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欲求を迎える男

え?前回の続きじゃない理由?

アフターだから更に好き勝手にやらせてもらうぜ!

「頼むよぉ~、ルーシ~、オークゥ~」

「断る」

「する必要がないのでな」


 ゼノムはストレスを抱えていた。【邪神】を〈虚空〉の彼方へ追いやった結果。


「頼むから戦闘してくれ~~!」


 敵対者が存在しなくなったのだ。それに伴う実質的な天井化により、ゼノムは長らく魔力炉を拘束している。起動させてはいけない……しかし、炉に一切、魔力が流れ込まないはずもなく、溜まる一方。


「我が鱗を一撃で全て剥がした事を」

「余の防御壁を一瞬で突破した事を」

「「忘れた訳ではあるまい?」」

「いや……要因としては別でして……」


 何よりこのゼノム炉心、性質として【有】との回路でもあるのだ。ある程度、溜まってしまえば自然とゼノムの魔力に【外】が混ざり始める。

 無論、彼女達も【外】との繋がりはあるものの、質の差で負けるしかないのだ。


「別も何も、大打撃が確定しているのだ。何を飛び込む必要がある」

「ゲームや創作界でも発散出来たのだろう?」

「ゼノムの魔力『は』ね……」

「【外】の魔力はシュアに……いや、充填が観測不可になり暴発。ぶつけようにも範囲外が出てしまう。結果として完全な相殺が望ましく」

「身内の力の序列トップツーの我等に頼みたいと」


 【外】が絡むとなれば彼女達も放置する訳にはいかない。具体的に【外】を見られないが、きっと【有】と【邪神】は同じ部屋に居るとされる。【邪神】との接触を絶ちたいのだから、同室で遊戯をしている【有】とも切って当然である。


「しかしなぁ……成長は止まっていると感じる程の壁を、余が壊さぬ限りは無理であろう」

「我も同じくだ。アロクルを越えてからは比較対象が、【邪神】やゼノムしかなくなっての」


 つまりは切断可能になってからでしか、彼女達は行動したくはない。過去である『全天録』改変とは異なり、現在の状況を変えるのだから。


「何日……も何億年も、下手をすれば無限の時を………」


 ゼノムは未来の暴走に思いやられる。期間が空くだけ【外】から落ちて溜まるだけ、溜まった分を彼女達が相殺することに懸けるしかないのかと。


 だがゼノムの脳は自らの『無限の時』を聞き逃さなかった。そして発想が、いや、彼は思い出す。


「無限の時…経験済み…あそこでは…あっ……!? やっべ、迎え行かなきゃ!」


 〈虚無列(ニル・エラーコード)〉が発動し、無の空間でシュアの骸とゼノムは思っていた悠久の時。彼女は目覚め、そして彼を過去に送った。




























[やっぱとんでもなく遠いなぁ……]


 無の空間で回想し続けるシュアをゼノムは想像した。表情は暗いまま、色が溢れていた世界を愛する者と幸せで__。


「流石は【外】が降りてなければ不可能な行動。同じく【外】でしか道は創れんか」

[こんな自画自賛あります?]

「知るか。んな事より、さっさとシュア連れて帰るぞ」


 無理やり繋げた世界の回廊。不安定でいつ消えるか分からないので、ゼノムは目的を一つに絞り、行動を始めた。


「ゼルーーーーーーー!」

「全く、何で君に不可能はないんだい?」

「知らねぇよ。んで、ククラボディの一つを置き土産にすれば、シュアは不要なんだな?」

「あぁ、彼女はこの世界のモノだからね。これだけの、おぞましい量の魔力があれば魂の代用も出来るし」


 毛を黒染めにした愛妻と、まだ普通に最高位神をしているヴェラドが居た。ゼノムはヴェラドの要望に答え、早々と立ち去る気である。


「もう用はないよな?」

「出来れば世界崩壊をさせた君を断罪したいが、むしろ更に壊されそうだから。じゃあね」

「多分、二度と会わねぇだろうな。お疲れ様でした」

「ありがとうございました!」

[神、乙]

「……ふふっ、ククラがついでにデータを置いて行くんだ。暇潰しも十分さ」


 ヴェラドに対して彼らは冷たいが仕方ないものである。【邪神】に与する者としてのイメージと、夫が居ればそれでいい。そんな三人であった。


_______________________________________________


「ウゥゥゥウゥゥゥ!!」

「ガルルルルルルル!!」

「「ガウ!」」


 決して負けられない戦いがここにある。相手は自分、悲しい結末を迎えた自分なのだから。


「まさか一発だけで互角になるなんて……」

「アホ旦那め……神格がどうなっているのか理解していない」

「いやいやいやククラ=サン。あんな吸収力あり得ます?」

「父上が正妻に選ばれた御方です。父上に関しては不可能が失せて当然かと」

「バルザ……お前、読んだのか?」

「弟子のように師の根幹を理解したまでです」


 ゼルについては何もない。あれも紛れなく私、シュア・フィエータ=アウゴであり、ゼルも愛おしく想う相手でなければいけない。


「「キューン」」

「やめろぉ! そんな肩入れおねだりをするなぁ!」


 やっぱり考える事は同じだ。ならば次の行動も同時のはず。


「近寄るなぁ! ここで飼い主にジャッジを求」

「「わふ!」」

「くっ……お前らも助けろよ!」

「いやぁ、ゼノムさんは本当に動物に好かれてますね」

「と言うよりゼノムよ。シュアの存在意義は主の癒しであろう?」


 ルシ姉の言う通り、シュアという存在はゼルの為に犬系獣人 ~美少女に尻尾と獣耳を添えて~ になったと思われるのだ。つまりはどちらがシュアであるかを決めるには、ゼルが決定しなければならない。


「あぁ! ゼルが幸せ過ぎて現実逃避を始めちゃった!?」

「待て~!」


 故にゼルが逃げたらお預けとなる。決戦はいつの日か。

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