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混沌の世 4

 正解だが不適格であったと言える。


 〈ゼノム〉という存在は、人ではあるが人間ではない。確かに彼の体は女子小学生が基本で、本気の戦闘となれば成人男性になる。

 だがそれまでだ。血と内臓、呼吸機能は気分で有無を切り替え、家族とされる者以外は、極論すれば『全滅しても構わない』とまで言い切っている。


 しかし彼を手放す事はない。気まぐれに研究室や実験場に現れ、アプローチを変えては新発見して、技術の向上に貢献しているのだ。

 破壊能力や耐久力を調べる時には、何処からか現れる。そして、死者や負傷者は出さないものの、大災害を起こす。確かに急激な環境変化も、調べたいものだが。

 技術の事をするのは、正確には彼の中に居る〈ククラ〉という女性だ。彼女は〈ゼノム〉の呟きからやっているだけだと言う。


「主任、音声データは」

「一度聞けば〈奴〉に関しては不要だ」

「そう…ですね。何でも入り込む可能性があります」


 そしてここは〈ゼノム〉の為だけに造られた場所ではない。他にも世に出せない存在は、ここに居て貰わねばならんのだ。


「現在、奴はどうしている?」

「また連絡用の置物へと切り替わっております。追跡は、〈穴〉による移動、〈遍在〉による移動、物質伝いの高速移動、に伴う存在の希薄化、縮小化により、正確な位置としては不明です」

「食事時に帰って来るのを祈るしかないか」

「遅れてしまうとすれば、我々との敵性、〈彼〉との敵性、接触が故の敵対による行動中のいずれ。何にせよ事後処理が…」


 保護も拘束も効かない存在はそれなりに出る。〈ゼノム〉は更に、物理でも精神でも如何様にも、世界に終焉を齎せるのだ。〈ゼノム〉は家族への危機以外、何が起きようと許すレベルに居ると思われるが。

 残念な事にこの組織……いや、この〈地球〉では幾つもの存在を、そういう存在でなくしたりしている。仮にその中に〈彼〉の家族が居たのであれば、決断の一瞬に世界は終える。


[Wiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii]

「……ククラか。私自身も異常に染めないでくれ」

[用件はですね~。ホバー移動する熊なんですが、どうやら『人間』をご所望のようで]

「細かくは聞けないのか?」

[何の為には教えられてねぇぜ。一方的に話しかけられた]

「君なら覗けそうなものだが」

[操るまでいきそうなんで、そもそも侵入しません]


 脳が『声』を聞き取る。〈ゼノム〉に毒されし〈ククラ〉からの人員要請だった。

 〈彼ら〉は強さや特異性から上位の存在と言えるが、『人間』にしか効果や興味がないもの相手には、無力な存在とも言える。それを無理矢理、振り向かせたとして悲劇か面倒事かになる確率が高い、と〈彼ら〉は思っているのだろうか。


「わかった。そこで待機してもらおう」

[因みに、他の組織が来た場合は?]

「もしもがあれば処分を」

[すまんな、含みの要素を並べてくれ]

「戦闘許可、対象保護、環境維持、敵対組織の情報抜き取り…今、思い出せたのはこの辺りだ」


 〈ククラ〉は知っているが毎回、聞いてくる。恐らく、言い忘れによる勝手な行動を狙っているのだろう。〈ゼノム〉によって入ったが、日本という場所に縛られているのを知り、次の国へと渡ろうとしている。


 日本には少ないが国外では、より大掛かりな施設と存在が居る。〈ゼノム〉と出会わせるのは、確実に危険だ。

追記:あっ、虚脱った

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