売られたもの
本編終わったせいか燃えねぇ……
DMMORPG〈フル・オメガ〉。
異世界から帰還した男の会社〈Xeno〉がリリースしたゲームだ。
それが来る前からVRの極限は遊ばれていた。日本における金字塔……ただ、対人戦ではなかったり、カスタム要素が低いものだったりした。故に全裸待機されていた作品であった。
直近の大コラボイベントの発動条件から、10億人はアクティブユーザーらしい。ヒットを通り越してホームランではないだろうか。
キャッチコピーは『剣と魔法と銃と科学と』。要するに『何でもあり』と言っている。無論、それに合わせて職業や装備、魔法、スキルも馬鹿げた数になっている。
プレイ時の種族だって多種多様。地味に大きいのは、キャラクリエイトの時からこの先の注意が、喚起される事だ。
身長を小さく設定すれば『一定未満レベルの場合の筋力低下に伴う、ジャンプ力の低下』『装備物攻撃におけるリーチの短縮』『視界変化に伴う不快感』。
逆に大きくすると『足元への視線移動の必要性』『当たり判定増加による行動制限、被弾確率の上昇』。
ここまで注意してくれるゲームは、中々ないだろう。というよりは、その辺りでの変化が生じないからだ。
ゲームに求めるリアルが本気である事を、プレイ開始前から感じさせる。
そしてキャラを作り終え始まった世界を駆ける。時折、スタート位置が死ぬしかないような場所もあるが、死ねば最初の拠点に行けるのでほぼ全員、セーフとしている。
世界は広く〈Xeno〉の社長が言うには『太陽系』程度はあるらしい。プログラムはブラックボックスでしかない。
そうして進めていけば、いよいよゲームの本腰〈職業〉の選択に行き着く。
隠し職業へのルートも用意されているが『発見者でない者は性能が99.99~95%下がる』という先駆者であるほど、得するようなものだ。ただしこのルールは絶対ではなく『超低確率』『極悪難度ダンジョン、ボスのドロップ』『公式大会、レートランキングで上位』『致命的なバグの発見』などで入手できるアイテムにより解除される。
クエストは複雑でイベントを踏めば、異常繁殖したり封印が解けたりと、事件が絶えない。だから面白い。
ストーリーは考察班に投げているのも実に心地よい。武器やドロップ素材一つ一つに物語らしきものを添えて、妄想か想像か。個々人の真実を見つけさせるものだ。
『さぁ、現在の先頭を行くのはスターシューター! 追随するは隼太郎、大きく遅れて振動浮遊体……』
何でもありのゲームである。今見えたワールドチャットは確か、キャラクターステータスをOFFにしアイテムのみ反映させる事で、レースゲームの混合レースを可能にした大会の実況だ。
外装の自由度も当然のように限界。結果として、様々な工作系のゲームやソフトを吸収していた。
『骸骨の魔王と聖騎士を発見!』
『駄目だ! 奴等が来るぞ!』
『野生の魔王が多すぎるわ!!!』
欠点が発生したようだ。このゲーム、理不尽が強すぎるのである。
元凶は知っての通り『二次元との交流』だ。漫画やアニメ、小説でしかなかった存在達は、実在した。ゼノムが言うには、宇宙の遥か遠くから連れているらしいが……。
『スライムの軍もようじょ飛行師団も来たぞ!』
『俺達が何したって言うんだぁぁぁぁぁぁ!』
そんな彼らに娯楽を提供したのだ。当然、一般人は蹂躙対象となる。元より生死を懸け、部分的であろうが魔法を扱っていた人々に、娯楽としか見ていないプレイヤーが勝てるはずがない。
『__異界からの来訪者が出現しました。総員、撃破に向かって下さい場所は__』
しかし倒すメリットを出してしまえば群がり職とするのが、ゲーム廃人である。
漏れなく強力で出現時間にも制限がある存在。それらを倒せば〈フル・オメガ〉の上位者入りが可能となるような、素材やアイテムが確定ドロップする。それぞれの称号も貰えるし、噂だがコンプリートすれば異世界転生、転移をして貰えるそうだ。
『__【邪神】が確認されました。皆様、呉々も辻回復、行商人、光の存在にご注意下さい__』
一番ヤバいと言われるイベントが発生した。無敵の狂人を生産するものであり、一時的に『デスゲーム』と化すのだ。
一回目のこれで記者会見あったけど、途中でゼノムが肉塊になって【邪神】が代わりに席に座り『これからも蘇生可能なので問題ありません』って言ったんだよなぁ……被害者は【邪神】信仰に陥るから問題大有りなんだよなぁ……。
『ギルド〈ンゥエー〉が【邪神】の対応中です。初期微動を感知しました、3.2.1.今』
音声案内に切り替わり、このゲーム最大規模の衝撃が駆ける。放置すれば被害者が増えるが、運営者ゼノムと縁者が撃破しても派手に爆発する存在。
『【邪神】の残滓殲滅戦に移行、一般開放されます』
何が起きようとイベントにしていくスタイルを崩さない。末恐ろしいゲームもあったものだ。




