表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/87

『全天録』チャート:ルシュフェル

友人が騎士にハマったようだな……。

 黒い深い世界、罪人の檻、敗者の在りし場。


「そう……貴様が比較的、干渉しやすいのはここだ」

【『「とはいえこれ以上は無理だよ」』】

「【外】の誰であろうな…【邪神】【有】【癒の者】それ以外の誰であっても、遥かなる存在」

【『「規格外過ぎる。まさか俺が狂うとは」』】


 ルシュフェルは〈奈落(アビス)〉に一週目の通りに落とされ、全てを待っていた。


 そして謎に声がすればそれは、ヴェラドのものである。


 彼女が幽閉されておおよそ二年、〈万象庫(アカシックレコード)〉を見た限りでは、まだ初代の神が存在している時だ。そこに最後の神が声を届けている。


「という事はやはり【外】には筒抜けか。所詮はその程度と」

【『「最初から観察しているだろうさ。ゼノムの性格に近いんだぞ」』】

「ふぅ……余はここであの男を待つ事しか出来ぬ」

【『「俺は時々しか声を送れない」』】

「よいよい、ゼノムに暴かれぬようにするのも重要なのだ」


 『最初から』。それは、彼女達が掌の上でしかない事を示している。何をしようが、【外】の観測可能域から出る事はない。


【『「どのみち俺達はするのさ。外からのを」』】


 (プリミティ)が全てを創ったのだから、当然だ。どの言動も可能な時点で、【外】の想定内。


「ではなヴェラド」

【『「…制限時間が見えるのかい?」』】

「既知なのだから【本体】を使おうが、かまうまい」

【『「またね。クレイス」』】


 嫌みのようにヴェラドは別れを告げた。ルシュフェルは無心となり、漆黒の世界を感じる。






『偉大なる自由が為に堕ちた明星よ。(しろ)しも(くろ)しも見せるは六対が翼。美徳と大罪の間に揺れるは人の様。深淵を覗きし人が失うものを、汝は持ち続け、監獄にて唯一の光明を射す。今こそ、その対を地上へ齎せ〈獄頂翼顕現(ツミナルモノヘノネガイ)〉』


 ルシュフェルの前に門が開かれる。覚えていた詠唱とは異なるものの、召喚対象としては唯一なのだから問題ない。ゼノムならば『全天録』へ自身の発想を使うように、改変していても自然だ。してこそゼノムだ。


「余を喚ぶのは貴様か……?」

(ウヒョー黒髪の艶がパネェ。肌は白く四肢はエロス。しかも目が補食対象を見る目だ。あぁ美人の舌に転がされて食事ということで体内に落ちる。そこから吸収ということでの一体化……身近な存在になれるって良いよね)

「そうだとも。こちらから質問がある」


 安定の変態だった。そして大きな差異が出ている。


『ククラとやら』

[うぃー、秘匿回線なんで気ぃせんといてや]

『何故、シュアがこの場に居る?』

[速報。ゼノム氏、略奪愛を実行した模様]

『……シュアが無事にフェリオスに到着して、通常通り猪が試練に向かい、その間に?』

[的確過ぎて笑うしかない]


 ルシュフェルも笑うしかない。変化がないようにしたいものが、ゼノムによって変わるのだから。

 試練への追加条件だけで済ませれば、本来の流れと変わらないはずである。


『シュア、ゼノムとは』

『お城の中だよ?』


 事前に会った訳でもなく、突発的な衝動で世界が変わるとは。最早【邪神】対策など考えている状況ではない。


 このように秘匿回線で会話しながら、本来と同様に話を進める。


「其方、何かが接近しておるぞ」

「シュアを頼む」

「そんな命令で良いのか?」

「今、やるとは思えないからな」


 存在しないはずのシュアに対しては、普通の対応をゼノムはする。しかし、こうした読みは何なのだろうかと、ルシュフェルは思った。


(…む…!)


 適当に景色を見渡すルシュフェル。そこにはもう一人のゼノムがいて、不意に目が合ってしまう。


 彼の声は常に【外】混じり。このルシュフェルの心の揺れは、間違いなく視られた。


『ククラ、もう一人のゼノムが接近している』

[適当に流しとけ。〈奈落〉で【外】付きヴェラドと会話してんなら、今更感があるし]


 もう一人のゼノムが、歩きから加速して一瞬で間を詰めた。


「【やはり】【見えているな?】」

「ふっ……真意は語らんぞ」

「【俺にはどうでもいい事だ】【ルーシーを可愛がる】【シュアと遊ぶ】【あれには情報を渡さない】」


 ルシュフェルの頬を撫でながら、ゼノムはそう言った。あれ、というのは間違いなく『全天録』を再生しているゼノムだろう。


 【外】は、動作を面白がっている証明であった。

追記:

初のぶつ切りの気がする。


え?チャートの意味が明らかに違う? 立てても崩れるものだからね

シカタナイネ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