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ボクサー異世界へ行く  作者: 如月文人
第二章 ポンコツ僧侶(クレリック)
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第二章 其の一


 そして瞬く間に十日が過ぎた。

 とりあえず俺は一通りの闘気の扱い方をマスターした。

 闘気には全部で火、水、風、土、光、闇の六種類の属性があり、

 それらの属性を使い分ける事によって戦い方に幅が出る。


 例えば風の闘気を両足に纏えば、走力が上がる。

 体感にして五十メートル走で六秒台なら五秒台になる感じだ。

 またジャンプ力も飛躍的に向上し、その気になれば十メートルは飛べる。


 更にはこの世界には連携攻撃と呼ばれる戦い方がある。

 例えば光属性の攻撃及び魔術を使った後に、火炎属性の攻撃等を

 行えば核熱という魔術反応が起こり、与えるダメージも増加する。


 そして闘気をマスターすればそれを単独で行える。

 拳士フィスターならば左拳に光属性の闘気を宿らせて、

 まず左拳で標的を殴打。 そして右拳に火炎属性の闘気を宿らせて

 ワンツーパンチのツーの要領で右拳で標的を狙い打つ。


 するとこの場合でも核熱反応が起こり、単独で連携攻撃を行う事が可能だ。

 これは単独連携と呼ばれる高度な技術らしい。


 まあざっと説明するとこんな感じだ。

 俺は無事訓練期間を終えて、そのお祝いとして、クラリスから

 古着の黒い胴着、中古の黒い手甲、同じく使い古しの茶色のブーツが

 贈られて、とりあえず今はそれらを身につけている。

 ちなみに黒い詰め襟は記念品として大事に保管するつもりだ。

 

「とりあえず基本的な事は全部教えたよ。

 まあ正直アンタなら半年もすれば、アタシなんか余裕で

 上回るだろう。 でもそれで増長するんじゃないよ?

 確かにアンタは新人ルーキーとしては、ずば抜けているけど、

 この世界には強い奴なんていくらでも居るからね」

「はい、わかってます。 十日間のご指導ありがとうございました」

「いやアタシとしても久しぶりに鍛え甲斐のある新人ルーキー

 出会えて嬉しかったよ。 まあ何かあればまたここに顔出しな」

「はい、クラリスさんもお元気で!」


 そして俺はクラリスと握手を交わし、職業ギルドを後にした。

 そこから先は同じ魔術師マジシャンギルドで魔術の基本を

 習ってきた真理亜と組んで、冒険者ギルドの依頼を次々と達成。


 定番のゴブリン狩りに始まり、コボルド、オーク、ゴーレム、吸血蝙蝠、

 半鳥人ハーピー蜥蜴人間リザードマン蛇人間ナーガなどの

 様々の魔獣や魔物を相手に連戦連勝。 瞬く間にレベルも上がった。


 気が付けば、俺が拳士フィスターレベル13。

 真理亜は魔術師マジシャンレベル14まで上がっていた。


 俺はとりあえずスキルポイントを拳士フィスターのパッシブスキル

 「闘志」の項目に割り振った。 その結果、

 「闘気の威力五パーセントアップ」と「闘気の総量アップ」の効果を取得。 

 真理亜は魔術師のパッシブスキル「魔術」に割り振ったようだ。

 

