最終章 其の三
気勢と共に俺と霧島は全力で地を蹴った。
それと同時にアルビアンが左フリッカージャブを放つ。
俺はそれを腕を十字にしながら、受け止めた。
一瞬、アルビアンの動きが鈍る。
そして霧島はその隙を逃さなかった。
左側から回り込むように、アルビアンに接近する霧島。
だが次の瞬間、アルビアンが信じられない行動に出た。
奴は左腕だけでなく、右腕もだらりと下げて完全ノーガード状態になった。
これはもしかしてノーガードスタイルか?
――何か嫌な予感がする。
「ま、待て! 霧島さん、そのまま突っ込むのは危険だっ!」
「――もう遅い! ふんっ!!」
アルビアンはそう口走りながら、体重をたっぷり乗せた変則的な左フックを
飛び込みながら、霧島の鳩尾に打ち込んだ。
な、何だっ!? 今のパンチは!!
「ご、ごはあああっ!!」
霧島は血の混じった胃液を吐き出しながら、物凄い勢いで吹っ飛んだ。
そして地面に何度も転がりながら、近くの木に衝突して身体を痙攣させた。
も、物凄い破壊力だ。 体重がたっぷり乗せた渾身の一撃だ。
はっ!? もしや今のが噂に名高いジョルトブロウかっ!?
「ゆ、ゆぎ……むら……ぐん……ジョ、ジョルトだ……き、気をつけ……ろ」
身体を痙攣させながら、搾り出すような声でそう告げる霧島。
そして霧島はがくりと前のめりに地面に倒れ伏せた。
「ほう、一瞬で見抜くとは大したものだ。
だが分かったところでどうにもならんよ」
と、余裕たっぷりの表情でアルビアン。
相変わらず両腕をだらりと下げたノーガードスタイルだ。
このノーガードスタイルはかつて鬼才と呼ばれた英国人ボクサーが
生み出した奇抜なファイトスタイルだ。 確かあの名ボクサーも
時々ジョルト気味のパンチを放っていたとの話だ。
だが俺がYAW TUBEでアルビアンの試合を視聴した限り、
アルビアンは実戦ではノーガードスタイルを使った事は皆無だ。
恐らく奴のノーガードスタイルは余裕の現れなのだろう。
ならば付け入る隙は、俺にもありそうだ。
恐らく奴は俺達との力量差を見せるべく、ジョルトブロウによる
一撃で俺をぶっ倒すつもりであろう。 実際霧島も一撃でやられている。
そうなれば残されたアイリスや真理亜も戦意を喪失するだろう。
そういう意味では戦術的にも心理的にも効果がある戦法だ。
だがジョルトブロウはさっき見た限り、モーションがかなり大きい。
ジョルトブロウは命中すれば、
相手に大きなダメージを与えることができる反面、
交わされてしまった場合、上体が完全に流れてしまい、
無防備になるリスクがある。
つまりジョルトブロウさえ避けたら、
格好のカウンターチャンスというわけだ。
幸いアルビアンは俺を舐めている。
そりゃそうだ、一度は完膚なきまで、
叩きのめした相手だ。 自分が負ける事など想像すらしていないだろう。
だが勝負事に絶対はない。
それにこちらにはまだアイリスと真理亜が残っている。
「真理亜、奴を魔術で食い止めてくれ。 その隙に俺とアイリスが攻める!」
「了解です、でもあの男のジョルトは強力ですから、気をつけてくださいね!
