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混沌の世 2-3

 退屈な年月を過ごし、俺は9歳となった。イベントと疑わしいものはあったが、レベルが遥かに低いもので何も感じていない。


 7歳の時に通常の群れのヌシが、群れを形成したものを討伐した。ただそれだけである。いや、崩れた民家に放火する脳がなければ、あそこまで楽には進まなかったか。


「先生、どちらに向かわれているのですか? 外の空気からするに木々が多いようで」

「着いたら説明する。予想でもしてなさい」


 盗聴してたんで既知ですがね、リリー先生。因みに暗殺計画でもあり、〈魔族〉の〈魔物使い〉が何体かの訓練された魔物を解き放った。ようは油断ならない。


「森、山、大荷物………キャンプですね!」

「違うわ。というより、そんな事をする暇が何故、与えられたと思えるの」

「先生が気楽そうだったので」

「まぁ……そうね……」


 そうだよな。俺が死ねば〈人間〉の領域を破壊と共に、去れる予定なんだから。しかもリリーは童心に母性がくすぐられ、俺を直に殺すという手を取りきれないでいる。

 悩みの種が消滅する未来が見えたのだ。張った気が緩んでしまっても不思議はない。


 修行らしいあれやこれやを想像するふりをして、リリーのボディを妄想する。どうしてこうも魔法使い装備は、ブカブカのローブなんだ。


 慣性を感じた。ということは到着なのだろう。


「〈勇者〉ゼノ・クラック様、並びにリリー様、お迎えに上がりました。ライ様は既に到着されております」

「二人同時……キツいですね」


 それなりの演技をしながら、馬車を降りる。指導者が二人とも居るというのは辛いはず。


「心配ないわ。ちゃんと見極めるから」


 俺のHPに対する『確一調整』かな。


「あれ? なんでこんなに装飾付きの天幕が?」


 周囲を見れば、用意されているテントが気になった。確か白以外の色のものは王侯貴族のものであり、つまりそれだけの人数が来るか来ていると。


「王子達も来るからよ。それに武功貴族からも」

「また説明しなければならないのですね……」


 〈勇者〉と『王権』についてである。

 俺としては、〈勇者〉とは〈魔王〉に向かって放たれた矢でしかなく、その他の要素ではゴミクズなのだ。だから人々に敬われ、国の頂点として国を動かす存在とは成れない。敵の排除だけでは国はやがて死ぬのだから。


 これらを説明する暇があるなら、薬草採りでもしていた方が有意義の可能性だってあるのに。




「ゼノ、これからする事は察しているな?」

「山林地の魔物の討伐、要人警護、そして最終試験でしょうか」

「そうなる。目標の魔物は白い大狼だ」

「えぇ……」


 説明をどうにか終えた俺にリリーから、今回の目的を知らされる。仮にここで俺が死なずとも〈勇者〉育成終了を手に、休暇という名の侵攻準備にかかるつもりだろう。


 対象は白い狼ですか………絶対に来るな。心の整理をしておかねば。

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