 この異世界では基本的に転職はしにくいが、各職業ごとのパッシブスキルは

 転職の際にも他職に持ち越されるから、上げておいて損はない。


 とりあえずこのレベルになって、雑魚モンスターなら楽勝で勝てるようになり、

 冒険者ギルドの依頼も比較的楽に達成できるようになった。

 冒険者ランクもEからDに上がった。 


 そろそろもう少しランクの高い依頼が受けたいな。

 だが俺も真理亜も火力職。 更には二人ではやれる事に限界がある。

 俺達は冒険者ギルドに併設された酒場でアップルジュースの入った杯を

 片手にちびちびとやりながら、今後の方針について考え込んだ。


「しかし二人じゃ限界ありますね。 私と先輩は火力職だし、

 やはり回復役ヒーラー防御役タンクが欲しいところですね」

「うむ、確かにな。 疲労の度に回復薬ポーションを使うのも

 効率的にも経済的にも悪いからなあ。 パーティの募集でもするか?」

「うんうん、んじゃそういう事でお願いします、先輩!」


 やれやれ、結局俺任せかよ。

 だが新しい仲間が欲しいのも事実。 そういうわけで俺は冒険者ギルドに

 頼んで、「パーティ募集、主に回復役ヒーラー防御役タンク!」

 という張り紙をギルドの掲示板に貼ってもらった。



 そして食事をしながら、待つ事三十分。


「ねえ、もしかしてアンタ達が回復役ヒーラー防御役タンク

 募集している募集主かしら?」


 食事を終えて、掲示板の前で立っていた俺達の背後から誰かが声をかけてきた。

 振り返ると、艶のある黒髪をツインテールに結った美少女が立っていた。


 眼はやや吊り目。 雪のように白い肌。 ピンク色の唇。

 背丈は真理亜より低そうだ。 身長150前半ってとこか?


 やや丸顔で全体的の肉付きも良いが、ウェストはきゅっと引き締まっている。

 丈の短い白いワンピースの胸元で両腕を組んでおり、ややドヤ顔気味。


「えーとそうだけど、君は?」

「アイリスよ。 アイリス・ミロシュベルグ。 年齢は一五歳よ。 こう見えてこの町――アルザインでは少しは名が売れた僧侶クレリックよ」

「「おお~っ!!」」


 俺と真理亜は思わず感嘆の声を上げた。

 早速、回復役(ヒーラー)が見つかった。 しかも美少女。

 真理亜とは違うタイプの美少女だ。 所謂ロリ系ツンデレタイプ?


「ちょっと、そこのアンタ、あんまりジロジロ見ないでよ? いくらアタシが可愛いからって、初対面で視姦しないでよ?」

「し、してねえしっ! 誤解のある表現は止めろよっ!?」

「もう五月蝿うるさい。 んでどうすんの? アタシをパーティに加えるの? どうするの? こう見えて忙しい身なんですけど」


 なんだ、この女。 すんげえ上から目線だな。

 確かに見た目だけはいいが、性格は俺の好みじゃないな。

 というかパーティの輪を崩しそうなタイプだよな。

 

「ちょ、ちょっと! アイリス。 そんな言い方はないでしょ!」

「あ、カーミラ。 遅いわよ? とりあえずアタシが募集主と

 交渉しているわ。 大丈夫よ、今度は低姿勢でやっているから」

「ちょっと待ってくれ。 交渉は私がする。 募集主は誰ですか?」

「俺ですけど、なんでしょ……うか……」


 俺は新たな声の主を見て絶句した。

 そこには見目麗しき女騎士が立っていた。

 パッと見た感じ、クールな印象を受ける金髪碧眼の美女が

 申し訳なさそうに、こちらを見ていた。


「あなたが募集主ですか? 私はカーミラ。 カーミラ・ナックルバイン。

 職業は見ての通り聖騎士パラディン。 年齢は十八歳です。

 こちらのアイリスとはよくパーティを組む間柄です」

「あ、ああっ、そ、そうなんですか?」


 ヤバい。 年上の美人相手という事で声が上擦っている。

 身長は170前後。 切れ長の青い瞳。 髪型はその綺麗な金色の髪を

 肩の位置くらいまで伸ばしており、右側をサイドテールで結っている。


 頑丈そうな金属の青い鎧に身を包んでおり、

 手足は長く、ウェストも引き締まっている。 うん、正直タイプだ。

 なんというか年上美人特有の色気みたいなものがあるんだな。


「あ、あのう、よろしければ私達二人をあなたのパーティに加えてもらえませんか? 

 ほら、ちょうど回復役ヒーラー防御役タンクですし……」

「ちょっとカーミラ。 なんでそんな低姿勢なのよ?

