表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/87

予備 2

リミットブレイクし過ぎたら

ムードブレイク・ワールドになるぜ!


後悔も反省もしてない

 やっと見えた人影。基礎能力の違いは圧倒的だ。同じようにレベルキャップがあるはずなのに、どうしてそうなる。


 俺が着いて10秒程後にラウルが到着し、それより40秒後にザツカとカラットが同着。


 待っているだろう間にゼノは。


「ふぅ……二度おいしい……」

「わん!」


 さっきは女性の姿だった狼………犬を撫でていた。


 こいつ…平和を感受して良い存在か? が、否定の遂行は、それこそ争いの種以外になり得ない。


「集まったな。それじゃ、解除っと」


 結界にゼノが触れて解除され、家が外観を露にする。


「…凝りの塊かコイツ…」

「何とも飾らない建築……機能としては極限…か…?」


 ビル…そう、ガラス張りのあのビルが出現した。


 異界に来て、前の世界の再現をするのは二択。再現に伴う技術を目的とするか、再現そのものに意味があるのかだ。


 思考が言語化される前の段階で、吹っ切れていたと思い、再現そのものに凝ったと呟いた。


 ザツカは機能を考える余裕はあるが、ラウルとカラットは未知に絶句。


「中は異世界(ここ)に合わせたから、二重に異色だぜ?」


 そしてエントランスに入り、今度ばかりは俺もザツカも、言葉を失った。


 中央に地球儀のような幻影が浮かび、その上は吹き抜けのよう。一階には様々な店舗が存在し、そもそもビルの底面積より広かった。


 大体のデザインは、主人公が属する組織が『宇宙蛮族』と呼ばれた事のあるMMORPGの拠点に近い。


 俺の記憶上は新しくないが、区域レベルは圧巻だ。サボりで完成させていなければ、歓喜のまま感謝をゼノに伝えていただろう。


「はい、中央行くぞ」

「あぁ……俺達、別の世界に来たのか?」

「余りに高度……故に人から離れた……」

「ここ、残るよね? 〈魔王〉で維持されてる訳じゃないよね?」


 ラウルは夢見、ザツカは暗い納得、カラットは俗欲……いや、生活の完成を優先した考えを示した。


 中央に来て吹き抜けを見上げた。層があるらしく、蔦や枝が絡まった層や、水が宙に浮いている層がある。


「地下へ参りまーす」


 そうゼノが言うと、デザインだと思っていた床の一部が上がり、エレベーターが出現した。


「なぁ、これどこまで下がるんだ?」

「到着した場所を見れば分かるさ」


 乗ってからの質問は躱される。答えは落下する感覚のないまま、到着し降りた瞬間に追い付いく。


「星の中核…だと…?」

「あくまで、この世界の場合はこうなっているってだけだろうがな」


 中心から、黒の穴、白から青、赤や橙の光の層、そしてマグマの層。一つの世界の真実を見せられた。


「ゼノさんよぉ、これで何が分かるんだ」

「星の息吹きとも言える強力な魔力の動き。大災害や凶悪な魔物、ダンジョンの発生が読める。ラウル、これを使えるなら、あらゆる体勢が整う」

「追加するならば、国や拠点をつくるべき場所か。…成る程、神々の曰く付きの場が線で繋げられるのも…」

「おいおい、俺の家だぞ? 紹介前に考察を始めんなって」


 ラウルの質問に俺とザツカが答える。きっとここは、動力源観測所でしかなく、中間や地表にも観測所が置かれている。


「「「お帰りなさいませ、総長様」」」


 入室から遅れて、挨拶が入る。もっとも、一切こちらを見ていないが。


「おつー、ぶち込みや防壁は?」

「予測では116:40:51後に注入、117:47:09後に遮断壁発動です」

「了解」


 本当の世界への脅威はこいつではないだろうか。星の心臓の活性も腐敗も思うがまま………。


 それ以上は何も話さず、ゼノは歩き始めた。俺達も静かに付いていく。


「ゼノ……これを建造していたから」

「計画スタートから、二ヶ月なんだよなぁ」

「チートかよ」

「〈吸血鬼(ヴァンパイア)〉が設計し、〈森人(エルフ)〉が量産し、〈巨人(ギガント)〉が小型高性能化してだな」


 二ヶ月。砦の落とし方を試行錯誤していた間に、ファンタジーの技術力がSFになるレベルか。


