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ゲノム少年は世界を知る  作者: 七刀シロ
2/12

治療はママ任せ

 少女達を抱えて施設のゲートに入る。


 二人のうち一人は切り傷があり、服が血で赤く染まっている。もう一人は右足が捻挫していた。


 とりあえず二人の怪我を治療してから対面しよう。


 僕はロボットの電源をOFFにしてコントローラーポットから出た。


「ママ、人がいたよ。怪我をしていたからママ治療はよろしくね」

『はい、まずは怪我の治療して、その後血液検査で疫病や寄生虫、汚染等で問題なければ食事を提供します』

「僕はゲームして待っているね」


 全部ママに丸投げだけど、僕は手当てとか生まれてきてからやったことがない。昔サバイバルのアニメや映画の影響を受けてロボットで狩った獲物を自分で捌こうとしたけどママは病原菌がいるとか寄生虫に感染するかもしれないと理由をつけてやらせてくれない。

 今回もそういった理由でやらせてくれないもらえないと思う。

 そもそも怪我をしているのは女の子だし、教育媒体で身体の構造(主に男女の身体の違いについて)や性行為については教育済みだけどデータ上と本番は違うからな。それと人はみんな他人に身体を見られるのは恥ずかしいってデータ上に乗っていたし、ママは僕が生まれるずっと前、この施設が戦争で使われていた時代に何千人の人の世話をしていた理由から丸投げにした。


 俺が来たのは娯楽ルーム。

 ここにはいろいろあり、大昔流行ったカードゲームからカラオケ・音楽・動画などのコンテンツが楽しめる部屋となっている。


 初めて人と対面するにしても人との会話を予習しておく必要があるからゲームで人と人の会話のパターンや話の話題を勉強しておく必要があるのと相手が女の子だから女の子しか登場しないノベルゲーム。

 いわゆるギャルゲーだ。


 それで女の子との会話を勉強しようと思うけどどれがいいのだろうか?外の様子がわからない以上どの作品を選べばいいのか?

 宇宙学園に通う学生達の青春物か、それとも地上を捨て海底や地下に文明を移した世界観のラブストーリー物か。大昔の話をモデルにした心の側と恋に落ちる話しも捨てがたい。


 心とはそのままの意味で感情や心臓を示す意味ではない。心と呼ばれる民族を指す言葉のことだ。心の民族は科学とは違う文明を築きあげ、科学では解明できなかった魔法と呼ばれる力を行使する人達がいた。

 その逆に僕の祖先達、科学側の人達は知恵と呼ばれて科学を発展させて文明を造り上げた。

 10万年以上昔、心と知恵の間で大きな戦争が発生した。戦争の原因のデータがわからなかったけど星が破壊する一歩手前まで激しかったそうだ。

 知恵側の文明が一定のレベルに減少してしまった。僕はその知恵側の人類の子孫というわけだ。

 心側の文明も深刻なダメージをおったってデータ上に載っていたけど僕の様に子孫はいると思うけど外がわからない以上可能性の話しになっちゃうからわからないよね?


 この施設は戦争の中奇跡的に無傷で残った人工物である。知恵側の文明は海底にリゾート施設を作ったり、近くの惑星に増えすぎた人工を移したりしていたと記録が残っていたからまだ知恵側の文明は完全に滅んだりしてないと思う。

 もしかすると僕がここに引きこもっている間にまた戦争が起きて知恵の文明が星を支配したのかも。

 まぁ、女の子達の話しを聞かないとわからないけどね。


「これにしよう!」


 僕が目をつけたのは人間と異星人の恋を題材にしたノベルゲームだ。地球という惑星が舞台の話で主人公の青年がUFOに乗った宇宙人を助ける話しなんだけどその宇宙人は主人公の身長の2倍あって、肌が黒い鱗状の肌を持った生物だった。主人公が宇宙人を世話していくうちに恋に落ちるストーリーのノベルゲーム。

 ルートによっては主人公が宇宙人と一緒に宇宙人の故郷の惑星に行く、ノーマルエンドや政府に宇宙人と殺されるデスエンドがあったり、ストーリー的に好きな作品だ。


 僕にとって彼女達は施設の外から来た未知の世界の住人というシチュが似ていることからこれを選んだ。

 この千年間で全ルート三回ほど制覇したけど。


『治療と血液検査が終了しました』

「もう終わったの?」


 ママからのアナウンスに耳を傾けると彼女達の治療が終わったと知らせられる。

 失血や捻挫をほんの数分で完全治療できるなんてさすがのママだ。こっちは治療に一時間ほどかかると思っていたからゲームを始めたのにオープニングにすら入ってないよ。

 まともに会話の勉強できなかった。数分で終わるなら動画コンテンツのくだらない面白動画を見ながら待っていた方が良かったかもしれない。


『はい、止血は白球液で修復して傷跡が残らない様にしました。血液サンプルを作成して現在輸血中です。もう一人の方の捻挫は軽い捻挫だった為、湿布を張りました。そのうち腫れが治まるでしょう。二人は安静に睡眠中です』

「それは良かった。彼女達に会いたいけど彼女達はどこで休んでいる?」

『B1フロアの宿泊ルームday-4ですが行かれるのですか?』

「ん?ダメ?」


 ママは珍しく歯切れの悪いことを言っている。答えて貰えたが質問を疑問系で言われても何かあるのかって思っちゃうじゃん。


『ダメではないですが彼女達を血液検査後にDNA鑑定した結果心の文明の者と出ました』

「心の文明」


 二人は心側の人類の生き残りそれか子孫というところか。

 それでもいい。初めて出会えた人だ。10万年前は戦争をしていたが、戦争が終わって気が遠くなるほどの月日が流れた今にとって戦争をしていた歴史は遠い過去の話しだ。


「それでも会いたい。過去に戦争していた敵同士であってもそれは過去の話しで今は今。初めて出会えた人なんだから僕はそんなこと関係なしに彼女達に会いたい」


 僕はゲームを止めて彼女達が眠る宿泊ルームday-4に向かった。

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