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混沌の世 2-4

濁流

「がお~~、たべちゃうぞ~」

「ア゛ァッッ!!」


 

 最終試験開始から四日後の夜、拠点は白狼に襲われた。兵も騎士も敵わず、〈勇者〉たる俺が戦闘を始めると白狼は撤退を始める。


 二重に誘われていると理解した俺は、追撃を選んだ。後ろ手に防御結界と回復陣を構築し、木々の間を抜け、気配が急激に薄まったので立ち止まれば。



「えへへ、男の子だ~」

「駄目だって、何だよこの犬。可愛いかよ」

「よしよし」


 正妻にして最愛、俺の性癖に最も深く突き刺さる嫁。シュアが頭を差し出して来た。


 撫でない奴は夫はおろか、飼い主すら名乗る資格はないだろう。


「わぅ……ゼルリウム……」


 犬と飼い主が目を合わせて撫で合うと、幸せが分泌される。アニマルセラピー万歳、〈獣人〉であればケモナーにならずとも性欲の解消も可能。


「クゥ」


 ベッドはどこだ。いや、まずはブラッシングか? ヤりたい事が多くて分からん。


「……あぁ、一緒に入ったのは」

「ルシ姉も確認済みだよ」

「なら心配はないか、別世界に飛ばされていたら最大警戒になるからな」


 家族……【有】に接続される俺は、自然と魔力的器が極大になる。〈龍脈〉が安全な街道となり、溜まり場ともなれば大国が興るように、より大きな魔力を求めて寄り添う仲になった、愛すべき者達。

 安全が確認されたので一安心。だが【外】が何をしても後手にしか回れない。


「気にしないで……ベッド出来たよ」

「据え膳の完全形態や」


 理性はかなぐり捨てるもの。それをしてこそ俺。




「ゼルぅ、何でもう大人と同じなの?」

「実質〈サキュバス〉勢への対策」

「なるほど」


 ド変態であり妄想(そうぞう)を収集するという事を理解されている。実際、こんなゲーム的なシステムで動く世界では〈ドレイン〉や状態異常各種は脅威なのだ。

 何よりうちの嫁達への消費量は恐ろしいもの、よって量産体制を整えておかねば、物理的に魂を削る必要が出る。


 物理ってなんだっけ。


「〈テイム〉して欲しいなぁ」


 シュアが自身の〈テイム〉を提案する。〈魔物〉を繰る事から始まり、人魔の架け橋となるルートか。互いの立場から丁度良いと言える。


「〈テイム〉」

「やたっ!」


 性欲処理したのにシュアに押し倒され、口腔を舐め回される。反応は薄い、気を付けているせいだろう。


「スー……」


 面白くなくなったのか、シュアは完全な睡眠を始めた。


 俺は俺で眠りたいが。まず、シュアをこのままで連れ回せない事を解決しなければならない。今回は『討伐』目的のはずだから、素材を多少と〈経験値〉がないと。


「〈封魔結晶〉しかないか」


 対処が難しい場合を想定して、常備している封印系のアイテムだ。寝ているシュアなら大人しく入るが、開眼(おきた)ついでに開封しそうなものである。となれば夢見の間に事情説明をする必要が出た。


「格上への干渉とかムズいわ~」


 更に言えば、嫁の安眠の邪魔にならない程度に、留めようとしている。可愛い寝顔と健康でいて欲しいからな。不健康でも不老不死の〈熾天使〉枠だから無理矢理にでも健康に戻せるがな!


「……これじゃ内外は完全遮断……いや、結晶の固定化や圧縮空間判定からいけば……後は……」


 そのままでは街中でシュアがグズグズした瞬間に割れるので、〈封魔結晶〉に手を加える。


「よし! 寝たままだな」


 これで、シュアが発声する度に回復の波動が漏れる〈福音結晶(シュア・クリスタリィ)〉が完成した。なお波動の効果は〈体力完全回復〉〈魔力回復〉〈蘇生〉〈体力持続回復〉〈耐久完全回復〉〈無差別〉と。


「やりやがったなアロクルゥウッ?!」

追記: 狩猟解禁

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