混沌の世 1
またデジャブだぁ……マジで繰り返してそうで怖い…
[『奴ら』が動き始めた。恐らく教室に回収へと向かっている]
「で?」
[……明らかに前世界としては歪だ。接触しろ]
「仕方ないなぁ」
[撮影会自体、駄目だろ。命令されたから撮るけど]
小学生ともなり体が良いので、自身をRECしていた所、ククラから謎組織との接触を命じられた。非常に勿体ないが、既に脳内に3Dモデリングがあるので我慢しよう。
親は既に寝ており、万一、起きても触れる幻影を設置してあるので問題ない。
壁をすり抜けて校舎へと駆ける。
「回収って何かあったか?」
[柱の隅の円柱ナスカの地上絵]
「あ~、俺にしか見えてなかったのか」
呆れたように言われて、確かにあった事を思い出す。妙に話に上がらないと考えていたら、不思議存在は一般人には見えないという、お約束だった。
「お嬢ちゃん、こんな時間に何で外に?」
処理作業中なのか、人払い用の警官が巡回していた。ただの公務員ではないと、目で分かる。
「教室に忘れ物しちゃって」
「おじさんが取って来るよ、形は?」
「女児を夜道に放置とはねぇ。それと形は立体的なナスカの地上絵みたいなものだな」
「……何が目的だ」
単純に行かせたくない意思を煽り、目標物のブッキングを伝えれば、徘徊する幼女ではなく危険因子を自覚する何か、と扱いが変化した。
「お前らの組織との接触、訳の分からないモノとの接触だよ。勿論、戦闘も視野にあるが」
警官が銃を引き抜こうとした時。
ギャォァァァアァァァァァァァァァァァァァァァ
学校から大きな鳴き声がした。断末魔ではなく、威嚇の咆哮だ。
「手間取っているようだな。終わらせてやる」
「ッ?! 待て!」
後方上向きにバックステップをし、空中に魔方陣を描き、足場として更に高くグラウンド側に飛ぶ。
「おっきい……」
[自然なおっきい録音しますた]
見た目としては6mサイズだが、その内側の魂や総合魔力量がかなりある。そんなものを相手に、ちょっと特殊なだけの銃では、回復が追い付くだろう。
「ほぅ…満月な上に赤みですか……」
[〈根源〉決まったな]
「繋げろ」
上を見れば月の状態が演出に良かった。見覚えのあるものから、問答無用で力を持って来させる。
「〈朱い月〉〈紅い月〉〈紅き月〉withオークゥ」
月に纏わるもの達と、体の状況から力を引き出す。空間支配に並行世界操作、そして嫁。これで無理なら【外】しかない。
龍の鱗や翼が生え始め、目も紅く成る。周囲を赤い正八面体が囲う。
ナスカは意識を此方に向け、組織の人間達も同じく見上げた。
「我が名はゼノム・ルマ=アウゴ。異界に落とされし、全世界の力である」
直後にナスカへ跳び、一撃。何の問題もなく翼が削れたので、連続で拳打を浴びせる。
[コアは残してね]
「確か滅殺が目的じゃないんだっけ?」
謎組織のうろ覚え設定を出されては、オタクとしては恭順したい。よって核を残して、破壊を完了。
下に居ると銃の射程なので、核と共に上空へ浮いた。
『我に触れよ、我に触れよ、我に触れよ』
「ここですか?」
直に接触を向こうが求めてきたので、スライムのように伸びた尾を持つ。
脳裏に人生が流れ始めた。成る程、記憶を巡って破壊でもする気なのか。
『離れよ、離れよ、離れよ離れよ離れよ離れよ離れよ』
「言われた通りにしたのに」
悲しきかな。ただの神格では、無限の時を体験出来ないようだ。苛ついたので逃がさないように、握る。
『引きます、媚びへつらいます、反省します』
[ギャグを学習したぞ]
「順応性有りって報告しないと……」
大人しくなったので地上に戻る。やはり組織には囲まれた。
「それをこの箱に入れて貰えるか?」
「乙」
雑に箱にシュート。破損したような音はない。
「さて、君にも来て貰いたいのだが」
「えーと、少なくとも一般社会から外されますよね?」
「そうだ。君は異質過ぎる」
「家族を『処理』してきて良いですか?」
組織の顔が引き吊る。命を軽視する発言、つまりは暴走時の躊躇が望めないという事だ。面倒な相手は退場させるに限るのになぁ。
「君はそれで良いのか」
「彼奴らを大事にするという心を、入れる余白がないんでね」
「数分で終わる」
「はい、終わるものです」
「頼む」
言われた瞬間に家へとワープ。家族の魂を保護し、脱け殻は結界内部で光にさせて、魂を並行世界に統合させる。並行世界を選択するのが一番難しいが、ククラに投げれば直ぐである。
「終わらせました~」
「では、ゼノムさん。我々の施設へ行きましょう」
名前覚えるの早っ!