我は魔術師、我はこの大地レヴァンガティアに祈りを捧げる。
母なる大地レヴァンガティアよ。
我に力を与えたまえ! アクア・スプラッシュ!」
真理亜は眦を吊り上げて、即座に中級水魔術を詠唱する。
すると真理亜の両手杖の先から、激しい大量の水飛沫が、
アルビアン目掛けて放射される。 だがアルビアンも両手に炎の闘気を
宿らせて、迫り来る直線状の水飛沫に対してレジストの準備に入った。
だがそれを予測していたように、真理亜が僅かに口の端を持ち上げた。
「――今だ! 水よ、弾けろっ!!」
真理亜がそう口にするなり、直線状に放たれていた水飛沫は弾け飛び、
四方八方に拡散した。
その一部の水飛沫がアルビアンの漆黒のローブにも飛び散った。
「――凍結! 先輩、アイリス! 今よっ!」
「おお、わかったぜ!」「マリア、やるじゃん!」
真理亜が飛び散った水を凍結させた事によって、
アルビアンのローブにかかった多量の水が氷結して、
一瞬だがアルビアンも困惑の表情を浮かべた。
俺とアイリスはそれを目で追いながら、
全力で地を蹴り、アルビアンに迫る。
「ヒョウガ、次にアタシが電撃属性のスキルを使うわ! アンタはその後で
水の闘気で奴を攻撃して! この意味わかるわよね?」
「あ、ああ! そういう事か!? 了解っ!」
今のアルビアンは氷結状態。 そこに電撃属性のスキルで攻撃すれば、
威力は大幅に上がる。 そして奴が感電したら、俺の水の闘気で仕留める。
感電状態で水を浴びせれば、
いくら統一世界王者でも一溜まりもないだろう。
「――くたばれ、女の敵めっ! ライトニング・スマッシュッ!!」
アイリスはそう叫びながら、
ビリビリと帯電した片手棍を激しく振り上げた。
だがアンノウンも身につけていたローブを脱ぎ去り、
アイリス目掛けて投げつけた。
「うわっ……ちょ、ちょっと前が見えないわよ!?」
「アイリス、そのまま帯電した片手棍を投げつけろっ!」
「わ、わかったわ! ……ぐほっ!?」
アルビアンはローブで視界を閉ざされたアイリス目掛けて、
体重をたっぷり乗せて右拳でアイリスの腹部を殴打。
たまらず後方に吹っ飛ぶアイリス。
だがその寸前で帯電した片手棍を投擲して、アルビアンに命中させた。
「ぬおっ……うおおおおおおっ……おおおっ!?」
アルビアンは全身を震わせながら、絶叫する。
元統一世界王者といえど、生身の状態で電撃を喰らえば只では済まない。
これは云わば連携プレイ。 真理亜の水魔術で奴を食い止め、
アイリスの電撃スキルで奴を感電させて、そして俺が止めを刺す。
確かに俺一人ではどう太刀打ちしても、この男には適わないだろう。
だが俺は一人じゃない。
そして仲間が作ってくれたこの絶好の機会は逃さない。
「うおおおおおおっ……くたばれよ、元統一世界王者っ!!」
俺はそう叫びながら、アルビアン目掛けて右掌から水を一直線に放った。
だがアルビアンも意地を見せる。
一直線に放水された水を上体を大きく反らして、なんとか回避。
だが俺はそれでも冷静さを失わず、アルビアンに接近する。
「ちょ、調子に乗るなよ、小僧っ!!」
感電状態でも右ストレートでカウンターを放つアルビアン。
流石腐っても統一世界王者。
だが感電状態だからパンチの速度と切れもいまいちだ。
俺はやや余裕を持って、その場に大きくしゃがみ込んで、右カウンターを躱す。
そして全力で地面を蹴りながら、
「――喰らえっ! カエル飛びヘッドバッドッ!!」
俺は頭から飛び込んで、アルビアンの眉間を強打。
強烈な頭突きが炸裂して、
アルビアンの額が割れて、血飛沫が周囲に飛び散る。
更にもう一度頭突きで今度は奴の鼻っ柱に狙いを定めるがー―
「ぐっ……ガキがっ……頭に乗ってんじゃねえぞっ!!」
ごきんっ! 鈍い衝突音と共に頭蓋骨が割れるような衝撃が頭に走る。
痛い、痛い、マジ痛えっ!
