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ボクサー異世界へ行く  作者: 如月文人
第三章 無差別級武闘大会
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第三章 其の三


 そして俺は大会まで必死に特訓を重ねた。

 クラリスに教えてもらった事を何度も反復させて、頭と身体に覚え込ませた。


 だが五日に一回の頻度で、アイリス達と討伐依頼をこなす必要があった。

 本当は無視したかったが、カーミラが泣きそうな顔で――


「ヒョウガ、お願いします。 君が居ないとパーティが成立しないんだ……」


 と懇願してきたので、仕方なく引き受けた。

 何でも俺が居ないと、アイリスがまた前線に出て暴れるらしい。

 アイツには学習機能は備わっていないようだ。


 結果、またモンスターがリンクしまくって何度か死に掛けたらしい。

 すると真理亜が結構本気でアイリスに切れて、やや険悪な空気になったらしい。

 気の弱いカーミラはどっちつかずの状態でオロオロしてたとの事。


 まあ大体想像はつく。

 そんな状態のアイツ等を放置するのも忍びない。

 結局俺が出張って何とか真理亜とアイリスを仲直りさせた。

 やれやれ、何処までも面倒な奴等だ。


 そんなこんなで程々に特訓とモンスター討伐をこなした。

 おかげでレベルは27まで上がった。 とりあえず全部のスキルポイントを

 拳士フィスターのパッシブスキル「闘志」の項目に割り振った。 

 その結果、「闘気の威力十パーセントアップ」と「筋力+30」の効果を取得。 


 クラリス曰く、レベルはこれくらいあれば充分との事。

 もちろんレベルが高いにこした事はないが、対人戦に限っては、

 どう戦いどう相手を追い詰めるか、などの戦術、戦略面が重要らしい。


 それに大会の基本ルールとして、試合時間十五分の間に、クリーンヒットが

 多くて、体力の残量値が多い方が勝者とされるから、その辺りも考慮する必要がある。

 まあボクシングで言えば、ポイントを稼いで判定勝ち狙いという戦法だ。


 それに加えて、三回ダウンしたら自動的にノックアウト負け。

 またダウンしてテンカウント以内に立ち上がらなければノックアウト負け。

 あるいは相手が降参すれば、自動的に試合終了らしい。

 この辺もボクシングのルールに似ているな。


 いずれにせよ、やるべき事はやった。

 後は結果を信じて待つだけ。

 そして瞬く間に一ヶ月が過ぎて、無差別級武闘大会が開幕した。



 無差別級武闘大会の会場は、アルザインの町の娯楽区にある闘技場だった。

 ローマのコロッセオのような円形の闘技場で、闘技場の入り口には口々に

 客引きをする商人達の露店がずらりと並び、見物人相手に物を売りつけている。


「さあさあさあ、アンタは誰に賭ける? 一口5000レム(約五千円)だよ?」

「はいはいはい、ユキムラ・ヒョウガに20000レム(約二万円)!」

「私も私も! 雪村氷河に15000レム(約一万五千円)!」

「そ、それじゃあ私も! ヒョウガに10000レム(約一万円)だ!」


 アイリスに真理亜。 それにカーミラまでが俺に賭けていた。

 おい、ふざけんなよ! 何、人を賭けの対象にしてるんだよ!?


「お、お前等。 何、俺に賭けているんだよ!?」

「いやいやアンタには期待してるからね! 是非優勝してね!」

「うんうん、先輩なら可能ですよ! あ、もちろん優勝賞金も期待してますよ!」

「……ヒョウガが居ない間に私も色々出費があってな。 すまない。

 私も生活がかかってるんだ。 だから頼む、見逃してくれ!」

「仕方ねえな、お前等は。 おい、カーミラ。 

 50000レム(約五万円)渡すから、全部俺にベットしておいてくれ」

「ああ、わかった。 流石ヒョウガだ。 自分で自分に賭けるなんて凄い自信だ」

「お前にも手数料として、20000レム(約二万円)やるから頼むぜ!」

「おおっ、ヒョウガは太っ腹だな。 何ならまたアイリスの胸を揉んでもいいぞ?」


 おい、そこはお前の胸だろ? 

 さりげなくアイリスの胸を揉む権利書を勝手に売りつけるんじゃねえよ。

 カーミラも意外とクズいよな。 まあ俺も人の事を言えないがな。


「んじゃ俺は行ってくるぜ。 お前等の声援を期待してるぜ!」

「おお、頑張ってね! ヒョウガ、アタシを儲けさせてね!」

「先輩、ガンバです! もっともっと私に楽をさせて!」

「ヒョウガ、君なら出来る! 私は信じてるぞ!」


 やれやれ、浅ましい女共だ。

 だが今の俺は燃えている。 例えるなら初めて公式戦のリングに上がった感じだ。

 あるいはネトゲーで超強敵とパーティプレイで戦っている感覚とも似ている。


 前の世界では万年二位止まり。 あの男の噛ませ犬だった。

 だがこの異世界では違う。 俺は生まれ変わった。

 闘気の使い方もマスターした。 クラリス達と模擬戦を重ねた。

 後は結果を出すだけだ。 よし、今度こそ俺は優勝してやる!




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