 恐らくだが、各々の種族や家系にある秘伝を余すことなく、使用したのだろう。


「途中で邪悪なる豊穣の女神が出たりして、大変だった」

「〈生動木(トレント)〉が増えたり、神殿の〈聖木〉が茂った原因は、それだったの……」

「邪悪とはいえあくまで性格……いや、俺達が【邪悪】と思うような使い方しかしないだけで、属性まで〈闇〉に染まる存在ではなかったからな」


 余波で地獄絵図をつくる存在さえ喚べる。〈魔王〉オウガの討伐に乗り出さない理由が、言った通りの感情論以外では説明不能だ。


「ここが客室だ。しばらく待てば飲み物はくる」

「木製……そうか、非生物的な岩や鉄よりは木であった方が」


 一風変わって質素な部屋。ギャップの衝撃にザツカは、発想が前世界に追い付く。


 置かれているソファに腰掛け、来てから膨らんだ疑問をぶつける。


「ゼノ・クラック、星全体へ影響を与えられる施設など造って、〈魔王〉征伐を怠けるとは、何がしたい?」

「…そうだな…。まず、この施設の目的を話すが、予想してみるか?」


 真面目なのか否か分かりにくい。しかし、俺が答える前にカラットが突っ込んだ。


「〈女神アロクル〉様に成り代わるつもりね! 今に天罰が降りなさい!!」

「あぁ、惜しいな。確かにこれは〈アロクル〉の代用となれるシステムだ。だが真意はそこにない」


 神の代変わり。しかしそれを野望としないのならば……。


「真意は「神からの脱却」」

「いくら何でも、そこまでする必要はないだろ」

「ふっ……実際、〈魔王〉を生み出したのは〈アロクル〉であると言うのにか?」

「そんな馬鹿な事………!」


 ゼノをある程度、理解したので答えを被せた。そして話の続きは、〈女神アロクル〉が〈魔王〉の原因と。


 そりゃ、カラットはキレるわ。どうにか宥めて座らせたが疲れたよ…。


「彼女はね。蒸気を見て疑問に思ってから、空気の違いを発見し続けた。そして許されざる禁術とまだ許される禁術の二つを創った。許されなかった術が元で、運命はトコトン闇に落ち、最後は絵画に封印されたそうだ。この話は、許された禁術で生き永らえた同時代の存在から聞いた」

「最初からそういう宿命だったのでは?」

「本来であれば、世界破壊思考も技術も制限出来る立場にありながら、それをしない。少なくとも、あらゆる命への軽視が見えたんじゃないか?」


 何とも難しい問題だ。〈女神〉との呼び名が広まっているが、その実、行動を鮮明に記すならば創世神の方が似合うレベルだ。


 そのような創世神が、〈闇〉属性などを手付けずにいたのだろう。確かに元凶と言える。


「例えそうであれ、被創造物どもの不完全なままの集合だ。綻びが出ぬ訳があるまい」

「諦めて、その癖、戦乱などの悲鳴に共感して泣くのだろう。限界までやろうとする者を、そう抑えて」

「それは……」


 言葉は続けられなかった。


 突如、鳴り響く警報に身構えたからだ。


『予想通り、〈魔王〉の手先が侵入した! 総員、コピーデータを持って避難せよ。なお、他観測所も同様に襲撃されていると思われる。その他の場を目指し、この場を去れ! 繰り返す__』


 『予想通り』……元より〈魔王〉に対抗しうる戦力だったのだろう。そしてその研究の粋はここだ。


「さて、レラース。どうして〈魔王〉が破壊工作に動いたと思う?」

「目障りだからだろう。自分の支配を磐石にする為の」

「それか。ところで、そこの方は貴族か?」

「…何が言いたい」


 自分は少ししか合わなかったからか、ザツカにゼノは対象を変える。確かにザツカは貴族からの者であるが、何の答えが欲しいのか。


「正義たる長が暗部を動かした事は、最近あったか?」

「あったな」

「この襲撃はそれが答え、だ!」


 ゼノが拳を突き上げると、〈死霊〉が姿を現し天井に穴を空けていった。


「喋る暇はなくなった。敵を叩くぞ」

「癪だが、敵が〈魔王〉より送られたとなればな」

「あんたも死ぬなよ」

「貴方に回復はしません」

「脱出戦だ! ゼノの事は気にせず行くぞ!」


 まだ整理は出来ないが襲撃は襲撃。対処しなければ次はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