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新生には事件がつきもの

友人の哲学ぅ……

「あぁ…うー……」


 何度やっても同じ事。思考しても当事者ではない俺には、終わりのない事なのに。


「ゼノム、落ち着きなさい。完全に不審者…はいつも通りだけど」

「襲撃。備えるなら、冷静、ドッシリ」

「いや、うん」


 ヤハラとクレアから声がするも、まともに受け止められない。むしろ落ち着かせる為に炉心が稼働して、足元が分子振動によって溶け始めた。


「気絶も骨抜きも出来んとはな……」

「多量過ぎ~!」

「とりあえず浮いて…駄目だ、空気が震える」


 オークゥとアスモからは呆れられた。【邪神】もそうだが、何が起きるのか全く予測が出来ない。


「そうよの……これまでのルーシーについて話してくれるか?」

「見てただろ?」

「あぁ、鼻の下が光年を越えた。その気持ちをな…?」


 シュア、ククラ。仕事は任せた。ルシュフェル、頑張ってる。






 初めは疑ったものだ。まさか次の身籠りがルーシーになるなんて。でも、診れば事実だと判った。


『あんな回数で当たるものなのだな』


 完全に同意だ。生殖本番まではさせず、ほぼ無駄に健康的な消費しかしてなかったのに。


『しばらくは離れ……シュアの例がある……皆の者、ゼノムの手元はしばし、余で満員となった』


 強引で可愛いく、母になるが故に艶々なルーシーがずっと側に。いかん、消えてくれ。


『守るのだぞ?』

『はっ! 我が女王の為ならば!』


 『ありがとう』という言葉と共に、唇を重ねに来た。


 解放された粒子を〈白濁巨星〉に戻すのは、当たり前の事だった。


『誰が好んで変態のバナナを咥えるものか。汁も同様。した者は相当だな』


 ルーシーは俺という栄養分の取り方で、一番効率的なものを蹴った。らしいから良いけど。


『余の子…貴方の御子は、一人の魔力で育てたいの』


 とはいえ俺は至近距離に在る。何の影響もないのは不自然だし、ルーシーも分かっているのだろう。アスカは龍の火で、バルザは恐らく戦火と闘争が故に火属性になったが、今回の子供はそれがない。


 母と父の適性を濃く受け継ぐだけ。ルーシーは闇と光。俺は何やかんやと全部になったが、種族と名で考えれば、水と地と闇。

 

 闇の存在になる可能性が強いにも程がある。二人してトップクラスの黒連想だ。神への反逆者と抵抗者の子。真っ黒だね、よっぽどの破壊意志じゃない限りは、育てるけど。


『ねぇゼノム。貴方はこの子をどうしたい?』


 予定にないんだよなぁ……子供にあれやこれやは見せるし、教えるけどまず不老不死なのがね。後世に何を遺すのか、何を目標として生きるのか。その辺が考えられなくなるんだよな。

 

 最強という目標は終わった……【外】との壁を破壊した時、ゼノムという存在は【有】になるから拒否です。そんで維持や子育てにしたって、重篤な嫁内紛や【邪神】はないから維持は簡単。


 で、子供にはどんな世界を見て欲しいのか、どんな影響を与える存在にしたいのかってね。【外】の都合でいくらでも変化する可能性があるし、【外】の大きさを考えれば影響は全て児戯にしかならない。

 何らかの関連存在が増えた。その程度の認識でありながら、その子は不死身やそれに近い。俺に何が出来る? 力とハーレムに付随する何かしらしかないが、それで何が育つ? したい事がまだあった内に産まれ、それを見せる事でとりあえず終わっていた二人とは違う。軽微な脱け殻の俺を見てどう思う? それで行動を起こしたとして、俺の心はその直前のハイかローのままな気がする。何をしようが取り返しがつくから。

 時を戻し、生命や記憶を〈万象庫(アカシックレコード)〉から引き出し、並行世界を創り、万物を創り直す。だから、どうしたいもない。


『本当にどうにも出来るってなれば、詰まるものね』


 当然である。転生前だって『魔法』を除けば、本気度による持続さえあれば叶うレベルの望みしかなくて、常時ハーフ賢者タイムだったのだから。


『私に任せても良いよ?』


 ………彼女の存在意義で考えよう。俺や【有】のマゾと中二病を満たす為に〈堕天使〉であった彼女を嫁として手元に置いた。そんな彼女にどうとでもなる存在が行くとなると、やはりマゾか中二病、両方を満たす子になるな。


 申し訳ない波動が流れる。


『これこれ、漏らすでない』


 ルーシーに叩かれる。ふぅ、スッキリした。


 やはり力でしかない雄は駄目だな。何も解決してないのに、終わった気になってやがる。これだから力ではない女性に突っ込まれた時に、無駄に長くなるんだよなぁ。






「何て時間だったの……?」

「考えるな。感じろ」

「我が膝枕は粘性を持った」

「全くだ。起きよ変態、仕事だ」

「「「ククラ?!」」」


 いつの間にか手術は終えていたようだ。で、仕事という事は。


「良いニュースと悪いニュースだ」

「悪い方で」

「子は死んでいた」

「……あぁ、だいたい分かった」


 やはり闇が多かったようだ。仕方あるまい【外】を除いては、最高の殺傷を持つ男と、トップクラスの神話存在なのだから。


「良いニュースはな『神』が増えたぞ」

「この冥府存在め! 母ちゃん達はペルセポネじゃないし、ザクロを食べ放題にしても縛れないぞ!!」


 当然、漆黒の存在が産まれる訳だ。せめて肉体はついていて欲しい。


 見れば手術室は光を反射しない程度に黒い。ルシュフェルとシュアの生存、そして新たなる繋がりも確認した。


 ウッキウキで歩を進める。


「これがパパでちゅょ~。【彼の存在を支える法則は空想の如く、初めから生まれた事もなく故に滅されず、それに無垢か不浄かを問う事は愚かなり。されど森羅万象は問い続ける。一切、増えも減りもしない謎を。眼で耳で鼻で舌で体と意識で、色と聲と香と味と触れ方で、無限が故に無意識でしか解決しえないものを。しかしながら問いの答えは虚にあらず、それは】」

「うるせぇ糞親父! 腹ん中で全部感じてたぞおい! 産まれて自我獲得した瞬間から、ぶっ殺す気しかおきねぇよ!! 変態が!」

【やれやれ】【残念な子だ】

「【てめぇは黙ってろ!!!】」


 阿吽の呼吸で【邪神】へと攻撃した。部屋の隅から『やはり親子』とか聞こえたが気にしない。

アスカ「誠に遺憾である」

シュア「訴訟も辞さない」


ルシュフェル(どうしてこうなった)


ククラ「変態に集うしか無かった運命が悪いよ」

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