 ここは強気交渉で高値で売る場面じゃない?」


 この黒髪ツインテロリ巨乳め。

 少しばかり顔が良くて巨乳だからって調子に乗るなよ。

 でもこのロリ巨乳に加えて、この金髪美人がついてくるんだよな。


 更には真理亜も居る。 うーん、これ所謂ハーレム展開?

 悪くない。 悪くないぞ、いやハッキリ言おう、最高だっ!


「ちょっと先輩、何ニヤついてるんですか。 普通にキモいです。

 どうします? このアイリスという子、私の経験上かなりの地雷臭が

 するんですけど……やはり止めておきますか?」


 と、耳元でひそひそと話す真理亜。

 というか近いよ。 というか真理亜もいい匂いするな。

 だが俺は余裕のある表情で真理亜を制した。


「まあとりあえず組むだけ組んでみようじゃないか?

 まあ確かにあのアイリスとかいう女は生意気そうだが、

 貴重な回復役ヒーラーだ。 ここは大目に見ておこうぜ」

「……なんか下心ないですか?」

「……ナイデスヨ」

「まあいいでしょう。 とりあえずここは先輩に従いますよ」

「うむ、後でケーキ奢ってやるよ」

「ホント? きゃあ、嬉しい。 流石先輩っ!!」


 と、露骨に喜ぶ真理亜。

 こいつ現金だな。 だがチョロい。 たかがケーキ如きで

 懐柔できるならお安いもんだ。 ふふふ、ぐふふふ。

 女三人の男一人のハーレムパーティ。 これを夢見ない奴など男じゃない。


 ネトゲーですらパーティ組んだ時に自分以外が女キャラだったら嬉しいものだ。

 まあネトゲーの場合は高確率で中身おっさんの可能性が高いが。

 だがこいつ等は全員正真正銘女だ。 しかも全員美形だ。


 これは俺の黄金時代の到来かもしれない。

 うーん、苦節十七年、いよいよ童貞卒業する日は近いかも?


「よしとりあえず四人でパーティ組んでみようぜ!

 簡単な依頼を受けて、近くの森辺りにでも行ってみよう!」

「……まあ私はいいけど」と、真理亜。

「ふん、仕方ないわね。 付き合ってあげるわ」

 と、あくまで強気なアイリス。

「ああ、それじゃそうしようか。 皆、よろしく頼む」

 カーミラはあくまで低姿勢だ。 普通に好感が持てるな。

「よし、それじゃいっちょ頑張りますか!」

「……なんか張り切り過ぎですよ」

「……なんかこいつやたらニヤけてない?」

「……確かに。 なんかキモいですね」

「うん、キモい。 勘違い男特有のウザさが滲み出てる」

「ああ、わかりますわー。 すんごくわかる!」

「でしょ? アンタも気をつけなよ?」

「大丈夫ですよ。 利用はするけど、それだけですよ」

「へえ、アンタなかなかやるじゃん。 男なんて利用してナンボよね!」

「はいはい、どうせ向こうも下心あるんだから、それくらいは……ね?」

「お、おい。 君達すごく打ち解けているな」

「カーミラも気をつけなよ? さっきアイツ、アンタの事をすんげえ

 視姦してたよ? まるで飢えた狼のような眼だったよ」

「え? ……そうなのか?」

 と少し身構えるカーミラ。 あのう、普通に傷つくんですけど……

「て、てめえら好き放題言ってんじゃねえっ!

 つうか真理亜も俺の悪口で盛り上がってんじゃねえよ」

「あはは、さーせん、先輩!」


 と、小さく舌を出す真理亜。

 クソ、これだから女は怖い。

 だがこの時の俺はまだハーレム気分で居た。

 多少性格が悪くても、美少女や美女なら許せる。


 だがそんな俺の淡い思いはすぐに物の見事に打ち砕かれる事になった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 女子の怖さ黒さがww まぁ、3人寄れば姦しいって言いますもんね。 [一言] 普通にハーレムルートかと思いきや、どうにも願望通りには行かなそうで笑いましたww
2021/01/16 23:26 退会済み
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