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スレは慧眼

 ゴーストさんの名前は『アライ』に決定した。


 安価を踏んだ者のIDを見る限り、裏切りを前提として話を進めていた奴だ。アナグラムでも作ったつもりか?


 現在、オルカと共に山に入り、雑魚狩りを行っている。アライさんの確認と、俺の確認の為だ。


「強靭な心臓持ちや、魔力抵抗持ちが居ませんねぇ……オルカ様は相当に抑えられているようで」

「生態に影響を出しては、自分が……〈勇者〉がここに居ると知らせるようなもの。そんな事をする訳ないじゃない」


 スレでの予想通り心不全キルで、動物に高めの魔力が宿った程度ならば、瞬殺している。


 アライさんが拳を握る度に、俺も心臓が不安になる。裏切りを前提とした、あいつが悪い。


「ふぅ……弱体化は覚悟しておりましたが、それとは別のところで感覚が鈍い気がしますね。ここは一つ、マスターに指揮をお願いしたいのですが……?」

「良いけど、あいまいな指示にしかならないよ?」

「では形から入らせましょう。オルカさん、何かアイテムはございますか?」

「何となく、お前の指揮棒を持って来たぞ」

「普通に『魔法行使の杖』なのですが……」


 手渡される杖。形状は、恐ろしく独特としか言えない。持ち手は2本の枝が圧縮されたようで、切っ先はネジのような螺旋が生えている。


「これがあるという事は」

「あぁ、他のも質が悪いから回収してある」

「マスターの成長具合に合わせて、解放していきましょう」

「染まるのは困るぞ」

「よろしいのでは? 貴賤を理由に手段を狭めるのは悪手ですよ」


 口喧嘩の開始だ。確かに将来、結ばれる相手の技術に、訳あって倒した相手の技術が選ばれてるのは、気分が悪いだろう。


『どこぞのタクトなら泳ぎが良いぞ』

『指揮官? 水ステージがえらいことになりそう』

『いや燃やせよ。そんな危なっかしいもの』

『質が悪いってなんだ? 地雷か? 不発弾か?』

『渡された杖が脊髄として、その他が作動する仕組みなら……魔力を送れば発動する魔具だな。まぁ、物理作動トラップもバッチリなんだろうけど』

『てかその杖、ドリルとして使えるんか?』

『テイムされた魔物「我々は楽器だ?!」』

『まさかのデブサイボーグルートですか』


 スレは方向性に盛り上がる。同じく気になるのは『ドリル』としての活用法だ。


 形状に意味合いと言う名の『思い込み』で森羅万象を顕現させるのが魔法世界。スレのゼノム履修者はそう語る。


 確かに『3点あれば顔として認識して、お化けと呼んでしまう』とか『文章の一部で賛否、正誤が反転する』とか色々と見てきた。


(ドリル活用聞きたいんだけど)

『怖いよね。「その発想はなかったわ」されるの』

『知恵の実は神秘を終わらせるって、それ古事記にもあるから』

『オリュンポスのユグドラシル並論』

『ドラゴンだから慎重にね。(知的)財宝を貯めて、発展させた使い方してくるから……』

『いやぁ、成長型AIは強敵でしたね……』


 恐怖心は共有される。謎の強制異世界ニキとしか思われていないので、自作世界に飛んだ作者の深掘り取材スレの方が人気があり、逆張り野郎もそっちへ向かう。


「ねぇ……この杖、何か抉れない?」

「ん?」

「……思えば……やれそうですね……一先ず、そこの木で試しましょう」

「あぁ、はい……」


 予測していた微妙に悪い方へ話が進んだ。


 起動キーだから物理攻撃に使う気になる場合なんて、極めて低確率。後方支援型による近接戦闘は、短刀や針の方が合理的でもあり、杖が折れるリスクを考え、思考の外だったのだろう。


「オルカさん、補強を」

「しておいた」

「では、やります」


 軋みながら螺旋が進む。手回しだからこの速度だが、サイコキネシス系で回せば、電動ドリルになれることが確定した。


「……これは形状と回転を調べるべきでは?」

「一部の蜥蜴人や蛇の行う回転とも違う……貫通力の増強に使うか……いや、これで掘る作業の全てが」


 屈強な戦士は重機に匹敵し、魔法により回復できる。対象物も軟化させたりも可能な為、技術がピンポイントで発展していないのも十分にあり得る。


『良かったな技術革命だ。喜べ、ちょっと前までの地球に並ぶぞ』

『こうやって神秘の時代は終息するんや』

『やっぱDLCってクソだな。環境破壊してく』

『それでもドラゴンは強いんで』

『魔王様が同じ発想力が無いことを祈る』

『その時代の天才なら聞けば、大体分かって実用化すると思うんですがそれは』


 ゼノム達のせいで『バランスブレイカーの運命を背負った転生・転移者』の総称がDLCとなって久しい。


 確かに後から追加する武器、防具、キャラの方が馬鹿みたいな強さしてるけどさぁ……。


「次回は他のものも持って来ましょう。一つは確実にオルカさん持ちですが」

「あれは駄目だ。威力が高過ぎて指揮の意味がない」

「そうでしょうか? 小威力を覚え過ぎるのも問題ではないですか。いつ来るのか分からないですよね?」

「……駄目だ。長い方だけで十分だろう」


 子供の教育方針って、やっぱり対立するんだなぁ。

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