校中が喧騒に包まれた。逃げようと走り出す生徒と誰よりも助かろうと他人を蹴落とす生徒、反応は様々だったが酷い光景だという事は変わらない。


 『そらそらそらそら逃げろ逃げろ!!逃げなきゃ死んじゃうぞー』

 『結構良い女も居るじゃねぇの。すぐに殺すのは勿体無いねぇよな?少し、(あそ)んでやるよ』


 女子生徒で校内で可愛いと評判だったり、何度も告白されていた生徒が次々と襲われている。廊下には血溜まりが出来ていて、逃げようとする度に周囲の景色の所為で足を止めてしまう。内側から込み上げる吐き気を抑えつつ、僕はこの場から逃げようと思った時だった。

 襲われそうになっている女子生徒の姿を見つけ、その周囲には大人が数人群がっている。とても勝てる見込みがないし、その場を気付かれないように立ち去ろうとした瞬間である。


 『――っ!――っ!!』


 口を塞がれている女子生徒は、僕の姿を見つけて暴れ始める。必死の抵抗を見せる様子から、助けて欲しいと言っているのがすぐに分かった。分かったけれど、僕は震えてその場から動く事は出来なかった。

 所詮は他人で、家族でも無ければ友達でもない。それに僕が何かされてる時、誰も止めようとはしなかった。その中の一人でもある人を、助ける義理なんてないはずだ。僕は悪くない、ここで逃げても、放って置いても文句を言われる筋合いはない。


 「……」

 『――!!――!!』

 『こら、暴れるな。くそ、もう足の骨でも折っとくか?だりぃし』

 『――――!!』


 服を肌蹴る様子が嬉しいのか、大人達は下心丸出しな表情を浮かべている。女子生徒は涙を浮かべつつも、必死に抵抗しながら僕の方へと視線を向け続けている。背中を向けようとしたのだが、振り返った時に視線が重なってしまった。

 微かに動く視線に釘付けになったのだが、襲わっている事で塞がれていた口が解放されている。だが恐怖で声が出せないのか、それとも喉を酷使し過ぎて声が出せないのかは分からない。分からないが、口の動きで全身に電撃が走った。


 『た――す――け――て』

 「っ!」


 所詮は他人所詮は他人所詮は他人所詮は他人所詮は他人所詮は他人……言葉を繰り返される中、脳裏に浮かんだたった一言。その言葉が浮かんだ瞬間、逃げようとしていた僕の足は咄嗟に動いてしまった。


 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 『うお?何だいきなり、この離せ!クソガキ!』


 逃げ出したい。今すぐここから逃げ出したいぐらい足は震える。震えてしまっているけれど、喉奥から搾り出すように僕は声を張り上げた。


 「は、早く逃げろよ!!バカッ!!」

 『――っ!』

 『あ、てめ、待て!!お前ら突っ立ってねぇで女を逃がすな!』

 

 子供一人に対して、大人が数人で取り囲むように追っている。どのみち逃げ切る事は出来ないかもしれないけれど、助けたのだから逃げ切って欲しい。そんな事を考えながら捕まっていた僕だったが、遠くなって行く背中を見届ける前に意識が途絶えてしまったのである。

 結果は分からないし、知る事は出来ないだろう。だけど、最期に誰かの為に動いた僕自身を称えたい所だ。そんな自意識過剰な事を考えていると、僕の視界は暗闇から真っ白な光に包まれた。


 「……え?」


 そして僕は、気が付けば知らない場所で立っていたのである。

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