ま、まさかあの状態で頭突きで応戦してくるとは!?
だが俺も痛いが、奴も痛い筈。 ならばここで引き下がるわけには――
「我は僧侶、我はこの大地レヴァンガティアに祈りを捧げる。
母なる大地レヴァンガティアよ。 我が友を癒したまえ! ハイ・ヒール!」
な、なんだとっ!? アイリスが真面目に回復役をしやがった!
アイリスの右掌から眩い白光が放射されて、
俺の全身を覆い傷が癒えていく。
「ヒョウガ、絶対にそんな奴に負けるんじゃないわよ!! このアタシが個人的に
回復したのは、超久しぶりなんだから、絶対に勝ちなさいよっ!!」
やれやれ、威張って言う事かよ。 だがこれで傷が癒えたのも事実。
アルビアンは身体を揺らしながらも、その眼だけは死んでいない。
「ま、負けんっ! き、貴様のような……青臭いガキに負けてたまるかっ!!」
そう叫びながら、アルビアンは体重を乗せながら、右腕を前方に突き出す。
ウェイトがたっぷり乗った右のジョルトブロウ。
だが疲労の為か、その速度はそれ程速くはない。
――ならばっ!
俺はギリギリまでアルビアンを引きつけながら、左にサイドステップ。
そこから地面を滑空して、がら空きになったアルビアンの右脇腹を殴打。
「ご、ごふっ!?」と呻き声を上げて、身体を九の字に曲げるアルビアン。
そこから軸足を左足から右足にチェンジ。
つまりサウスポーにスイッチする。
そして右肩を内側に捻り、水の闘気を纏った左ストレートを前へ突き出す。
コークスクリュー気味に放たれた左ストレートがアルビアンの顎の先端に命中。
パンチの威力に加え、水の闘気により、アルビアンの感電状態は強まった。
「う、うがああああああっ……あああっ!?」
全身を震わせて悶絶するアルビアン。
そこから俺は風の闘気を全身に纏い、
飛び込むようにジャンプしながら、前進する。
――これで終わりだあああぁっ!!
俺は全体重を右拳に乗せて――つまりジョルトブロウの右アッパーで、
棒立ち状態のアルビアンの顎の先端に渾身の一撃を喰らわせた。
「なっ……うっ……うおおお……おおおおおおっ!!」
渾身の右ジョルトアッパーが決まり、アルビアンはもんどり打って、
背中から地面に倒れ込んだ。 この瞬間、俺の勝利が確定された。
すると緊張状態から解放された俺の身体に疲労がどっと押し寄せた。
俺は小さく荒い呼吸を繰り返し、上から見下ろす形でアルビアンを凝視する。
「こ、殺せっ……」
と、呻きながらそう口にするアルビアン。
「殺しはせん。 アンタには生きて罪を償ってもらう!」
「ふ、ふん……牢獄にぶち込まれるぐらいなら……自害する……」
「別に牢獄なんかにぶち込まないさ。
アンタにはそれ以外で罪を償ってもらう!」
「……どういう意味だ?」
と、地面に大の字になりながら、眉間に皺を寄せるアルビアン。
「単純な話だよ。 もう魔帝軍と裏で繋がるのは止めるんだ。
そして今までの埋め合わせをすべく、
国家及びこの世界に貢献するような働きをして償うんだ」
「……そうすれば俺を見逃すというのか?」
「ああ、別に俺はアンタを裁くつもりはない。 ただ自分のやった事に対して、
アンタなりのケジメをつけて欲しいだけだ」
「……」
俺の言葉にアルビアンはしばらく黙考する。
そして「ハハハッ」と乾いた声で笑い、こう言葉を続けた。
「罪を償い、改心すれば許すというのか? やはり貴様は青いな……」
「ああ、青いさ。 でも俺自身は青臭い自分の事が嫌いじゃない。
それにかつてのアンタも純真な気持ちで、
ボクシングに打ち込んでいただろう?
