120話
120話
「あの、ゴロ助とは?」
「ゴロ助は、石の精霊でうちのサーカス団の中核を成している者の一つなんです。
おっと、それよりゴロ助がどうしたんだ?!」
「そ、それが突然真っ二つに割れてしまい動かなくなったんです。ですがどうも死んだりしたわけではなく眠っているような感じなのです。」
「ふむ、んー、あぁ、それなら心配は無用です。今は分裂期に入ったのでしょう。1週間もしたら動き出しますよ。ですが困りましたゴロ助の代役が勤まる大きさの石の精霊がいない。」
「あの、ゴロ助さんの大きさはどのくらいですか?」
「そうですね。だいたい直径4m程ですね。」
「それは大きいですね。オレたちに出来ることがあればいいのですが。」
「ねぇ、ねぇ。大ゴロゴーン貸してあげたら?」
「「それだ!」」
「ちょっと待っててもらってもいいですか?丁度いい仲間がいるので協力致しますよ。」
オレたちは、急ぎ荒野に戻ると大ゴロゴーンを連れて行こうと考えたが大きすぎてフリューゲルでも運べない。
と、思っていたらなんと大ゴロゴーンがフワッと浮いたのだ。
「浮くんだね····」
「この大きさで浮くとか思わないよな。そもそもボス戦のとき浮かないから驚くよな。」
「そりゃぁ、浮くでしょ。仮にも精霊だし。」
「そうだね。石じゃなくて精霊だもんね。」
「でも納得いかないがいいか。それにしてもこの大きさで浮くなら自由落下するだけで大ダメージだよな。」
「ご主人様、そうはいきませんよ。落ちたら割れますし。」
「あ、割れるのか。それで戦う時は転がるんだな。」
「よし、それじゃぁ戻るよー」
オレたちは、フリューゲルにゴロゴーンを引っ張ってもらってサーカスのテントまで戻った。
ちなみにゴロゴーンは、浮くことができても飛行することはできなかった。
飛行できないのになぜ浮ける!
「おー!立派な石の精霊ですね!うちのゴロ助より一回り大きいですね!」
「それで代役にはなりますか?」
「えぇ!もちろんです。」
「それで、なにをさせるのですか?」
「それはですね。こちらに来ていただければわかります。」
そう、言われたのでついていくと大きなすり鉢状の凹みのあるところへと案内された。
「えっとこれは?」
「この中でぐるぐる回りながら転がって貰えたらそれで大丈夫です!」
「とりあえずゴロゴーンやってみてくれるか?」
「ゴロローーん」
「「え?鳴くの?」」
「二人共何言ってるの?精霊だから鳴くし、成長したら喋るよ?」
「まじかぁ。」
それからしばらく転がり方の訓練風景を眺めて居ると今日の開演時間となった。
ノギスタさんの好意でサーカスを観させてもらえる事になったので観客席に移りサーカスを観戦した。
「それにしても、ゴロゴーン楽しそうに転がってたな。」
「そうだね。ただ転がってるだけなのにかなり盛り上がってたわよね。」
「まぁ、迫力はあるだろ。」
「たしかにあの大きさだからなぁ。」
それからゴロゴーンをサーカスに参加させている間は町の周囲を探索したり依頼を受けたりして過ごし約束の1週間が経過した。
「いや、ほんとに助かりました。この通りゴロ助とゴロ太も元気になりましたのでこれからは大きさが小さくなった分を二人の連携で今まで以上の演目にしていくと意気込んているんですよ!」
「それは良かったですね!それにしても分裂したらどちらがゴロ助なのかよくわかりましたね。」
「それは、ゴロ助とはつながってますからね!だから新しい仲間であるゴロ太とはこれからどんどん仲を深めますよ!
おっと、忘れるところでしたこれが今回の報酬になります。」
そう言われ渡されたのはいくばくかの金銭を受け取りサーカスを後にしたのだがうちのゴロゴーン名前はまだ無いは、うしろ髪を引かれるようにしていたので仕方なくダンジョンにすり鉢状の階層を作ることになったのはまた別の話。