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一先ずの確保

「〈アンデッド〉の〈メイジ〉……いや、〈ゴブリン〉に装備させて……そう言えばアライさんの杖ってどこに置いてあったんだろう? 探せばもっと他の……」


 ■■■■■が次の〈モンスター〉について思案している。□□□□……アライの処理として使わせてしまったが、それでは〈テイマー〉初心者には過剰だった。


 今日の夕方まで、2人の実力の確認と応用を見たが、両人から、素晴らしさと恐ろしさを感じる。


 ■■■■■は、記憶の限りで出してある平均からすると、逸脱の領域にある。杖の置き方と位置が5才とは思えないからだ。


 まだ草木と土で隠すのは普通だった。捻った蔦で括り周囲に撒き散らすのも、まぁ考えられる範囲だろう。次の仕掛けでは短いながら、発動の連鎖を考え初めていた。


 そしてアライはそれを見て『負けていられませんね』と連鎖を考案し、熊を杭のある落とし穴に誘導。


 熱も冷気も凹凸、傾斜、自然の木々、そして自らも構える杖。杖という危険物に対して、一旦、冷静に判断した熊が、引いた先で串刺しにあった。


 生前でも多少はやっていたが〈属性付与魔法弾エンチャント・バレット〉の比重が多いと記憶している。


 純粋に■■■■■は褒めていた。私としては〈レベル〉が上がると、過去の〈アレ〉を作り始めるのに十分な力を得られては困るので、他の〈モンスター〉を扱うべきと思っていたのだが。


「あ、オルカお姉ちゃん! アライさんに合わせた戦術ならどんな〈モンスター〉が良いのか、迷ってるんだ……誰が良いかなー?」

「奴を主軸とするか…………あ……アライ抜きでの勝筋が、見えるようにしておくべきだと思う」

「んーーーー! 難しいなぁ。アライさん抜きは実質、別パーティーの構築みたいのだし、かといって頭数を控えめにしないのも……」


 あと4年後程度に出るような悩みだ。全くアライが組み込めないパーティーというは、誰かが欠けてしまった時にアライが助ける事が出来ない。


 更に、今の彼には6体程度すら御する事は無理だろう。


「大いに悩んでいたな。〈アンデッド〉に固めるのも、対極たる〈神官〉を備えるのも。〈テイマー〉とはそういう知略が必須だ」

「未来の僕って、何体を同時に指揮したんだろう……」

「その時の私と同格、つまり種族の頂点とも言える存在を12体。また単純な押し込みとして〈スライム〉や〈ラインバード〉を平原の一部が埋まる程に集めた事もあったな」


 ……私を抜いた11体。いや、何度かは3~5体で〈魔王〉討伐を成功させている。


 この事実は余りにも悲しい。私は、大いなる〈竜〉は不要なのか? 解放の瞬間まで、浮かんでは否定する思考だ。


 最も思い出したくないのは、私と他2体で挑んだ決戦。2体は死に、私も最期の一撃を放とうとしたら、■■■■■が私の貯めた魔力を奪い、そのまま〈魔王〉に突撃し、それで終わった。


 隠していたアイテムを使い、何も言わず、後ろ手で顔も見せず、残っていたのは〈魔王〉と〈勇者〉がそこに居た示す焼跡のみ。


「種族最上位を12体……〈スライム〉系と言いつつどこをどう見ても、メタリックな兵器とかないよな……? ただここ影響あるらしいから。嫌だなぁ」


 私でも見覚えがないのだが、絶対にないとは言えない。秘境や〈異空間〉〈ダンジョン〉では古代生物種が発見されるのだから、なんだってあり得る。


 様々な文献と実際に見聞きした全てを書庫に置いてあるが、それが世界の全てとは思えない。例え種類が合っていても、本来は存在し得ない時と場所に存在する事もあるせいだ。


「まぁ、そうなる個体は幼体の頃から特徴がある。〈スライム〉は置かれた環境で変わる種だからな」

「場を探すか作るかなんだね。うーん、まだ捕まえれば良いだけの〈ゴブリン〉の方が楽かな?」

「では少し待つといい。丁度いい、はぐれの居場所を知っている」


 刃物、打撃、素手のスペシャリストとなる彼だ。〈闘士〉の体現者たる〈ゴブリン〉の捕獲に向かう。


「そう、あの地に着く前はここだったな」

「ウギッ?! ギャガガ!!!?」


 腕のみを〈ドラゴン〉へと戻し掴む。縮小した翼と浮遊の為の魔法を使い、帰宅する。


「早っ。準備してたの?」

「まあな」

「……そういえば、言葉が通じない相手の〈テイム〉初めてだ……」

「〈ゴブリン〉などの低位存在を〈テイム〉する時は『なんとなく』でやっているそうだ。集中すれば何か感じるはずだ」

「…………あぁ、これかぁ……天才か?」


 準備……思えば、最初の生では、私の用意を抜きに■■■■■は種族の頂点との接点を繋ぎ続けた。如何に〈勇者〉の運命があろうと、そこまで強固な出会いとなれば、他者の意思めいたものを感じる。


 誰の思惑か、世界の選択か。答えは、■■■■■と共に魔王討伐で生き残ってからでないと、分からない。


「よろしく! 今から君の名前は………………クルス……クルス=グラウンだ!!」


 このようなズレが起きるのが普通なのだ。


「待て待て、その、なんだ。もう少し〈ゴブリン〉のような、うん、クルスだけで良いと思うぞ?」

「いやコイツはクルス=グラウン。呼ぶ回数としてはクルスが多くなるだろうけど」

「えぇ……」

「クルス、グラウン。ココニ」

「既にナイトの所作を……いずれ光と闇を備えよう」

「……」


 大きなズレだ。これが最後の周だからだろうか?

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