少なくとも試合に挑むアンタの姿は、熱気と覇気に満ちていた。
そして俺はアンタのそんな姿を見て、激しい興奮と感動を覚えたものさ」
「フン、それで最後は事故死。 その後、異世界に来て、
二重スパイ紛いな真似に手を染めたのだから、救いようがない。
……そんな俺に何を期待する?」
と、やや自嘲気味に笑いながら、アルビアンは視線をこちらに向けた。
「俺もさ。 この異世界に来るまで、
自分自身に対して見切りをつけていたんだ。
『頑張っても無駄』とか『どうせ無理ならやらない方がいい』
とか自分に言い聞かせたが、
やはり自分自身には嘘をつけなくてね。
だからこの異世界への転生をきっかけに心入れ変えて、
人生をやり直すつもりで何でも真面目に取り組んだ」
俺はそこで一端言葉を切り、
軽く深呼吸してから、低い声で二の句を継いだ。
「だがそんな俺の前に前世から因縁のある男が二人も現れた。
一人はあそこで倒れている霧島さん。
それともう一人はアルビアン・アイドラー、アンタさ」
「……それで?」と低い声で問うアルビアン。
「俺は前の世界では、そこの男――霧島の噛ませ犬でな。
何度も負けたさ。そんな自分に嫌気を指して、
俺は無気力な日々を送っていたが、ある日、事故死して、異世界に転生した。
そして幸か不幸か、異世界でも俺と霧島は競う事になった。
まあ俺も流石に異世界に来てまで、噛ませ犬なんかは御免だ。
だからこの男に勝つ為、手段は選ばなかったよ。
そして見事雪辱を果たしたんだが……」
「なる程、それがあの武闘大会の決勝戦というわけか……」
俺はアルビアンの言葉に頷き、首肯する。
「王座決定戦でアンタと戦って、再び己に見切りをつけたよ。
正直アンタと戦うまで俺はこの世界なら最強になれる、なんて夢想していたが、
アンタに完膚なきまで叩きのめされて、夢から現実に戻されたよ……」
「……大なり小なり個人差はあれど、夢はいずれ覚めるものだ」
と、ぽつりと漏らすアルビアン。
「ああ、だが霧島さんからアンタが魔帝軍に内通しているという噂を聞いてな。
俺はその真偽を確かめるべく、今回の討伐隊に参加したのさ」
「理解に苦しむな。 何故そんなくだらん事を気にするんだ?」
「一つはアンタが俺と同じ地球からの異世界転生者だったからさ。
別に正義感ぶるつもりはないが、同じ地球人が異世界といえど、
悪事を働くのは目覚めが悪くてな。 そしてもう一つは、
アンタ程の男がなんでそんな真似をしたか知りたかったのさ」
「……理由は聞かせただろ? 俺個人のくだらん野心の為さ」
「ああ、だからアンタには、
それらの行いに対する償いをしてもらいたい」
俺はいつになく真剣な声で眼前に横たわる男に語りかけた。
だが眼前の男――アルビアンは鼻で笑い、自嘲気味にこう口にした。
「……今更もう遅いさ」
だが俺はこの言葉を真っ向から否定した。
「……遅くなんかないさ。 人間その気になれば何でも出来るさ。
拳一つで世界の頂点まで登りつめたアンタなら、問題なく出来るさ」
「……」
「大切なのはやろうとする気持ち、これじゃないか?」
アルビアンは俺の言葉にしばらく沈黙していたが、
ゆっくりと上体を地面から起こして、
「俺も焼きが回ったな。
ティーン・エイジャーの小僧に説教されるとはな。
だが不思議と心に響いたよ。 いいだろう、
お前の言う事を聞いてやってもいい。
その代わりお前も俺の出す条件を呑むのが、交換条件だ」
「交換条件?」
「ああ、俺はお前の言うようにこれから心を入れ替えて、
