針と春。
つらづらと。
たった一瞬
その時だけ重なりあう
いつも
すれ違う
いつも
想いは届かない
追いかけて
追いかけて
逃げて
逃げて
形は不慣れ
祈りは曖昧
ゆっくりと
早々に
刻むのは 時か
やがて
誰もいなくなる
埃にまみれた侘しさよ
チクタク
チクタク
音だけが鳴る
だけど残されたのは
限られた命
いまや仰々しい扉は錆び付き
職人によって与えられた躍動感は失われていた
鳩は鳴かないし
扉は開かない
柔らかな陽光は疎ましく
ぎいぎいと揺られる椅子が羨ましい
壁に掛けられた大きな古時計は
今を以て 合わさった
のっぽの古時計だ
もう
長針と短針は
重なりあったままで
決して時は刻まない
この時よ 永遠に
足元の 花よ
種を蒔け
爽やかな風に乗り
新たな時を告げよ
軽く、読み流してくださいませ。




