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呪われたRPG

作者: 小城

 「奇妙奇天烈ミステリーハンター」それは、オカルト、都市伝説といった類のミステリーを取材する三流雑誌である。その雑誌記者の佐々木は、今日も記事になる都市伝説を探して都内某所を巡っていた。今回のミステリーは「呪われたRPG」といわれるものであった。

「そのRPGゲームをした人間はゲームの世界に取り込まれてしまう。」佐々木はそのいわく付きのRPGゲームを探して都内のゲームショップを回っていた。

「すみません。こちらに『RPG7』というソフトはありませんか。」

「RPG7」数年前に名もないゲームソフト会社(現在は倒産)から出されたものである。いわゆる「クソゲー」というものだ。プレーヤーは最初に名前等を入力する。それによって個々のステータスや装備が決まる。同じ入力値だとしても同じ結果になるわけではない。シナリオに多少の風変わりな点はあるが進行の仕方はいたって普通のRPGと同じである。この「RPG7」を「クソゲー」たらしめているものは最終ボスにある。プレーヤーはそのボス(魔王)を決して倒すことができない。すなわちプレーヤーはゲームをクリアすることができないのである。そのように開発されているのである。奇をてらったものだったらしい。発売本数は僅か3000本程。

「はたして今も巡り会えるだろうか。」そう思いながら入った三件目のレトロゲームショップで「RPG7」は手に入った。

「案外、簡単に手に入ったな。」佐々木はソフトと一緒にハードも購入した。自宅で説明書を見ながらゲームを始めた。プレーヤーの名前は「佐々木」にした。

名前:佐々木 出身地:越の国 職業:剣士 武器:物干し竿 装具:燕の鉢巻き

登録完了。オープンワールド転移。ステータス確認。

佐々木。Lv1 HP14 MP8

能力 武器攻撃。回避行動。

武器スキル 物干し竿:命中精度UP 燕の鉢巻き:回避率UP

「佐々木小次郎からきているのかな?」とりあえず始めてみた。ゲームを始めて一日経ったが何も起こらない。取材期間は1週間。初日でソフトが手に入ったから時間に余裕はある。しかし五日経っても何も起こらなかった。ゲームは終盤にかかっていた。

名前:佐々木。Lv83 HP526 MP419

能力:武器攻撃。魔法。回避行動。受け流し。

武器:物干し竿(極)装具:燕の鉢巻き(極)、破邪の腕輪(改)

武器スキル

物干し竿(極):命中精度UP(極)。三回攻撃。攻撃力UP(改)。遠距離攻撃(+)。

燕の鉢巻き(極):回避率UP(極)。速度上昇(改)。状態異常(鈍足)無効。

破邪の腕輪(改):攻撃力UP(改)。魔法攻撃力UP(改)。自動回復(小)。状態異常回避(改)。魔法抵抗(改)。魔法回避(改)。

魔王の城。

地獄の番人が現れた。佐々木の攻撃。三回攻撃。地獄の番人に158のダメージ×3。地獄の番人の攻撃。地獄の炎。佐々木は回避した。佐々木の攻撃。地獄の番人に136のダメージ×3。地獄の番人の攻撃。ヘルファイア。佐々木に96のダメージ。自動回復。佐々木のHPが36回復した。佐々木の攻撃。地獄の番人に185のダメージ×3。地獄の番人を倒した。地獄の番人は地獄の鎖を落とした。


悪魔大帝が現れた。佐々木の攻撃。悪魔大帝に118のダメージ×3。悪魔大帝の魔法。デス。佐々木は回避した。佐々木の魔法。天使の守護。一定時間、状態異常無効。自動蘇生一回付与。悪魔大帝の攻撃。デスロック。佐々木は回避した。佐々木の攻撃。悪魔大帝に121のダメージ×3。悪魔大帝の攻撃。デーモンクラッシュ。佐々木に147のダメージ。自動回復。佐々木のHPが41回復した。佐々木の攻撃。悪魔大帝に169のダメージ×3。悪魔大帝の攻撃。デスロック。佐々木は回避した。佐々木の攻撃。悪魔大帝に199のダメージ×3。悪魔大帝を倒した。悪魔大帝は悪魔の杖を落とした。


魔王の騎士が現れた。佐々木の攻撃。魔王の騎士に101のダメージ×3。魔王の騎士の攻撃。デスサイズ。一撃死。佐々木は回避した。佐々木の魔法。天使の守護。一定時間、状態異常無効。自動蘇生一回付与。魔王の騎士の攻撃。佐々木に98のダメージ×2。佐々木の攻撃。魔王の騎士に99のダメージ×3。魔王の騎士の魔法。ポイズン。佐々木には効かなかった。佐々木の攻撃。魔王の騎士に102のダメージ×3。魔王の騎士を倒した。


魔王が現れた。魔王の攻撃。森羅万象を無に帰する。佐々木という存在は消えた。

GAMEOVER。

続きからはじめますか?

yes

魔王が現れた。魔王の攻撃。森羅万象を無に帰する。佐々木という存在は消えた。

GAMEOVER。

「こういうことか。」佐々木は納得した。

「これじゃあ批判がでるわけだ。」佐々木はすっかりプレーヤーに収まっていた。結局、ゲーム終了(未クリア)を過ぎても何も起こらなかった。

「今回の噂も嘘だったか。」編集長が言った。

「おそらく『呪われたゲーム』の噂も腹を立てたプレーヤーの中傷だったのではないでしょうか。」

「その可能性もあるね。」

「はい。」

「それじゃあこの噂の取材はこれにて終了ということでいいかい?」

「妥当かと思います。」

「他の資料も廃棄しておこう。」

「他の資料?」

「言ってなかったか?この記事だよ。」そういうと編集長は古びた新聞記事を出した。その新聞記事は数年前のものであり、記事の内容は「都内に住む高校生(17)がゲームをプレイ中に意識不明の重体。」というものであった。

「このゲームが『RPG7』だったのですか?」

「噂ではね。」

「高校生の名前は『山戸健やまとたける』というそうだよ。」

「めずらしい名前ですね。」

「その子は今も意識不明の状態らしい。」

「そうですか。」佐々木は何か妙な気配を感じた。

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