この異世界に貢献するように努力を惜しまない。
その代わりお前も俺と約束をするんだ。
一年後の武闘大会で再び俺と戦え、そして俺に勝ってみせろ!」
一瞬「そんなの無理に決まっている!」と口にしかけたが、
何とか言葉を飲み込んだ。
「……聞いていいかい? 何でそんな条件を出すんだい?」
するとアルビアンは僅かに口の端を持ち上げて――
「人間その気になれば何でも出来るんだろ? なら貴様自身が体現してみろよ!」
「……わかった。 確約は出来ないが一年後再び武闘大会で戦おう!」
「ああ、男と男の約束だぜ」
そう言いながら、アルビアンはゆっくり身体を起こして、
腰のベルトに吊るした皮袋から回復薬の入った瓶を取り出し、
栓を抜いて口をつけた。
アルビアンはごくごくと一気に瓶の中の液体を飲み干すと、
空瓶を乱暴に投げ捨てた。
そしてゆっくりと歩き、後方で倒れ伏せているシャイアに近づく。
彼女を優しく引き起こしたアルビアンは、右肩にシャイアを抱え込んだ。
「こんな馬鹿な男に尽くす馬鹿な女だが、捨て置く事も出来ん。
それに独りは、やはり寂しいからな。 最後に聞こう、
お前の名前と何故こんな真似をした?」
「氷河だ、雪村氷河だ。 それと理由は簡単さ。
俺はかつてアンタに憧れていたからな。
だからそんなヒーローに汚い真似はして欲しくなかったのさ」
「相変わらず青臭い理由だな。 だが不思議と悪い気分ではない。
よかろう、雪村氷河! では一年後を楽しみにしているぞ」
そう言ってアルビアンはシャイアを抱えながら、この場から去った。
俺はしばらくの間、アルビアンの背中を眺めながら、その場に立ち尽くす。
そしてアルビアン達が視界から完全に消えると、いつの間にか右隣にアイリス。
左隣に真理亜が並んでおり、アイリスがやや不満げな表情で――
「ヒョウガ、なんであの男を見逃したのよ?」
「アイリスも誰かに憧れた事はあるよな?」
「ん? まあそりゃあるけど、それが何?」
「憧れの人には、いつまでもカッコいいままで居て欲しいだろ?
つまりそういう事さ」
「ふうん、なんかちょっとカッコいいじゃない……」
「うふふ、先輩。 男の子してますね」
と、アイリスが呟き、真理亜が微笑を浮かべる。
まあとにかくこれで一つの区切りがついた。
とりあえず地面に倒れ伏せている霧島とカーミラを介抱……アレ?
急に視界がぐにゃりと歪み、体の平衡感覚が失われる。
ア、アレ? 緊張感が解けたから、一気に疲労が押し寄せてきたのか?
まるで強烈なパンチを頭部に喰らったような感覚だ。
気が付けば、俺は片膝を地面について呼吸を乱していた。
「……大丈夫? ヒョウガ……大丈夫なの?」
「……んぱい……先輩! ……っかりして……ください……」
ヤバい、意識が朦朧としてきた。 呼吸も乱れている。
ま、まさか死なないよな? せっかくいい感じな所なのに!
だが次第に身体に力が入らなくなり、俺は地面に倒れ伏せた。
ヤバい、これはもしかしたら危険なやつかもしれない。
冗談じゃねえ、こんな所で死んでたまる……かよ!
俺はまだ童貞だし、奴――アルビアンとの約束を果たしていないんだ。
だからまだ死にたくない。 というかまだまだ生きたいぜ……。
せっかくこの異世界で自分自身を変えられたんだ。
だからまだ死にたくない、死ねないんだ。 俺は……まだ生きたいんだ!
「……ウガッ! ……っかりしなさいよ!」
「……ぱい……先ぱ……」
アイリスと真理亜の声が遠のいていく中、そこで俺の意識が途絶えた。




