社員の日
更に進んで、今回リリースされたのは弾幕STGと格ゲーの金字塔だった。
「こちらテスター:258。ポイント25746588:28756214:1にてシークエンス55が発動する事が確認。完了フラグ:24が取得可能になります」
[こちらマザー〈ククラ〉。テスター:258、それは仕様だ]
「了解。引き続き検証を続ける」
恐るべき技術改革を成したゲーム会社〈Xeno〉。俺はそこに雇われているテスターだ。初期の飲料水による配布の頃から、バグ挙動や一般人としての反応速度の限界を『向こう』に教えている。
『向こう』のテスターは全てが桁違いなのだ。故に、俺達のようなテスターが必要と。古株テスターは実績があるので、本当に一般とは言えないがな。
「本日の作業終了~」
『お疲れ様でした~~~』
「ふぅ、今日はワンコか……」
日替わりのボイスに癒されながら、俺はベッドから降りた。作業のノルマの次は、健康維持のノルマがテスターに課せられている。古株テスター≒元ニート、プレイ=寝姿勢、で家から出ないだろうからと、外出の義務を付けられた。
「随分と変わったなぁ、俺も景色も」
昔のままであれば、俺は親の金で食って見て打って寝てを繰り返すだけ。景色はボロな道路や建物の中を液晶片手に行く人が居た。
今では、俺は最上位のプレイヤーとして名は挙げられ金も稼ぐ。景色は舗装済みか工事中の中を皆、購入した荷物で手が塞がっている。
偉大なる副社長マザー〈ククラ〉のおかげだ。彼女がデータ管理からシステム構築、更には機器の素材まで特定しているのだから。
社長のゼノムは彼女のエネルギータンクという、居なくなったら困るが凄さが足りない存在だ。ネットで叩こうが雑コラを作ろうが、ネタとして処理する脳ミソはどうかしている。
近所には公園があるが、子供達だけでなく大人も混ざって楽しんでいる。
「僕のターン、ドロー!」
「発動! 手札は全て捨てて貰おう」
「くっ……! 行けえ! 〈RM-999〉!」
きっと彼らの目には、召喚したカードイラストが3Dモデルとなって動いているのだろう。
〈Xeno〉が開発した次世代ゲーム機〈FAST〉は、感覚ダイブでゲームが出来るだけではなくなった。散々、オーラだのVR技術を扱っていた作品はほぼ〈Xeno〉に共同を持ちかけた。無論、社長は乗りに乗った。
「うわぁぁぁぁ!」
敗北しただろう少年が後方へ『跳んだ』。迫真の演技どころではなく、脳に反しての体の全力。マットがなければ気絶以上は起きると思われる。
カードゲームでありながら、筋肉痛が起きそうなプレイスタイルだが、彼らの目は燃えていた。
「実態として動画送る位、大丈夫だろ。保有者は漏れなくマザーの監視付きだし」
マザーに動画を送り、夕日の帰り道。動画サイトの通知が届いた。
『高速道路を爆走したった【1km/s】』
「また好きにやってんなぁ、社長」
ゼノムはゲームで一位を取りまくった後、動画投稿及び配信者として馬鹿をし続けている。その全ての『フィクション』を立証し、現実ではしてはいけないという趣旨を根拠とした訴えを封殺。
『オタクのクズと鑑を両立するトリックアート』とは誰の言葉だったか……。ともかく、清濁でしかない男だ。
「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」
「サービスが手厚いっ!」
だが、反乱する気は起きない。彼らが完全に撤退するリスクを抱えているからだ。誰が代わりとして〈FAST〉の管理に、社員限定の品々の修理、提供を行えるだろうか。
「まずは……君たちの新着情報だ」
「私は料理スキルのうち、包丁と揚げ物のレベルが一つ上がりました」
「……ベッドテクニカルにアップデート。インストールしますか?」
「暇潰しにハイスコア更新したぞ」
社員限定の手伝い……美が専属で舞い降りるのだ。あー、秘書が堪らない。
「明日は、社内大会があります。今宵は控えめにした方がよろしいのでは」
ボーナスが景品の社内大会だ。内容は古株勢のみ感じており、その他は車を使った競技としか考えてないだろう。
「精神的に戦場に赴くんだ、つまり」
「フラグktkr」
「そういう事だ」
社内大会の内容
「個人戦であり別々のサーバーへ飛ばされる。そこで君たちは強盗犯となって、盗品を運ぶ車で警察を振り切り、トンネル内でトラックに車を入れなければならない。なお君たちの周囲に乗り物が接近した時、その乗り物は瞬間的に時速120kmから秒速340mの速度へ加速する」




